知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

あらためて見直しましたEUの商標制度の改正内容

去年の秋頃、今度の知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験の試験問題予想を書いた際、EUの商標制度の改正について少しふれて書きました。

 

 

今回、私は、今度の試験対策で、EUの商標制度の改正についてあらためて見直したところ、今回の改正での重要な点が結構あることに気がつきました。

 

 

今回の改正、大きな項目としては、

 

①名称変更

OHIM → EUIPO(日本語で言えば「欧州知的財産庁」)

CTM → EUTM(日本語で言えば「欧州連合商標」)

②出願・更新等にかかる費用の変更

③商標の定義規定の変更

定義規定から「視覚的に表示されること」の部分がなくなった等の規定変更で、これにより条文上でもはっきりと音商標等が認めれたわけだが、ただしその登録は明確かつ正確に判断できる方法にて登録簿に表示できるようにされなければならない

④証明商標制度の導入

⑤指定商品・指定役務の記載に関しての変更

クラスヘディングを書いても、その類の全商品・全役務が指定されるのではなく、その文言どおりに解釈される等

⑥優先権主張の運用変更

優先権主張は出願と同時

⑦先行商標調査報告書の運用変更

希望した場合のみ送付

⑧国際登録における欧州連合指定についての異議申立期間の変更

公告日から1ヵ月(以前は6ヵ月)の日を起算日としてその日から3ヵ月以内まで(よって異議申立期間は実質的に4ヵ月に短縮)に変更

⑨異議申立や(相対的無効理由での)無効審判における使用証拠の提出についての起算日の変更

異議申立や(相対的無効理由での)無効審判におけるその根拠となる先願登録商標について、後願商標の出願人は、異議申立人や無効審判請求人に対して、その後願商標の出願日又は優先日(以前は公告日だった)を起算日としてその5年以上前からその先願登録商標が使用されているその証拠を求めることができる

⑩商標権の効力についての規定の変更

 

の10点というところでしょうか。

 

この改正は2016年3月23日に施行されました。未確認ですが、③については2017年10月1日行という話らしいです。 

 

上記の説明は部分的なものです。これら10点のさらなる詳細説明については、書くとかなり長くなってしまうので、すみませんがインターネットで御自身で調べて確認してくださるようお願いいたします。

 

 

個人的にはどれも出題ポイントになりそうな気がします(笑)。

【再び解説】第20回1級ブランド専門業務学科試験問題 自分学習用解説 29問目(特に選択肢アを手直ししました)

おととしの4月あたりに、第20回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験の自分勉強用解説、29問目について書きました。

 

今回、自分が書いた過去問の解説を見直してみたところ、この問題の選択肢アが、あまり上手い解説ではない、と思いました。

 

そこで、あらためて第20回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験の29問目(特に選択肢ア)について解説をし直したいと思います。

 


__________________


29問目は、水際取締りにおけるTRIPS協定の規定に関する問題で、「適切」な文章内容の選択肢を選ぶ問題です。

TRIPS協定の問題、というよりは、日米欧の水際取締りについての比較の問題、というところでしょうか。

 

29問目は、TRIPS協定を知らなくても解ける問題です。それは、説明文のところに日米欧の水際取締りの比較表があり、この表が問題を解くヒントになるからです。

ただし、選択肢アについてだけは、この表が頭を混乱させることになります。

また、選択肢イについては、この表は全くヒントになりません。

選択肢アは間違いです。

選択肢アを読みますと、「米国において、商標権侵害物品が輸入されていると思われる事実があったとき、権利者は国際貿易委員会(ITC)に差止申立てをすることになる。」とあります。そして表を見ますと、米国の「暫定的通関停止を決定する権限ある当局」(知的財産権侵害物品の輸入通関を停止(輸入差止め)させるべく権利者の申請を受ける当局)の欄に、「国際貿易委員会(ITC)」とあります。そうなりますと、「選択肢アは正しい」と考えてしまいます。

