知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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JASRACと著作権管理の「信託」契約を結んだ権利者本人が、自分の作品を利用する場合には、その本人もJASRACに著作権料を支払わないといけません、という話 その1 (補足あり)

(※補足はその2で一番最後に書きます)

 

 

JASRAC著作権管理の「信託」契約を結んだ権利者本人が、自分の作品を利用する場合には、その本人もJASRAC著作権料を支払わないといけません。

 

このことを理解していない人、実はけっこういらっしゃるのではないか、と思います。そもそも、大勢の人は、JASRACとミュージシャン等権利者との契約が「信託」契約であることすら、知らないのではないでしょうか。

 

「信託」とは、権利者が他人に自己の「財産権の移転や譲渡」を行い、その他人に財産の管理・処分を任すこと、をいいます。ただし、その他人は「一定の目的を達成するため、それに従って」、その権利者の財産の管理・処分をしなければなりませんコトバンク等を参照)。より詳しいことは、検索などなさって調べてみてください。

 

JASRACでの「信託」契約の場合でいえば、まず権利者(作詞者、作曲者、ミュージシャン等)は著作権管理をお願いするために、JASRAC著作権「移転」します。これが、「信託」の説明のところで書きました、「権利者が他人に自己の『財産権の移転や譲渡』を行い」の部分です。

そして、権利者から著作権「移転」されたJASRACは、権利者に代わって権利者のために著作権料を「徴収」することができます。そしてその著作権料は「信託」契約に従って権利者に「分配」される、という流れになります。これが、「信託」の説明のところで書きました、「『一定の目的を達成するため、それに従って』、その権利者の財産の管理・処分をしなければなりません」の部分です。

(ちなみに、JASRACは、「移転」された著作権部分に関しては、その著作権者である以上当然権利行使ができます。逆に、本来の権利者は、JASRACに権利を「移転」している以上、「移転」された著作権部分に関しては、「信託」の期間中は、権利がない以上自ら権利行使をすることはできません。)

 

著作権JASRAC「移転」されるのですから、例えばアーティストが自身の作品をコンサートライブで演奏する場合などは、そのアーティスト自身も、その作品の利用のために、当然JASRACに利用申請をして著作権料を支払わなければなりません。

そのアーティストがJASRAC著作権管理の「信託」契約をしていないならば、当然JASRAC著作権料を支払う必要はありません。もっとも、アーティスト本人自身はしていなくても、レコード会社など他に権利を持つものがJASRAC「信託」契約をしているかもしれません。その場合は、その関係性に応じた分について、アーティストはJASRACに利用申請をして著作権料を支払わなければならないでしょう。私もこのあたりは詳しくないので、いずれJASRACに確認しようと考えています。

 

 

さて、自分の作品なのに、自分で勝手に使えないの?と疑問に思う方は少なくないと思います。

しかし、「信託」による著作権管理とはそういうものなのです。「信託」契約により著作権JASRAC「移転」、その結果、JASRAC著作権者になるのですから、至極当然のことなのです。だからこそ、JASRACは、権利者に代わって、著作権料の「徴収」をすることができるのです。また、著作権侵害行為に対する権利行使も本来の権利者の代わりにできるのです。こうだからこそ、権利者とJASRACとは、著作権管理の「信託」契約をしているともいえます。

そして、その著作権「信託」の結果、権利者は自分の作品を自身で利用する(ライブでの演奏など)場合でも、JASRACへその利用許諾を申請し著作権料を支払わないといけないのです。

 

これがJASRACへの著作権管理の信託」というものなのです。

 

 

JASRACとの著作権管理の「信託」契約についてのさらに詳しい内容に関しては、JASRAC著作権信託契約約款」を御参照ください。

ちなみに、この約款の第3条第1項には、はっきり「移転」と明記されてます。

http://www.jasrac.or.jp/profile/covenant/pdf/1.pdf

 

また、JASRAC著作権管理の「信託」契約をした権利者も著作権料をJASRACに支払わなければいけないことは、JASRACののホームページの、「著作権信託契約と入会Q&A」というページの、Q7に書かれています。御参照ください。
著作権信託契約と入会Q&A JASRAC

 

 

なお、著作権管理団体によっては、「信託」の形態ではなく著作権管理をするところもあります。NexTone(eライセンスにJRCが加わり、このような名前になりました。)はそのようです。

 

 

(その2に続きます)

(※補足はその2で一番最後に書きます)