知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

タダでも「営利行為」となることがあるそうです

「音楽教育を守る会」が裁判をおこしましたね。著作権を侵害しないことの、つまりJASRACに対する支払い義務が存在しないことの、確認訴訟です。

とうとう裁判沙汰になりましたか。まあ、動向を見守っていきたいと思います。

 

 

さて、ネットサーフィンをしていましたら、以下の栗原潔弁理士のブログで、興味深いものを見つけてしまいました。

 

なぜ無料でノーギャラのコンサートにJASRACが金を取りに来るのか? | 栗原潔のIT弁理士日記

 

著作権法第38条1項の規定で、「非営利、無料、無報酬」の上演の場合は、著作権者の許諾は不要で、著作権料は発生しない、とされていますが、この中の「非営利」についての解釈において、私これまで誤解しておきました。

これまで、タダのイベントは当然「非営利」だと思っていましたが、違うようです。タダのイベントであっても、それが何かしらの「宣伝・広告」目的であれば、それは「営利行為」になるそうです

タダのイベントで、「無料」「無報酬」であっても、それが「営利行為」である以上は、著作権者の許諾を得る必要があり、必要に応じて著作権料を支払わないといけない、ということです。

 

例えば、とある店が、知り合いのアマチュアバンドに頼んで、集客の為にその店で「無報酬」で演奏してもらった、とします。もちろんこれは「無料」のイベントで、見にきた人からは金をとりません。演奏した曲は、現在人気があって売れている他の人(プロアーティスト)の曲だとします。

一見「非営利」のようにも思えますが、これは「集客目的」ですから、立派に「営利行為」となる、ということだそうです。

 

近所のデパートで、たまにエレクトーンの演奏イベント(演奏しているのは、これまた近所のエレクトーン教室の生徒さん)が行われています(無料で、おそらく無報酬)が、デパートの客寄せパンダ的イベントである以上は「営利目的行為」と解釈でき、これには著作権法第38条1項は適用されない、ということなのでしょう。

 

なるほど。知らなかったです。

でも、これって、知らない人けっこう多いと思いますし、実際にはかなり見過ごされているでしょうね。

 

まとめ インターネットにアップされた「歌ってみた動画」について

これまで3回にわたり、カラオケ歌唱動画とYouTubeについて書きましたが、これらのまとめとして、カラオケだけでなく他の場合もふまえて、YouTube等インターネットにアップされた歌ってみた動画」について書いてみます。

 

 

これまでに書きましたとおり、著作権については、YouTubeJASRAC等音楽著作権管理団体と包括的利用許諾契約を結んでいますから、問題ありませんが、著作隣接権はこの契約での管理管轄外ですので、別途著作権者からの許諾を得ないといけません

YouTube以外でも、だいたい同じかと思います。

 

これをふまえて。

 

(1)自ら伴奏を演奏して(あるいは無伴奏で)「歌ってみた動画」の場合

この場合、許諾の必要があるのは著作権だけですから、基本的には問題はないと考えられます。なお、曲や歌詞をアレンジ(改変)して歌っている動画の場合は、著作権」のうちの「編曲権」の侵害と考えられる可能性があります。これはJASRACの管理管轄外です。直接、著作者(著作権者)に許諾を得る必要があるでしょう。あわせて著作者人格権(の同一性保持権)への考慮も必要となるでしょう。また、伴奏が存在しその伴奏を演奏する場合については、その伴奏編曲者の著作権(二次著作権)も考慮しなければならないでしょう。なお、JASRACは、公表時編曲者による公表時編曲については管理しているようです。

現実として実際のところはどうされているのか、詳しい方がいらしたら教えてください。

 

(2)市販のCD、DVD、カラオケ音源等にあわせて「歌ってみた動画」の場合

この場合、許諾の必要があるのは、著作権だけでなく、レコード会社等の著作隣接権もだと考えられます。前述の通り、著作権は音楽著作権管理団体と包括契約をしていますから大丈夫ですが、著作隣接権については別途直接に権利者から許諾を得ない限り動画をアップすることはできないことになります。ただし、そのアップした動画に曲名の明示がなく曲がはっきりとわからない程度の動画への音源音声、映像の入り込み、映り込みの場合については、著作権法第30条の2により、問題なくアップできると考えられます

 

 

とにかく、インターネットにアップする場合には、著作権及び著作隣接権に注意をしましょう。リスクが少しでもあるなら、投稿しないのが無難です。

カラオケ歌唱動画とYouTube 著作権法制度的観点 その3

(その2の続きです)

 

前回、前々回と、カラオケ歌唱動画をYouTubeにアップする行為が、法制度的に権利者の権利を侵害していると書きました。とはいえ、実際に権利者に損害を与える行為であるかどうか、私には疑問です。だからこそ、前回に書いた3要件のうち、③についてだけは適用になる、と書いたのです。

