知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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JASRACと著作権管理の「信託」契約を結んだ権利者本人が、自分の作品を利用する場合には、その本人もJASRACに著作権料を支払わないといけません、という話 その2 (補足あり)

(その1の続きです)

 

JASRACに支払った自身の作品の著作権料ですが、「信託」契約の受益者は、著作権料を支払った権利者本人自身です。ですから、当然ですが、著作権料は、(JASRACの管理手数料としてその分は差し引かれるでしょうが)結局権利者本人自身に分配され戻ってくるわけです。
この点は、重要なことです。

 

 

前述について、JASRACに疑問を唱えたのは、前々回にクラウドファンディングの件で書いた、ファンキー末吉さんです。

ファンキー末吉さんは、かつて自身がつくった作品を、自身のライブハウスで演奏しました。ファンキー末吉さんは、JASRACにその著作権料を支払いましたが、しかしJASRACからはファンキー末吉さんにはその著作権料についての分配はなかったそうです。故に、JASRACを相手どって裁判をおこしたそうです。その結果は前々回書いた通りです。

 

 

著作権法制度を理解することは大事です。そして、その上で、JASRACの言動のおかしな点を批判をし、JASRACを正していくことが大事なのではないかと思います。

 

その点、ファンキー末吉さんの行動は、筋が通っていると私は思います。

もちろん、JASRACにも正しい面はあります。そういう点はJASRACをちゃんと認め支持していくことが大事であることは、言うまでもありません。

 

ただ、おかしいことはおかしいと声をあげるべきだと、私は考えます。

 

 

 

※補足
2017年6月13日のJASRACの定時社員総会にて、音楽著作権管理の「信託」契約約款の変更案が可決され、いくつか変更がなされました。

この中で、「著作者の自己使用の範囲の拡大」というのがあります。
JASRAC著作権管理の「信託」契約を締結し著作権を預け「移転」した後も、著作者が自分の作品を使いやすくするために、著作者の自己使用の範囲を拡大したそうです。

ただし、これには、自己使用の自分の作品が「音楽出版社との契約がない」ものに限られる、という条件があります。かつ、一定の規模の範囲内(例えばライブハウス規模程度)での使用に限られる、という条件もあります。

また、あらかじめ事前にJASRACに自己使用の申請をする必要があります
「拡大」とは、あくまで「従来に対して」のようです。全面的に自己使用が認められた、ということではありませんので、誤解なきようお願いします。

詳しくは、
http://www.jasrac.or.jp/release/pdf/170713.pdf
を御参照ください。

個人的には、JASRACが少しでも前向きなのは評価していいと思います。しかし、いくつかの条件について、自己使用する作品の著作権がどうやってこれらの条件に合致していることを確認するのか、そして実際に確認できるのか、私にははだはだ疑問が残っています。あらかじめ申請させたところで、実際に確認はできるのでしょうか?絵にかいた餅にならなければいいのですが。