知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

不特定多数/少数と特定多数/少数

先日JASRACの理事のクラウドサービスに対する発言について書いた際、以下のことをふと考えてしまいました(ちなみに、クラウドサービスとは直接関係ないことです)。



「不特定多数/少数」や「特定多数/少数」という表現、非常に曖昧だと思いませんか?
私は、曖昧だと思います。


まず多数/少数についてですが、例えば、まあ1万でしたら多数と言っていいでしょうし、2、3でしたらと少数と言っていいでしょう。では100でしたらどうでしょう?2、3という数と比較すれば多数ですよね。でも1万という数と比較すれば少数ですよね。つまり比較する数次第で、多数にも少数にもなる数は存在するということです。というよりも、数は、その比較する数により、多数にも少数にもなる、ということです。1万は1000万と比較すれば少数ですし、2、3は小数、例えば0.001と比較すれば多数です。
なにが言いたいかと言いますと、多数/少数という表現は、相対的なもので、それ自体は具体的に多い少ないを表現していないしできない、ということです。


また、不特定/特定という表現も、具体的再定義が必要な曖昧な言葉なのではないか、と考えています。

不特定は、特定されていないので、「何でもいい、誰でもいい」ということだと言えると考えます。そして、「何でもいい、誰でもいい」ということは、「他のもの、他の人に置き換え可能」といえるでしょう。
特定は、その逆です。特定されているということは、「はっきりと具体的に、何かのものや人を表している」ということだと考えます。ですが、これは、「他のもの、他の人に置き換え不可能」の場合もあれば、「他のもの、他の人に置き換え可能」という場合もある、と言えるのではないでしょうか。
例えば、「私の友人は◯◯さん」という場合、「◯◯さん」と、ある友人の名を特定していますが、この文からは、これは別に違う友人の名、「△△さん」に置き換えは可能です。◯◯さんを男性、△△さんを女性とすると、「男性の友人」という条件に設定した文の場合は、置き換えは不可能です。
つまり、置き換えの可能/不可能は、その条件の設定次第、と言えると思います。そういう意味で相対的ではないでしょうか?

とすると、「特定」というためには、その条件の設定をしっかりと厳しくしなければ、実際に特定していることにはならない、と私は考えます。もし、他の何かに置き換え可能なら、それは特定していないことを意味する、と私は考えます。もしかしたらそれはそれで、一応特定はしているのかもしれません。でも、他の何かに置き換え可能である以上、それは非常に弱い特定であり、特定していないこととほとんど同じである、と私は考えます。


ここまで書けば、私が最初に、何故「不特定多数/少数や特定多数/少数という表現は、非常に曖昧だ」と書いたその理由が、おわかりいただけたことと思います。

法や契約書の条文は当然のこと、他にも例えば法の運用のガイドライン等でも、その表現においては、このような曖昧な言葉は可能な限り使ってはいけません。具体的な定義や数値などが表現された言葉を使用しなければ、その曖昧な表現については恣意的な解釈がされてしまい、結果混乱を招く原因になってしまいます。

「不特定多数/少数だからダメ/良い、特定多数/少数だからダメ/良い」という表現がいかに曖昧でいい加減なものであるか。そして、法や契約書の条文、ガイドライン等は、このような表現ではだめであり、具体的な表現でなければならない、と私は強く主張します。

ま、法や契約書の条文、ガイドライン等に「不特定多数/少数、特定多数/少数」というような曖昧な言葉が使われることはまずありませんが(笑)、ただ、世間一般的には普通に使われる表現だから、時々困りますよね。