【緊急】形式と現実のギャップ
今回の、「京大にて卒業式の式辞を『自校のホームページに掲載した』際に、ボブ・ディランの曲の歌詞を無許諾にのせた」件、簡単に言えば、「形式的な主張をするJASRACと、現実の『引用』の事例とのギャップ」の一言につきると思います。
(追記。今回問題になっているのは、あくまで「JASRACが『京大が自校のホームページにボブ・ディランの曲の歌詞を掲載したこと』に対しての対応」であり、「『式辞にて用いたこと』に対しての対応」ではありません。誤解無きよう。)
まず、「形式的には、著作物を無許諾で利用したら、それは著作権侵害となる。」のは「基本的な考え」です。この点だけ見れば、JASRACの主張は確かに間違っていません。
しかし、これはあくまで「基本的な考え」にすぎません。これをそのままそのとおり厳密に実行していくと、むしろ社会的には困ることだらけです。ですから、著作権法ではたくさんの条文をさいて、形式的には著作権侵害でも現実的には著作権侵害とはならない(そうしないと社会がかえっておかしくなる)行為について、はっきりと「著作権侵害の例外」として定めているのです。著作権侵害とはならないのです。その一つが今回のような「引用」の事例なのです(ちなみに、卒業式でボブ・ディランの歌詞を式辞に用いた行為自体も「引用」であり、また「『無料、無報酬、非営利』の実演の行為」としても考えられ、いずれにせよ著作権侵害にはあたらないと考えられます。)。
もっとも、著作権法にこのような規定条文の記載があるだけでは足りません。その運用上の解釈判断が必要であり、実際には、これまでの判例もふまえつつ「引用」の要件を導きだし、「この要件にあてはまるものは「引用」として認められ著作権侵害行為とはならない。」とされているわけです。
この「引用」の考えについては、その考えが現在の判例においてゆらいでいるようですが、それでもその要件の基本的考え方はさほど変わっていないと思います。
以上から、私は、ホームページに掲載されている式辞を見た限り、京大は著作権侵害をしていないと考えていいと思います。
翻ってJASRAC。
まず、実際の京大のホームページでの式辞の文章の掲載を見れば、「引用」かそうでないかの確認、判断はできます(正しいか間違っているかはともかく、私でさえできるのですから、JASRACができないわけがありません。ちなみに、私は、今回の件は間違いなく「引用」の要件は満たしていると考えます。)。
そしてその上で、もしJASRACが「これは『引用』にはあてはまらず、著作権侵害行為だ。」と判断しそう主張するならば、その旨と理由をちゃんと説明した上で著作権料の支払いを求めればいい、それだけの話です。そして、京大がそれは違うというならば、その段階で裁判ででも争うなどすればいいのです。
だいたいJASRACは「京大に確認の電話をした」そうですが、そもそもそんな必要があるのでしょうか?ホームページを見れば、「引用」になるかならないか、一発で判断できるでしょうに。警察は、容疑者を逮捕する前に「お前がやったのか?」と本人に向かって確認するのでしょうか?捜査をして、証拠を集め、犯人だと確信できたから令状をとって逮捕するのであり(それが本当に正しく適切かは、その後の検察や裁判で判断されます。)、いちいち本人に確認などしません。それと同じようなことではないでしょうか。JASRACが著作権料の支払いが必要と根拠をもって主張できるなら、その根拠を説明した上で支払いを求めればいい話です。権利者から信託されている以上、逆にそのくらいのことはしないと駄目でしょう。そのためにも、JASRACは、法を正しく解釈し、事実を正しく判断できないと駄目ですが、はたしてそれがちゃんとできているかどうか。
また、JASRACは「『引用』はあいまいで、その判断は司法にゆだねる。」というような発言をしたらしいですが、ではいちいち個別に一つ一つ裁判でもするとでもいうのでしょうか?違うでしょう。著作権管理団体なら、「引用」の判断くらい自己責任で自分達でするべきです。争いが生じた時はじめて裁判をすればいいだけの話です。
JASRACは無能でバカですか?
