知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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あらためて《音楽教育を守る会 vs JASRAC》 第5回 著作権法第22条について その2

(その1の続きです。)

 

 

今回、その2は「公衆」について書きますが、その前にもう一度著作権法第22条を書きます。

 

著作権法第22条】
著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

 

 

さて「公衆」ですが、実は著作権法上では、直接的かつ具体的、明確には定義はなされていません

 

しかし、著作権法第2条第5項に、このようなことが書かれています。

 

著作権法第2条第5項】

この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

 

通常、「公衆」とは「不特定」の者が該当するとされています。多数の場合でも少数の場合でも、「不特定」ならば「公衆」されています。そして、著作権法第2条第5項により、「公衆」には「特定多数」も含まれるとされるようになりました。つまり、「特定少数」以外の「不特定多数」「不特定少数」「特定多数」が「公衆」に該当する、とされています。

なお、著作権法上では、具体的な数値(例えば10人以上とか100人以上とか)で定義されてはいません。よって少数か多数かはケースにより判断されると言えます。

 

 

では、音楽教室の場合はどうなのでしょうか?一見「特定少数」のように思えますが、私はそうならないと思います。むしろ「不特定多数」だと思います。

例えば、今はほとんど見当たらなくなりました公衆電話。実際に公衆電話を利用できるのは、当然ですが1台につき「1度に1人だけ」です。しかし、「誰もが」公衆電話を利用できます。だから、「公衆」電話なのです。「誰もが」なのですから、対象は、「不特定」でありそして「多数」なのです。

音楽教室も同様に考えることができます。音楽教室では、講師1人に生徒1人(グループレッスンなら生徒は数名?)です。これは一見「特定少数」のようです。しかし、最初に生徒はどのレッスンで教わるかの選択ができます(つまり、レッスンの選択や講師の選択ができるわけです。最悪レッスンを受けないという選択さえできます。選択の余地が全くないわけではけっしてありません。)。また、音楽教室は、世間に広く門戸が開かれています。つまり対象は「誰でも」で、やはり「不特定」であり「多数」です。

 

故に、音楽教室は、「不特定多数」、つまり「公衆」を対象にしているのだと、私は考えます。

 

ちなみに、これと同様の考えが、過去のダンス教室の裁判でなされています。

 

そして、前回のその1とあわせて、「『公に』演奏する」ことを意味することになる、と私は考えます