知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

あらためて《音楽教育を守る会 vs JASRAC》 第7回 世間一般にも、JASRACにも、文部科学省(文化庁)にも問題がある

実は、今回の音楽教室の一件で、私が痛切に感じたことに、「多くの一般の人達が著作権法制度をちゃんと正しく理解していない。」ということがあります。

 

例えば、今回聞いた意見の一つにこういうのがありました。

「すでにレッスンで使用する楽譜について著作権料を支払っているのだから、教室のレッスン自体から著作権料を徴収するのは、著作権料の二重の徴収となり、おかしいのではないか?」

です。

 

これは、著作権法制度を全く理解していない、あきらかに間違った考えです。

 

楽譜における著作権、そして音楽教室のレッスンにおける著作権、どちらも著作権ですが、それぞれ異なる権利で、別々に存在します。前者の権利は著作権の中の「複製権」について、後者の権利は、今回の裁判で争うことになる、著作権の中の「演奏権」について、です。著作権法において、別々の条文で別々の権利として規定されています。

別々の権利である以上、当然にそれぞれ別々に著作権料が発生します。著作権法制度には、このようにいろいろな権利が存在しています。ですので、著作権「権利の束」と表現されたりします。著作権法制度とはそういうものなのです。

 

もしかしたら、これらの権利が別々に存在すること自体が間違っている、ということなのでしょうか。しかし、それは「そもそも著作権法制度自体が間違っている」と言っているのと同じです。現在の著作権法制度を、根本から否定していることになります。

では、著作権法の改正を求めますか?それもいいでしょう。しかし、現行著作権法が今の内容である今現在、現時点では、それに従わないといけません。それが法というものです。現行著作権法制度を無視するなど論外です。

 

著作権法制度の理解のなさにもほどがあると、私は思います。それが、一般の個々人のレベルなら、著作権法制度の啓蒙ができていない現在、まだ仕方がない側面もあるでしょう(それでも法は法ですが)。しかし、これが個人を超えて、一企業、一組織となるなら、話は別です。まして、著作権と関係する仕事で飯を食っているのであるなら、なおさらです。私は、これまで「音楽教育を守る会」を批判してきました。それは、「音楽教育を守る会」が、著作権法制度を正しく理解していないとしか思えない主張をしているからです。著作権法制度をふまえずに身勝手な主張をしているとしか思えないからです。

 


しかし、はっきり言えば、私は、文部科学省文化庁)やJASRAC側にも、落ち度はあると思います。


まずJASRAC

例えば、金の流れについて、あまりにも説明が足りないのではないでしょうか?不透明なのではないでしょうか?

これまでいろいろ書いてきたとおり、私は、音楽教室著作権料を支払うべきものである、と考えています。しかし、その著作権料の徴収に対しては、JASRACは絶対に適切な運用をしなければならない、と考えます。
JASRACの会員については、それなりに情報開示及び説明をしているようですし、またホームページにて、それなりの情報開示及び説明はしています。でもこれで本当に理解されるかどうかは疑問です。著作権料の徴収と分配という形で、金を集めまた振り分けて取り扱っている組織なのですから、さらなる情報開示及び説明につとめ、また自分達を理解してもらうようにより一層の説明をしていく努力をさらにしなければならない、と私は考えます。その上で著作権料の徴収と分配をしていかないと、ただいたずらにJASRACへの反感を招くだけだと思います。

制度運用の問題なのです。果たして、現在のJASRACが本当に適切なものなのか、再度見直すべきと、私は考えます。例えば音楽教室なら、著作権料はどのくらいが適切なのかをしっかり考え決定し、適切な額の著作権料を適切に徴収し、そして適切に権利者に分配する、そしてその収支の流れはきっちりと世間に向け包み隠さずわかりやすく報告する、これらが正しくできるかどうかが本当に大事ではないでしょうか?
JASRACは、現在ブラックボックスとはいわないまでもグレーボックス状態だと思います。その状態を抜けでて、もっとオープンになってほしいと思います。

これができないのであれば、音楽著作権管理団体が存在する必要、JASRACが存在する必要は全くありません。解散すべきです。

 

ちなみに、もし私が「音楽教室を守る会」側なら、裁判においては、法律解釈ではJASRACに構いませんので、その法律解釈を踏まえた上での、著作権法制度でのJASRACの問題点や矛盾点(例えば、著作権料の徴収分配をきっちりオープンにしていない点など)をせめます。簡単に言えば、「実際において、JASRACは自分で言っていることを、ちゃんとできていないだろ。」ということです。

 

 

そして、文部科学省文化庁)。日本での著作権法制度に対する無知無理解、その責任の一端、その落ち度は文部科学省文化庁)あると思います。文部科学省文化庁)が怠慢だから、今回のようなことがおきたのだと、今回のようなことは必然的に起こりえることだったと、私は思います。
文部科学省文化庁)が、昔から日本国民に対して著作権法制度についての啓蒙をちゃんと行っていて、結果国民の間での著作権に対する正しい理解が高くあるのならば、今回の件はもっと簡単に事がおさまったと思います。おそらく、無知無理解は完全にはなくならないでしょうけど、現状よりははるかにマトモになるかと思います。

今回裁判で争わざるを得なくなった背景の1つに、世間の著作権法制度への無知無理解があるのは間違いないと思います。そして、それをつくりだした文部科学省文化庁)にも責任があり、無知無理解の原因の一つには「文部科学省文化庁)の怠慢」があると、私は考えます。

 

著作権法制度をつかさどる行政側官庁として、文部科学省文化庁)は、日本社会、日本国民に対して、著作権法制度をもっと周知徹底する義務、啓蒙する義務があるのではないでしょうか?

 

法制度の啓蒙は、特に著作権法制度に限った話ではありません。他にも啓蒙するべき法制度はたくさんありますが、著作権法制度についてはあまりに世間での理解が足りなすぎます。そして、それを知ってか知らずか、そのままにしている文部科学省文化庁)には、現在のひどい状況を招いたその責任の一旦がある、のではないでしょうか?
今からでも遅くはありませんので、文部科学省文化庁)は日本国民に対して著作権法制度の周知徹底をはかるべきだと思います。

 

 

 

夏休みということで、しばらくの間はブログをアップしません。8月中旬〜下旬くらいからまた書き始めると思います。もしかしたら気まぐれで書くかもしれませんが、それはイレギュラーです。