私は、JASRACのような著作権管理団体の存在を認める立場で、どちらかといえばJASRAC擁護な立場です。
しかし、JASRACがこんなに無能でバカな組織なら、もはやJASRACは入りません。他の著作権管理団体にまかせて解散してください。それが世の中のためです。
このように考えます。
タダでも「営利行為」となることがあるそうです
「音楽教育を守る会」が裁判をおこしましたね。著作権を侵害しないことの、つまりJASRACに対する支払い義務が存在しないことの、確認訴訟です。
とうとう裁判沙汰になりましたか。まあ、動向を見守っていきたいと思います。
さて、ネットサーフィンをしていましたら、以下の栗原潔弁理士のブログで、興味深いものを見つけてしまいました。
なぜ無料でノーギャラのコンサートにJASRACが金を取りに来るのか? | 栗原潔のIT弁理士日記
著作権法第38条1項の規定で、「非営利、無料、無報酬」の上演の場合は、著作権者の許諾は不要で、著作権料は発生しない、とされていますが、この中の「非営利」についての解釈において、私これまで誤解しておきました。
これまで、タダのイベントは当然「非営利」だと思っていましたが、違うようです。タダのイベントであっても、それが何かしらの「宣伝・広告」目的であれば、それは「営利行為」になるそうです。
タダのイベントで、「無料」、「無報酬」であっても、それが「営利行為」である以上は、著作権者の許諾を得る必要があり、必要に応じて著作権料を支払わないといけない、ということです。
例えば、とある店が、知り合いのアマチュアバンドに頼んで、集客の為にその店で「無報酬」で演奏してもらった、とします。もちろんこれは「無料」のイベントで、見にきた人からは金をとりません。演奏した曲は、現在人気があって売れている他の人(プロアーティスト)の曲だとします。
一見「非営利」のようにも思えますが、これは「集客目的」ですから、立派に「営利行為」となる、ということだそうです。
近所のデパートで、たまにエレクトーンの演奏イベント(演奏しているのは、これまた近所のエレクトーン教室の生徒さん)が行われています(無料で、おそらく無報酬)が、デパートの客寄せパンダ的イベントである以上は「営利目的行為」と解釈でき、これには著作権法第38条1項は適用されない、ということなのでしょう。
なるほど。知らなかったです。
でも、これって、知らない人けっこう多いと思いますし、実際にはかなり見過ごされているでしょうね。
まとめ インターネットにアップされた「歌ってみた動画」について
これまで3回にわたり、カラオケ歌唱動画とYouTubeについて書きましたが、これらのまとめとして、カラオケだけでなく他の場合もふまえて、YouTube等インターネットにアップされた「歌ってみた動画」について書いてみます。
これまでに書きましたとおり、「著作権」については、YouTubeはJASRAC等音楽著作権管理団体と包括的利用許諾契約を結んでいますから、問題ありませんが、「著作隣接権」はこの契約での管理管轄外ですので、別途著作権者からの許諾を得ないといけません。
YouTube以外でも、だいたい同じかと思います。
これをふまえて。
(1)自ら伴奏を演奏して(あるいは無伴奏で)「歌ってみた動画」の場合
この場合、許諾の必要があるのは「著作権」だけですから、基本的には問題はないと考えられます。なお、曲や歌詞をアレンジ(改変)して歌っている動画の場合は、「著作権」のうちの「編曲権」の侵害と考えられる可能性があります。これはJASRACの管理管轄外です。直接、著作者(著作権者)に許諾を得る必要があるでしょう。あわせて著作者人格権(の同一性保持権)への考慮も必要となるでしょう。また、伴奏が存在しその伴奏を演奏する場合については、その伴奏編曲者の著作権(二次著作権)も考慮しなければならないでしょう。なお、JASRACは、公表時編曲者による公表時編曲については管理しているようです。
現実として実際のところはどうされているのか、詳しい方がいらしたら教えてください。
(2)市販のCD、DVD、カラオケ音源等にあわせて「歌ってみた動画」の場合