確かに申立ては「国際貿易委員会(ITC)」に対して行います。しかし、連邦登録した商標の場合には、税関にその旨を申請することで、税関にて水際で商標権侵害物品の輸入を差止めることができます。その点からいえば、選択肢アの「権利者は国際貿易委員会(ITC)に差止申立てをすることになる。」の部分は間違い(といいますか、正しくない、不適切)といえます。なお、未連邦登録商標の場合はこれはできませんので、国際貿易委員会(ITC)に差止申立てをしなければなりません。

 

(以下は、以前の解説とほぼ同じです。)

 

選択肢イは間違いです。

日本では、権利者も輸入者も税関長の決定に不服がある場合、その不服の申立てができる手続が整備されています。これは前述のとおり表からはわかりませんが、税関制度について多少勉強していれば、わかる問題です。


選択肢ウは正しいです。

表によると、税関における全ての決定手続の権限は、日本では税関長にあります。そのため、日本では迅速な取締りができる、とされています。


選択肢エは間違いです。

EUの場合、表によれば、(各国の)税関長には暫定的通関停止の決定を行う権限があり本案についての最終判断の決定を行う権限は(各国の)裁判所にあります。これは、EUの規則で決まっているようです。これはつまり、裁判所と税関長とのそれぞれの権限は別物で、裁判所は税関長の暫定的通関停止の判断理由を尊重しなければならないわけではなく、独立して「慎重な判断」をしているようです。なお、別途の手続きにより、裁判所の判断、認定手続きを待たずに、最終的に税関長による廃棄等の処分ができる場合があるようです。何にせよ、日本よりは迅速ではないらしいです。

 

 

日本は迅速さを重んじて、欧州は慎重な判断を重んじて、米国は両者の中間的な感じ、というところでしょうか。

 


よって、選択肢ウが「適切」で正解です。

「森のくまさん」の替え歌の一件について (一部修正しました)

パーマ大佐氏とユニバーサルミュージックは替え歌をなめすぎ(笑)。

 

 

「森のくまさん」の替え歌をつくったパーマ大佐という芸人さんと、それを販売したユニバーサルミュージックに対して、「森のくまさん」の日本語訳詞者(オリジナルはアメリカの童謡らしい。)である馬場祥弘氏が、著作権(著作者人格権のうちの同一性保持権)を侵害したとして、CDやDVDの販売中止とインターネットへのアップの停止、そして慰謝料を求めたそうです。

 

私は、インターネットでこの件を知り、いくつかの記事を読みましたが、疑問に思ったことがあり、それについて書こうと思います。

 

(そもそも、馬場氏に翻訳した日本歌詞についての著作権があるかどうか、意見がわかれているそうです。翻訳したものが二次著作物になるか、ということでしょう。私は著作権はある、翻訳したものは二次著作物になる、と考えてい、それを前提としてこのブログを書きますが、その説明については複雑になりそうなのでしません。また、パーマ大佐氏は元の歌詞には手をつけず新たな歌詞を加えただけで、その行為は著作権法でいう改変にあたらないという意見もありますが、私は改変にあたると思います。なお、この件の権利関係の詳細な説明もしません。複雑ですし、また私が知らないこともまだ少なくないだろうからです。だったら書くな、なんて言わないでください(笑)。あと、パロディとかフェアユースとかにもふれませんのであしからず。個人的には、今回の替え歌はよくできたパロディ作品だとは思います。でも、著作権侵害作品であることにはかわりないと私は考えます。)

 

 

まず、今回の件で、JASRAC が馬場氏に対して連絡をとり歌詞改変の許諾を求め、それに対して馬場氏は断った、というようなことが、いくつかの記事に書いてあったのですが、実際にこのようなことがあるのか、が私には疑問です。

JASRACユニバーサルミュージックやパーマ大佐の代わりに権利者である馬場氏に連絡をとり許諾を求めることがあるのでしょうか?

