知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《後編》

(以下に書くことは、あくまで「私の個人的な意見」です。)

 

 

 

(不定期に、その3《中編》

 J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《中編》 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

の続きで、今回もその1で書いた論点の②について書きます。)

 


論点②①が認められるとして、音楽教室著作権料徴収の対象とすべきなのか。(著作権料と教育)

 

 

《中編》の続きです。

 

 

話をもどします。

 

「技術指導目的であろうと、教育目的であろうと」、それらのこと自体は本来著作権とは関係のないことです。

著作権の利用には、本来許諾が必要であり、そこに著作権料が発生するならば、無償の許諾がされていない限り著作権料を支払うのは、著作権法制度の当然の基本の考えです。

教育だろうがなんだろうが、著作物の利用行為には許諾が必要です。そしてさらに必要ならばその使用料、対価が発生します。これが著作権の原則、基本的な考えです。

ただ、この原則を貫くとまずい場合があり、よって許諾不要、著作権料を支払わなくてもいい例外の場合を著作権法で規定しているにすぎないのです。

「学校教育」においても、著作権の原則はつらぬかれています。実際、学校でも著作権料を支払なければならない場合はあるのです。といいますか、原則として本来著作権料を支払わなければならないのを、著作権法の規定により支払わなくていい例外として認められているだけの話です。しかしそれは、「学校教育だから」という理由で著作権料を支払わなくていい、ということではありません著作権法上、「学校教育だから」という理由で著作権許諾の必要がなくできる行為は、学校教育上必要な限りにおいての「複製」行為だけです。この場合以外著作権の権利については、「学校教育だから」許されているわけではありません。学校で行われる行為の中で、それらが「非営利」「無償」「無報酬」の行為だから許諾は不要、著作権料は発生しない、というだけのことです。けっして「学校教育だから」ではないのです(※)。

 

また、音楽教室は、音楽教育の一つのあり方かもしれませんが、そもそも少なくともいわゆる「学校教育」ではありません。学校と音楽教室をごちゃ混ぜにした議論をすること自体そもそもおかしな話です。

 

 

また、以前に書いたように「今回のような音楽教室から著作権料をとるというような行為が文化を破壊する。」と主張される方がいますが、こんなことで破壊されるほど文化はやわではありません。私には、逆に文化をなめた発言だとしか思えません。

むしろ、これまで、著作権を正当にもつ人達(けっしてJASRACではありません)に、正当に著作権料が渡ってなかったことこそが「文化破壊の源」、私はそうだとさえ考えます。正当な権利を持つ人達が著作権料を得ることができていないことこそ問題だと思います(その点でJASRACがうまく機能できていない面があると私も思いますが、それと今回の音楽教室からの著作権料徴収の件とは別の問題として考えるべきものです。)。

 

あと、そもそも「文化を守る」というような言い方に私は違和感を感じています。

文化財のようなモノを保護することとはわけが違います。いかにも自分達は正しいという主張のための自分勝手な綺麗事にしか私には思えません。

文化財はあくまで保護し未来に残すべきアーカイブだから守るべき価値があると思います。文化制度そのものは、逆に社会や時代が変われば積極的に変わるべきものだとさえ思います。守るべきものを履き違えてはいけないと思います。

ちなみに、似たような言葉に「お客様のために」というのがあります。この言葉で何でも正当化されたら、客の立場としてはたまったものではありません。

 

 

最後に書きます。やはり音楽教室著作権料徴収の対象とすべきなのです。それが、著作権者にとってよいことであり、かえって文化の発展につながります。

 


(不定期に、その4に続く。)

 

 

 

そもそも学校自体が、「営利(特に私立の学校)」「有償(生徒は学費を払っている)」「有報酬(先生は給料をもらっている)」である、という意見があります。これについては、ここでは「では学校はボランティアじゃないとだめなのでしょうか?」とだけ書いておきます。

また、学校でも著作権の許諾の必要、著作権料を支払う必要の場合があるのは、前述したとおりです。もっともその場合でも、必ずしも権利者により学校に対して著作権料の徴収がちゃんとできているとは思えません(できている場合もあるでしょう。)。まあ、権利者がわかっていてあえてしていないなら、私がとやかく言うことではありません。