この場合、許諾の必要があるのは、「著作権」だけでなく、レコード会社等の「著作隣接権」もだと考えられます。前述の通り、「著作権」は音楽著作権管理団体と包括契約をしていますから大丈夫ですが、「著作隣接権」については別途直接に権利者から許諾を得ない限り動画をアップすることはできないことになります。ただし、そのアップした動画に曲名の明示がなく、曲がはっきりとわからない程度の動画への音源音声、映像の入り込み、映り込みの場合については、著作権法第30条の2により、問題なくアップできると考えられます。
とにかく、インターネットにアップする場合には、著作権及び著作隣接権に注意をしましょう。リスクが少しでもあるなら、投稿しないのが無難です。
カラオケ歌唱動画とYouTube 著作権法制度的観点 その3
(その2の続きです)
前回、前々回と、カラオケ歌唱動画をYouTubeにアップする行為が、法制度的に権利者の権利を侵害していると書きました。とはいえ、実際に権利者に損害を与える行為であるかどうか、私には疑問です。だからこそ、前回に書いた3要件のうち、③についてだけは適用になる、と書いたのです。
もっとも、そのあたりは、カラオケ機器メーカーも意識しているようで、今回の裁判の原告である第一興商(DAM)にしろエクシング(JOYSOUND)にしろ、ネット上にカラオケ歌唱動画をアップするための何らかのサービスは用意しているようです。
第一興商やエクシングが、これまでアップされたカラオケ歌唱動画に対しその削除要請をし続けてきたのは、実際の損害はなくとも、少なくとも形式的には「著作隣接権侵害」である以上放っておくわけにはいかなかったのだと思います。そうしないと、黙示許諾をしたこととなり、いずれ悪質なアップが起こりかねない、と考えたのかもしれません。そして今回の裁判の被告は、第一興商による再三の削除要請に対してそれに応じなかったから、今回のようなことになってしまったのだと思います。
私は、最初、第一興商のやりすぎ、東京地裁の暴走、とまで考えてしまいましたが、現在では仕方のない当然のことだったと考えています。
いろいろな方が、これをきっかけに議論が深まればいい、とおっしゃられてます。私は、著作権についての理解が深まるきっかけになれば、と願ってやみません。
カラオケ歌唱動画とYouTube 著作権法制度的観点 その2
(その1の続きです)
「著作権法第30条の2」は、写真等(動画、静止画)の撮影などにおける著作物の写り込み(音声著作物なら入り込みとでもいえばいいでしょうか)に関する著作権法の規定条項です。
今回の裁判では、被告は、歌っているところの動画の撮影がメインであり、自分がカラオケしているところをYouTubeにアップして見せたかったようで、カラオケの音声やモニターの映像をアップすることを目的としていない、つまり侵害の意図はない、というようなことを主張しています。
実は私も最初この意見に同意してしまいました。しかし、よくよく考えてみると、見ず知らずの人がただカラオケを歌っているだけの動画を、普通見たくなりますでしょうか。私ならなりません。つまり、おそらくこの被告の方は、注目をあびるために、「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌って見た」というタイトル、ハッシュタグ等にでもして、動画をアップしたのではないか、つまり、視聴数をあげることを目的とするために、タイトル、ハッシュタグ等に◯◯◯◯◯◯(曲名)を書いたのではないか、と考えております。これは、例え被告に「著作隣接権侵害」の意識はなくても、◯◯◯◯◯◯(曲名)を書くことで、注目を集め視聴数をあげようとしていたと考えられますから、意図的に「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌っている映像」を(もちろん◯◯◯◯◯◯(曲名)であることがわかるような形で)アップしたに違いないわけで、これならば立派に「著作隣接権侵害」になると私は考えます。そして、実際、裁判では侵害したと判断されたわけです。今となっては、削除されていますから、アップされた動画を確認することはできませんが。
「著作権法第30条の2」の第1項には、この条項の適用がされるための3要件として、①「分離困難性」、②「軽微性」、③「利益不侵害性」があげられています。この3要件にあてはまるならば、いわゆる「写り込み(入り込み)」とされ、侵害は問われません。また、第2項では、写り込んだ(入り込んだ)画像のネットへのアップについても規定されています。
