知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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ベ【非連続不定期掲載】 ベストライセンスへの対処 その3 商標法第32条や第29条についてパート2

(非連続不定期に、その3パート1
ベ【非連続不定期掲載】 ベストライセンスへの対処 その3 商標法第32条や第29条についてパート1 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?
の続きです。)

 

 

前回は、商標法第32条について書きました。今回は、商標法第29条について書きます。

 

 

第29条は「他人の特許権等との関係」について、です。
(こちらも条項文を省略します)
「(通常使用権者、専用使用権者の使用を含む)商標権者がその指定商品・指定役務に使用している登録商標について、それがその登録出願より前から生じた他者の特許権実用新案権意匠権著作権著作隣接権に抵触している場合は、その抵触している部分の範囲に限り商標権者は登録商標を使用することができない。」というものです。
前述の、ピコ太郎さんのPPAPの場合は、こちらの方がむしろいいのではないかと思います。PPAPという言葉自体は、著作物ではありませんが、著作物のタイトルですので、その著作物と関係する形でなら保護されえます


ただ、注意するべきことがあります。第29条では、あくまで「商標権者はその抵触している部分に限り登録商標の『使用』ができなくなる」だけで、商標自体は変わらずに『登録されたまま』である、ということです。
しかし、抵触部分で商標権者が使用できなくなる(権利行使できなくなる)ということは、イコール商標権以外の知財の権利者はその抵触部分で変わらず自らの権利を行使できるいうことです。ピコ太郎さんは、何の問題もなく変わらずPPAPを歌い続けることができるということです。


もっとも、ベストライセンスは、PPAPの商標権を得たわけではありません。出願しただけで、登録になっているわけではありません(まあ登録されないでしょうが)。だから、あくまで前述はベストライセンスが仮に商標登録できた場合の話です。

 

 

ちなみに、今回の件は、第26条「商標の効力の及ばない範囲」にても考えることができます。商標的使用でないなら、商標の効力は及ばない、その商標的使用にはならない範囲を第26条で規定しています。

ただ、著作物のタイトルについての見解はわかれているようです

なお、判例「under the sun事件」では、CDのタイトルが他者の商標と同一類似であっても、CDのタイトルは第26条でいうところの商標的使用とは認められず、よって他者の商標の効力は及ばない(CDのタイトルは商標権侵害にはならない)、という判決がだされています。
この考えを援用して、PPAPについても同様に考えることができるのではないか、とも個人的には思います。

 

もちろん、前述のとおり、ベストライセンスは出願しているだけで、登録になっているわけではなく(まあ登録されないでしょうが)、商標権を得たわけではありませんので、第26条についてもあくまで仮にベストライセンスが商標登録できた場合での話です。

 

 

 

(その4   最終回   へ続きます。)