知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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知的財産管理技能検定1級ブランド学科試験サンプル問題自分学習用解説その9

知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験サンプル問題自分用解説、今回はその9として、問17、問18、問19ついて書きます。
問17はTシャツメーカーのブランドデザインについての問題で、問18は弁理士業務についての問題で、問19はパリ条約についての問題です。


問17は、Tシャツメーカーの新しいブランドで使用するブランドロゴデザインやキャラクターデザインについての問題で、不適切な選択肢を選びます。
アは正しいです。権利保護のためロゴマークは商標登録を受けておくのが良いです。
イは間違いです。ここで、「Asahi」ロゴマーク事件を引用して、「著作権法によるロゴの保護も十分に期待できる」と選択肢の文にありますが、ロゴマークが著作権で保護できるという考えは、一般的ではなく、十分に期待できる、とはいえません。
ウは正しいです。第二ポパイ事件の判決をふまえれば、選択肢の文のような内容での商標の使用は、商標法での保護を受けられない可能性があります。
エは正しいです。イラストは著作物として著作権法による保護が期待できます。著作物を完成した時点で自動的に著作権は発生しますが、著作権の権利関係等をはっきりさせるための登録制度が著作権にもあります。ただ、特許や商標と異なり、著作権では登録が権利発生の要件にはなっていません。
よって選択肢イが不適切で、正解です。


問18は、商標における弁理士業務の問題で、不適切な選択肢を選ひます。
アは正しいです。弁理士は、特許や商標等の利用許諾のライセンス契約の媒介業務をすることができます。
イは正しいです。弁理士は、特許や商標等の譲渡契約の締結の代理業務を行うことができます。
ウは正しいです。弁理士は、商標登録に無効理由がないかを確認するクライアントの依頼に従い、判定請求の代理業務をすることができます。
エは間違いです。商標登録の無効審判を請求する際、公益的事由である場合を除き、請求人は利害関係がある当事者でなければなることができず、弁理士が請求人となって無効審判を請求することはできません。ただ、代理行為はできます。だから、「請求人を弁理士乙とした」が間違いです。
よって選択肢エが不適切で、正解です。


問19は、パリ条約での商標の保護等についての問題で、適切な選択肢を選びます。
アは間違いです。パリ条約上の保護を受けるために、パリ条約同盟国に住所又は営業所があることが必要とはされません。
イは正しいです。パリ条約上、本国(この設問では日本)で正規に登録された商標の形は、原則、他の同盟国においても、そのままの形で登録を認められかつ保護されます。
ウは間違いです。パリ条約加盟同盟国である本国での基礎出願から6ヶ月以内であれば、パリ条約の他の同盟国に、本国での出願を基礎としたパリ条約の優先権を主張して、その同盟国に出願することができますが、この選択肢の文の場合では、この「本国での基礎出願から6ヶ月以内」に当てはまらない時期があるので、この選択肢は不適切といえます。
エは間違いです。パリ条約の優先権を主張して同盟国で商標登録をした場合、それは直接出願になります。直接出願の場合、本国である日本での商標権が消滅したとしても、他の同盟国で直接出願した商標権には全く影響を与えません。なお、本国の商標権の消滅が他の国の商標登録にも影響を与えてしまうことがあるのが、いわゆるマドリッドプロトコルにおけるセントラル・アタックです。これは、後の問題で説明します。
よって選択肢イが適切で、正解です。