私は、今回は、③のみが適用となりえるケースで、①と②は適用とはならないのではないかと考えます。
今回はカラオケ歌唱動画です。そうである以上、いくら歌っている人を中心に撮影しても多少なりのカラオケ音源とモニター画面の入り込み写り込みは十分ありえることで、その点から①の「分離困難性」はあり、またあくまで歌っている人がメインの撮影なのですから②の「軽微性」もあてはまるのではないか、と「一見」考えられそうです。
しかし、しかしです。もし、YouTubeにアップする際、注目を集め視聴数をあげようと考え、「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌って見た」というタイトル、ハッシュタグにでもしてアップしたとしたら、どうでしょう。それは、「意図的に」◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌っていた、と言えるのではないでしょうか。わざと、◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌っているとわかるように撮影してアップしたのではないでしょうか。「意図的に」そうしているのであるならば、①の適用が認められるはずなどなく、②の軽微性ももはやないと言ってしまっていいと思います。
例え侵害の意識、意図はなくとも、「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌って見た」というタイトル、ハッシュタグでアップしたならば、それは事実上侵害行為を意図的にしたと言っていいと思います。著作権法制度上、立派な著作隣接権に対する侵害行為が成立する、と私は考えます。
前述のとおり、アップされた動画が削除されている現在において、確認のしようがありませんが。
(その3に続きます)
カラオケ歌唱動画とYouTube 著作権法制度的観点 その1
昨年の12月になかなか興味深い判決が、東京地裁でなされました。
ある曲をカラオケで歌っているところを撮影した動画をYouTubeにアップした人を、第一興商が「著作隣接権」侵害で訴えたそうです。そして東京地裁は、その訴えを認め、第一興商は勝訴したそうです。
私は、最初この判決に違和感を感じましたが、その後いろいろ調べ、著作権法制度を見直した結果、現在では、東京地裁の判断は(法制度的には)間違っていないと考えております。
「YouTubeはJASRAC等著作権管理団体と包括的利用許諾契約を結んでいるから問題ないのでは?」とお考えの方がいらっしゃるかと思います。
確かにYouTubeはJASRAC等著作権管理団体と包括的利用許諾契約を結んでいますので、「著作権」については問題ありません。そう「著作権」については。
今回の裁判は「著作隣接権」侵害の裁判です。「著作隣接権」はJASRACの管理管轄外、つまり包括的利用許諾契約の対象にはなりません。ですから、別途「著作隣接権」者から許諾を得なければ、YouTubeにアップすることはできません。
YouTubeは、現在もCD音源は原則アップできないはずですが、それはCD音源は「著作隣接権」が絡んでくるからです。包括的利用許諾契約で「著作権」はクリアになっても、「著作隣接権」を持つレコード会社に許諾を得た上でないと、CD音源はYouTubeにアップできません。もしYouTubeにアップされているものがあるとしたら、何らかの形で許諾を得るなどして「著作隣接権」についてもクリアになった上でアップしたか、あるいは違法アップロードであるもの(YouTubeはそのことに気づいていないだけ)と思われます。
今回の裁判の場合もこれと同じでしょう。第一興商はレコード会社と同様に「著作隣接権」を持っているわけです(おそらく「レコード制作者の権利」と「有線放送事業者の権利」の両方が当てはまるのではないかと私は考えていますが、前者の方が大きいかと思います。)。
ですから、今回は被告は第一興商に「著作隣接権」について許諾を得ずにアップしたため、問題となり裁判沙汰になったのだと思います。
さて、被告の方は「カラオケを歌っている映像がメインであり、けっしてカラオケの音源音声やモニター画面を撮影する意図、侵害の意図はない。」というように主張したようです。
これについては、次回に「著作権法第30条の2」をもとに考えてみたいと思います。