 

 

もっとも、そのあたりは、カラオケ機器メーカーも意識しているようで、今回の裁判の原告である第一興商(DAM)にしろエクシング(JOYSOUND)にしろ、ネット上にカラオケ歌唱動画をアップするための何らかのサービスは用意しているようです。

 

第一興商やエクシングが、これまでアップされたカラオケ歌唱動画に対しその削除要請をし続けてきたのは、実際の損害はなくとも、少なくとも形式的には「著作隣接権侵害」である以上放っておくわけにはいかなかったのだと思います。そうしないと、黙示許諾をしたこととなり、いずれ悪質なアップが起こりかねない、と考えたのかもしれません。そして今回の裁判の被告は、第一興商による再三の削除要請に対してそれに応じなかったから、今回のようなことになってしまったのだと思います。

私は、最初、第一興商のやりすぎ、東京地裁の暴走、とまで考えてしまいましたが、現在では仕方のない当然のことだったと考えています。

 

いろいろな方が、これをきっかけに議論が深まればいい、とおっしゃられてます。私は、著作権についての理解が深まるきっかけになれば、と願ってやみません。

カラオケ歌唱動画とYouTube 著作権法制度的観点 その2

(その1の続きです)

 

著作権法第30条の2」は、写真等(動画、静止画)の撮影などにおける著作物の写り込み(音声著作物なら入り込みとでもいえばいいでしょうか)に関する著作権法の規定条項です。

 

今回の裁判では、被告は、歌っているところの動画の撮影がメインであり、自分がカラオケしているところをYouTubeにアップして見せたかったようで、カラオケの音声やモニターの映像をアップすることを目的としていない、つまり侵害の意図はない、というようなことを主張しています。

 

実は私も最初この意見に同意してしまいました。しかし、よくよく考えてみると、見ず知らずの人がただカラオケを歌っているだけの動画を、普通見たくなりますでしょうか。私ならなりません。つまり、おそらくこの被告の方は、注目をあびるために、「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌って見た」というタイトル、ハッシュタグ等にでもして、動画をアップしたのではないか、つまり、視聴数をあげることを目的とするために、タイトル、ハッシュタグ等に◯◯◯◯◯◯(曲名)を書いたのではないか、と考えております。これは、例え被告に「著作隣接権侵害」の意識はなくても、◯◯◯◯◯◯(曲名)を書くことで、注目を集め視聴数をあげようとしていたと考えられますから、意図的に「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌っている映像」を(もちろん◯◯◯◯◯◯(曲名)であることがわかるような形で)アップしたに違いないわけで、これならば立派に「著作隣接権侵害」になると私は考えます。そして、実際、裁判では侵害したと判断されたわけです。今となっては、削除されていますから、アップされた動画を確認することはできませんが。

 

著作権法第30条の2」の第1項には、この条項の適用がされるための3要件として、①「分離困難性」②「軽微性」③「利益不侵害性」があげられています。この3要件にあてはまるならば、いわゆる「写り込み(入り込み)」とされ、侵害は問われません。また、第2項では、写り込んだ(入り込んだ)画像のネットへのアップについても規定されています。

 

私は、今回は、③のみが適用となりえるケースで、①と②は適用とはならないのではないかと考えます。

今回はカラオケ歌唱動画です。そうである以上、いくら歌っている人を中心に撮影しても多少なりのカラオケ音源とモニター画面の入り込み写り込みは十分ありえることで、その点から①の「分離困難性」はあり、またあくまで歌っている人がメインの撮影なのですから②の「軽微性」もあてはまるのではないか、と「一見」考えられそうです。

しかし、しかしです。もし、YouTubeにアップする際、注目を集め視聴数をあげようと考え、「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌って見た」というタイトル、ハッシュタグにでもしてアップしたとしたら、どうでしょう。それは、「意図的に」◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌っていた、と言えるのではないでしょうか。わざと、◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌っているとわかるように撮影してアップしたのではないでしょうか。「意図的に」そうしているのであるならば、①の適用が認められるはずなどなく、②の軽微性ももはやないと言ってしまっていいと思います。

 

例え侵害の意識、意図はなくとも、「◯◯◯◯◯◯(曲名)を歌って見た」というタイトル、ハッシュタグでアップしたならば、それは事実上侵害行為を意図的にしたと言っていいと思います著作権法制度上、立派な著作隣接権に対する侵害行為が成立する、と私は考えます。

 

前述のとおり、アップされた動画が削除されている現在において、確認のしようがありませんが。

 

 

(その3に続きます)

 

 

カラオケ歌唱動画とYouTube 著作権法制度的観点 その1

昨年の12月になかなか興味深い判決が、東京地裁でなされました。

 

