知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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あらためて《音楽教育を守る会 vs JASRAC》 第1回 そもそも論

確か前にも書いたと思いますが、そもそもJASRAC音楽教室に対して著作権料の支払いを求めているのであり、音楽教室の生徒に支払いを求めているのではありません

 

もっとも、裁判の結果、もし仮に音楽教室著作権料を支払うことになったとして、音楽教室側は、間違いなくレッスン料にその著作権料を上乗せするでしょう。そうでなければ、音楽教室側は、損をしますから。だから実質的には、著作権料を支払うのは生徒、という形になります。でも、これは音楽教室側が支払うべき著作権料が、レッスン料に反映され上乗せされるだけの話です。音楽教室で使用されるテキストと同じ理屈です。

 

勘違いしてはいけないのは、このことと、今回の裁判の争点とは全く別の話である、ということです。

仮に音楽教室側が「著作権料を自分達のみで負担し、生徒達には一切負担させない。」というスタンスであれば、生徒達にとっては、著作権料をJASRACが徴収しょうがしまいが別にどちらでもいい話なのです。音楽教室が、生徒の負担になることを当然のように言っているから、生徒側も勘違いしてしまうだけの話です。

 

だいたい、会の名前が、「音楽『教育』を守る会」です。一見これは社会のための会に思えます。私も、最初はそう思いました。しかし、この会は、あくまで自分達のビジネスを守ること(具体的に言えば、著作権料を支払わず損をしないこと)が目的なのではないでしょうか?その正当性を主張するために、生徒を巻き込んでいるにすぎないのではないか、と私は思います。

音楽教育を守る、このお題目は実は二の次なのではないか。と私には思えてしまいます。いかに自分達が損しないか、ただそれだけの話なのではないでしょうか。

 

ちゃんと説明もせずに、生徒を巻き込む形でJASRACに反対している「音楽教育を守る会」には、私には違和感を感じます。

もちろん、ビジネスですから、レッスン料に上乗せするのは、当然のことです。音楽教室というサービスを提供するための必要経費なのですから。ただ、そのことをちゃんと説明するべきです。

 

そもそもこの裁判において「音楽教育を守る会」にどれだけの正当性があるのか、私には疑問です。

 

 

いささか話がずれてしまいました。

さて、なぜこのようなことをわざわざあらためて書くかと言いますと、著作権法第22条の問題とのからみがあるからです。

今回の裁判のケースは、「カラオケ法理」的なものだと考えます。実際の演奏主体は生徒(と講師)ですが、著作権料を負担するべきは音楽教室です。これは、実際にカラオケで歌うお客と、著作権料を支払う義務があるカラオケ店の関係と同じではないでしょうか、ということです。