(その2に続きます)
解説を終えて考えたこと
今回の第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験、自分用解説を一通り書いてみましたが、ふりかえると、判例からみの出題が増えた気がします。
17問目、24問目、25問目、26問目、27問目、29問目、都合6つの問題において、なんらかの形で判例がからんで出題されていると考えられます。
そのパターンは、まず大きく2つ、
①判例の存在を問題文又は選択肢の文におもてだって書いてはいないが、問題文又は選択肢の文のベースとして判例が参考にされていると考えられる設問(24問目、26問目、27問目)、
②問題文あるいは選択肢の文で、はっきり判例名が書かれている設問(17問目、25問目、29問目)、
にわけられます。
また、さらにサブ的わけ方として、
❶1つの問題が1つの参考判例にフォーカスされている設問(24問目、25問目)、
❷各選択肢ごとにそれぞれ参考判例がある設問(26問目、27問目)、
❸選択肢の中の1つ又は2つに参考判例が明記されている設問(17問目、29問目)、
と分類することができます。
選択肢ごとに見てみますと、
⑴17問目は、②&❸です。17問目自体は判例問題といえないかもしれませんが、選択肢のイとエで、「TRIPP TRAPP事件(vsカトージ)」についての記載があります。なお、この問題は、意匠と著作権の問題です。
⑵24問目は、①&❶です。判例名こそ書かれていませんが、わかる方には「フレッドペリー事件」を(選択肢イについては「バイアグラ錠剤事件」も)参考にした問題ではないかと思わせる問題です。24問目は1つの判例にフォーカスされた問題です。なお、29問目の選択肢アが24問目をとくヒントになっています。
⑶25問目は、②&❶です。「IKEA商標事件」をズバリ出題しています。25問目は1つの判例にフォーカスした出題です。
⑷26問目は、①&❷です。判例名は選択肢の文には書かれていませんが、それぞれの選択肢にはベースとなる判例があると思われ、選択肢ア、イは「メープルシロップ事件」、選択肢ウは「小僧寿し事件」、選択肢エは「花粉のどあめ事件」を参考にした問題と思われます。
⑸27問目は、①&❷です。27問目は、不正競争防止法の問題です。判例名は選択肢の文には書かれていませんが、それぞれの選択肢にはベースとなる判例があると思われます。選択肢アは「くろず事件」、イは「赤木屋プレイガイド事件」や「つゆの素事件」、選択肢ウは「花柳流舞踏事件」や「山葉楽器事件」、選択肢エは「フジマンバルブ事件」を参考にした問題と思われます。
⑹29問目は、②&❸です。29問目自体は判例問題といえないかもしれませんが、選択肢アにて、「フレッドペリー事件」について、詳しく書かれています。前述のとおり、この選択肢アの説明が24問目を解くためのヒントになっています。
こうやってみると、❸のような、判例問題とはいえない問題の選択肢の文1つ(あるいは2つ)に判例名あるいはその内容を明記するパターンでの出題が増えたと思います。
また、今に始まったことではないですが、⑴17問目の問題が意匠と著作権の問題、⑸27問目の問題が不正競争防止法の問題ですので、これらから、商標の判例だけでなく、意匠、著作権、不正競争防止法の判例まで、それなりに広くカバーしておく必要があるといえると思います。
判例問題は、多くは、別に判例を知らなくてもそれなりに解答ができる程度の問題かもしれません。
しかし、判例を知っていれば、比較的簡単に解けますから、問題を解く時間の節約になりますし、なにより根拠があるわけですから自信をもって答えることができます。
ですから、商標のみならず、意匠、不正競争防止法、著作権の関連部分まで、ある程度の判例はおさえておいた方がいいのではないか、と思います。
とはいえ、全ての判例を知ることなど所詮無理な話です。最低限重要な判例は知っておき、その上で覚えなくても構わないのでできるだけ多くの判例に目を通しふれておくことが大事だと思います。
海外まで手を広げるときりがないので、私は海外判例に対しては特になにもしていません。ただ、なんらかの機会がある度にその範囲においてチェックは必ずするようにしています。
個人的には、今後は国内、海外問わず判例をからめた問題がより増えていくような気がします。