J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《中編》
(以下に書くことは、あくまで「私の個人的な意見」です。)
(不定期に、その3《前編》
J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《前編》 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?
の続きで、今回もその1で書いた論点の②について書きます。)
論点②①が認められるとして、音楽教室は著作権料徴収の対象とすべきなのか。(著作権料と教育)
《前編》の続きです。
前編とは少し話がずれますが、及川眠子さんと宇多田ヒカルさんは何か誤解をされていらっしゃるように思います。
まず、作詞家である及川眠子さんの勘違い。著作権利用主体についての勘違い。著作権を利用しかつ著作権料を支払うのは「音楽教室の主催者側」であり、音楽教室の生徒ではありません。もっとも、生徒が払うレッスン料に著作権料が上乗せされる可能性は否定できません。しかし、いかにも生徒が著作権料を負担するというような言い方はいかがなものかと思います。
それから、アーティストの宇多田ヒカルさんの勘違い。学校と教育についての勘違い。そもそも、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専門学校の世間でいうところの「学校」と、いわゆる巷で「音楽教室」と呼ばれているものを一緒に考えること自体がおかしいです。「音楽教室」は仮に公共性があるとしても、あくまでビジネスです。 いわゆる「学校教育」ではありません。両者をごちゃまぜにした発言はいかがなものかと思います。
お二方の発言は、著作権でメシを食っている立場であるにもかかわらず自分達の著作権収入を自ら「いらない」と言って放棄している、ということに他なりません。著作権法制度を正しく理解をせずに、自分達の存在と行為を否定するとしか思えない発言をするのですから、なんといいますか、呆れるやら、開いた口が塞がりません。 だったら、お二方ともこれから著作権料をもらわず、ボランティアで無料で作品を提供されますか?
音楽系に限る話ではありませんが、特に音楽系アーティスト、クリエーターは、著作権法制度について、あまりに無理解である人が少なくないように私には思えます。
自分達の収入に関わる非常に大事なことなのに、あまりの無頓着ぶり。これでいいのでしょうか?自分の著作権を守ること、他人の著作権を尊重すること、どちらも大事なことですが、それをいいかげんに扱っているとしか思えません。
嘉門達夫さんが著作権法制度をちゃんと理解されていらっしゃるのとは、あまりに対照的、といいましょうか。
他人事ながら心配になります。
(不定期に、その3《後編》に続く。)