ある曲をカラオケで歌っているところを撮影した動画をYouTubeにアップした人を、第一興商著作隣接権侵害で訴えたそうです。そして東京地裁は、その訴えを認め、第一興商は勝訴したそうです。

 

 

私は、最初この判決に違和感を感じましたが、その後いろいろ調べ、著作権法制度を見直した結果、現在では、東京地裁の判断は(法制度的には)間違っていないと考えております。

 

 

YouTubeJASRAC著作権管理団体と包括的利用許諾契約を結んでいるから問題ないのでは?」とお考えの方がいらっしゃるかと思います。

確かにYouTubeJASRAC著作権管理団体と包括的利用許諾契約を結んでいますので、「著作権」については問題ありません。そう「著作権」については。

今回の裁判は著作隣接権侵害の裁判です。著作隣接権JASRACの管理管轄外、つまり包括的利用許諾契約の対象にはなりません。ですから、別途著作隣接権者から許諾を得なければ、YouTubeにアップすることはできません。

YouTubeは、現在もCD音源は原則アップできないはずですが、それはCD音源は著作隣接権が絡んでくるからです。包括的利用許諾契約で「著作権」はクリアになっても、著作隣接権を持つレコード会社に許諾を得た上でないと、CD音源はYouTubeにアップできません。もしYouTubeにアップされているものがあるとしたら、何らかの形で許諾を得るなどして著作隣接権についてもクリアになった上でアップしたか、あるいは違法アップロードであるもの(YouTubeはそのことに気づいていないだけ)と思われます。

今回の裁判の場合もこれと同じでしょう。第一興商はレコード会社と同様に著作隣接権を持っているわけです(おそらく「レコード制作者の権利」と「有線放送事業者の権利」の両方が当てはまるのではないかと私は考えていますが、前者の方が大きいかと思います。)。

ですから、今回は被告は第一興商著作隣接権について許諾を得ずにアップしたため、問題となり裁判沙汰になったのだと思います。

 

 

さて、被告の方は「カラオケを歌っている映像がメインであり、けっしてカラオケの音源音声やモニター画面を撮影する意図、侵害の意図はない。」というように主張したようです。

 

これについては、次回に著作権法第30条の2」をもとに考えてみたいと思います。

 

(その2に続きます)

解説を終えて考えたこと

今回の第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験、自分用解説を一通り書いてみましたが、ふりかえると、判例からみの出題が増えた気がします。

 

17問目、24問目、25問目、26問目、27問目、29問目、都合6つの問題において、なんらかの形で判例がからんで出題されていると考えられます。

 

そのパターンは、まず大きく2つ、

判例の存在を問題文又は選択肢の文におもてだって書いてはいないが、問題文又は選択肢の文のベースとして判例が参考にされていると考えられる設問(24問目、26問目、27問目)

②問題文あるいは選択肢の文で、はっきり判例名が書かれている設問(17問目、25問目、29問目)

にわけられます。

また、さらにサブ的わけ方として、

❶1つの問題が1つの参考判例にフォーカスされている設問(24問目、25問目)

❷各選択肢ごとにそれぞれ参考判例がある設問(26問目、27問目)

❸選択肢の中の1つ又は2つに参考判例が明記されている設問(17問目、29問目)

と分類することができます。

 

選択肢ごとに見てみますと、

⑴17問目は、②&❸です。17問目自体は判例問題といえないかもしれませんが、選択肢のイとエで、TRIPP TRAPP事件(vsカトージ)」についての記載があります。なお、この問題は、意匠と著作権の問題です。

⑵24問目は、①&❶です。判例名こそ書かれていませんが、わかる方にはフレッドペリー事件」を(選択肢イについてはバイアグラ錠剤事件」も)参考にした問題ではないかと思わせる問題です。24問目は1つの判例にフォーカスされた問題です。なお、29問目の選択肢アが24問目をとくヒントになっています。

⑶25問目は、②&❶です。「IKEA商標事件」をズバリ出題しています。25問目は1つの判例にフォーカスした出題です。

⑷26問目は、①&❷です。判例名は選択肢の文には書かれていませんが、それぞれの選択肢にはベースとなる判例があると思われ、選択肢ア、イはメープルシロップ事件」、選択肢ウは小僧寿し事件」、選択肢エは「花粉のどあめ事件」を参考にした問題と思われます。

⑸27問目は、①&❷です。27問目は、不正競争防止法の問題です。判例名は選択肢の文には書かれていませんが、それぞれの選択肢にはベースとなる判例があると思われます。選択肢アはくろず事件」、イは「赤木屋プレイガイド事件」「つゆの素事件」、選択肢ウは花柳流舞踏事件」「山葉楽器事件」、選択肢エは「フジマンバルブ事件」を参考にした問題と思われます。

