知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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知的財産の「使用」と「利用」

著作権法制度上、「使用」と「利用」は、明確に異なります。

「使用」は簡単に言えば、著作「物」の享受行為です。私達が書籍を見たりCDを見たりすることは、著作物を享受していることになります。これは違法ではありません。
「利用」は、勝手に行えば著作権の侵害となる行為です。金銭収入を得るために他人の著作物又は他人の著作権を用いる行為は利用行為です。勝手に行えば、違法、著作権侵害です。逆に許諾を得て行っていれば大丈夫です。
例えば、私がCDを勝手に複製しそれを販売し収入を得たとします。これは著作物の利用行為です。そして、これは、著作権の中の複製権を侵害している行為になり、違法です。

このように著作権では「使用」と「利用」が明確に違う行為とされています。



翻って、他の知的財産権、例えば特許や商標においては、「使用」と「利用」は同様の意味の言葉として使われています。

私は、特許や商標においても、著作権を見習って、この言葉を使い分けるべきだと思います。
「使用」は、侵害がおこりえない行為のみに、その言葉を限定すべきだと考えています。
侵害がおこりうる場合や問題がおこりうる可能性がある事柄の場合、別な言い方をすれば権利者が権利行使をしなければいけないかもしれない可能性のある場合、つまり権利の活用となる場合は「利用」を使うべきではないか、と考えます。

具体的に、例えばスマートフォン、で考えてみます。
スマートフォンには、いくつかの特許技術が利用されています。特許以外に、意匠や商標も利用されています。
私達が日常的にスマートフォンを使う行為、これは特許等の権利を侵害しているわけではありませんから「使用」です。
しかし、スマートフォンで使われている特許技術や意匠、商標を勝手に自分の製品に用いてそれを販売したら、これは知的財産権の侵害行為です。もちろんちゃんとライセンスを受けていれば問題ないわけです。このような場合は「利用」というべきです。
そう考えると「先使用権」という言葉は変ですね。「先利用権」にした方がいいのではないか、と思います。



著作権のみならず、知的財産権においては、「使用」と「利用」とは、ちゃんと言葉を使いわけるべきではないでしょうか、なんてふと考えてしまいました(笑)。