⑹29問目は、②&❸です。29問目自体は判例問題といえないかもしれませんが、選択肢アにて、フレッドペリー事件」について、詳しく書かれています。前述のとおり、この選択肢アの説明が24問目を解くためのヒントになっています。

 

 

こうやってみると、❸のような、判例問題とはいえない問題の選択肢の文1つ(あるいは2つ)に判例名あるいはその内容を明記するパターンでの出題が増えたと思います。

また、今に始まったことではないですが、⑴17問目の問題が意匠と著作権の問題、⑸27問目の問題が不正競争防止法の問題ですので、これらから、商標の判例だけでなく、意匠、著作権不正競争防止法判例まで、それなりに広くカバーしておく必要があるといえると思います。

 

 

判例問題は、多くは、別に判例を知らなくてもそれなりに解答ができる程度の問題かもしれません。

しかし、判例を知っていれば、比較的簡単に解けますから、問題を解く時間の節約になりますし、なにより根拠があるわけですから自信をもって答えることができます。

ですから、商標のみならず、意匠、不正競争防止法著作権の関連部分まで、ある程度の判例はおさえておいた方がいいのではないか、と思います。

とはいえ、全ての判例を知ることなど所詮無理な話です。最低限重要な判例は知っておき、その上で覚えなくても構わないのでできるだけ多くの判例に目を通しふれておくことが大事だと思います。

 

海外まで手を広げるときりがないので、私は海外判例に対しては特になにもしていません。ただ、なんらかの機会がある度にその範囲においてチェックは必ずするようにしています。

 

 

個人的には、今後は国内、海外問わず判例をからめた問題がより増えていくような気がします。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 43問目 44問目 45問目 (後編)

(前編の続きです。)


第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は43問目、44問目、45問目の後編、44問目、45問目の説明です。

なお、問題の前提となる事項については、前回を御参照ください。

 

 

44問目は、自社のEU商標に類似する商標に関する「Leeko」がEU出願されていることを知ったReeco社のとった行為について「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは間違いです。EUへの直接出願の場合、異議申立ての期間は「公告の日から3ヶ月の間」までなので、選択肢の文にあるように「公告の日から3ヶ月が経過するのを待って、異議を申し立て」た場合は、異議申立ての期間がすぎているので、その申立てが受け入れられることはありません。なお、マドリッドプロトコル経由での出願の場合では、今回のEU商標制度の改正により、選択肢の文のとおり公告の日から1ヶ月後に異議申立てができ、その期間は3ヶ月間に短縮されています
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。EUの商標制度にはクーリングオフ制度があり、異議申立ての後、両当事者は自ら交渉により解決を図ることができます。EUの商標制度には、その根底には「まず当事者による解決をはかる」という考えがあると思います。クーリングオフ制度は、その1つの表れではないかと。
選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。直接交渉しようと代理人を通して交渉しようと、適切な手段で交渉するならなんの問題はありません。
選択肢エは正しいです。選択肢の文のとおりです。Reeco社とリー氏が商標の共存の可能性について協議することになんの問題もありません。EUの商標制度には同意書(コンセント)制度があり、よってEUでは類似商標の共存が可能です。この制度がある、国・地域は少なくありません。
よって、選択肢アが間違いで「不適切」なので、アが正解です。 

 


45問目は、事業の名称の変更をリー氏が検討していることについて「適切」な選択肢を選ぶ問題です。

なお、名称変更の背景には、同一の商品に使用される類似する先行EU商標の存在があるとのことです。
選択肢アは間違いです。クーリングオフ期間中は出願商標の審査手続きはとまっていて進行することはなく、よってクーリングオフ期間中に出願商標が登録されることはありません。
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。この選択肢の文に「帽子を除いたいかなる製品の生産も認めず」とありますが、先行商標の権利内容がわからないので、「いかなる製品の生産を認めず」とあるのはおかしいといえます。また、帽子に添えて使用するピンバッチは、それが帽子とは別に単独で流通する商品ではない以上、そのピンバッチに商標を使用しても問題はないと考えられますし、そもそもまだリー氏のアイデアでしかありません。ですから、リー氏が先行商標の所有者の要求を拒否しても問題ありません。
選択肢ウは間違いです。これまではEU登録商標を第三者が会社名または商号として使用しても商標権侵害にはなりませんでしたが、今回のEU商標制度の改正でそのレギュレーションから「商号」という言葉はなくなり、よって第三者による会社名または商号としてのEU登録商標の使用は商標権侵害となりました
選択肢エは間違いです。EU出願商標をその登録が公告される前にその出願商標を使用して事業を開始した場合には、もし登録されなかったらその使用をやめなければならなくなるリスクが存在するので、問題です。
よって、選択肢イが正しく「適切」なので、イが正解です。