 

替え歌の場合、著作権として、歌詞の改変権著作者人格権同一性保持権がひっかかり、その許諾をえないと替え歌をしてそのCDを販売することはできないはずです。(同一性保持権については、許諾ではなく権利不行使の承諾ですね。)

ですが、JASRACではこれらの権利については管理対象外です

 

そのJASRAC が、パーマ大佐氏やユニバーサルミュージックのかわりに、馬場氏に連絡をとり許諾を求めるというのが、私には考えられません。JASRAC が馬場氏に連絡をして許諾を求めることなどありえないはずです。

一部には、JASRAC は単に両者の仲介をしただけで、実際に許諾を求めたのはユニバーサルミュージック、というようなことが書かれていました。この仲介すらもJASRAC の管轄外行為、だと私は考えるのですが、いかがでしょうか?

JASRAC がパーマ大佐氏やユニバーサルミュージックに馬場氏の連絡先を伝え、パーマ大佐氏やユニバーサルミュージック「直接に」馬場氏に連絡して許諾を得ようとした、というならわかります。

なお、馬場氏いわく、パーマ大佐氏やユニバーサルミュージックから「直接に」連絡があり許諾を求められたことはないそうです。ですから、実際に連絡をしたのはJASRAC のようです。



それから、この件の記事で、ユニバーサルミュージックの広報の方が、「適切な手続きをふんで販売した」ということが書かれていますが、その「適切な手続き」とはいったい何を意味しているのでしょうか?

単にJASRAC に「使用料」を支払った、ということでしょうか。だとしても、前述のとおり、JASRAC は管轄外なので、ユニバーサルミュージックJASRAC に「使用料」を支払うことなどありません

ユニバーサルミュージックは、「適切な手続きにより、許諾をえた」ので、馬場氏にCDを送ったそうですが、当の馬場氏は許諾を与えていないと主張していますから、本当に謎です。

 

 

私は、現行の日本の著作権法制度上、馬場氏の主張はごもっともであり、パーマ大佐氏やユニバーサルミュージック著作権法制度についての認識が間違っていてそこに重大な落度があった、と考えています。

 

 

ともかく、素人ではないプロ(芸人やレコード会社)ならば、安易に替え歌をして、それを公表したり発売したりしないこと、だと考えます。

パーマ大佐氏やユニバーサルミュージックは、嘉門達夫さんを見習い、爪の垢でも煎じて飲むべきでしょう。ちなみに、今回の件についての嘉門達夫さんのコメントを読むと、かなり著作権についての理解が高い方とお見受けしました。そうでないと、プロとして、替え歌なんてできませんよね。

 

 

 

あと、馬場氏を批判し、パーマ大佐氏とユニバーサルミュージックを擁護する方の中で、著作権法制度を無視している(違法行為を認めてさえいる)人が見受けられますが、法制度を尊重した上で擁護しないといけない、と私は考えます。

 

 

 

 

追記

ラジカルな提言をした私のかつてのブログ

(2018/01/07加筆。もともとはここに、そのブログのURLを書いていたのですが、そのURLは間違ってましたので削除しました。また、今となっては、いつ書いたブログのやつのURLが正しいのかわからないため、URLを書かないことにしました。すみません。)

が見られているみたいです。

まさか現在ではJASRAC が同一性保持権や翻案改変権も管理するようになったとか?いや、管理はしていなくても(法制度上できなくても)、会員(レコード会社等)の代理として、今では会員の代わりにJASRAC は権利者に対し許諾交渉をしているとか?だとしたら、私の勉強不足です。すみません。

【説明を改めます】第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 29問目について その2

(その1の続きです。)

 

 それでは、各選択肢ごとの説明をしていきます。

 


繰り返しますが、29問目は、「日本での輸入差止申立てに関しての会話」の選択肢で「不適切」なものを答える問題です。

出題の前提として、
①家電メーカーX社は、日本において商標「ABC」を登録している
とあります。


選択肢アは正しいです。選択肢アの文のとおりです。

現在では、9つある日本の税関のうちのどれか1つに申立てを行えば、全ての税関にその申立てをしたことになりますので、別の税関にも別途申立てをする必要はありません


選択肢イは間違いです。

選択肢イ(甲の発言2)は、「商標『ABC』の指定商品と同一又は類似の商品で『ABC』を無断で使用している商品については、全て簡素化手続きの対象となります。」とありますが、「全て簡素化手続きの対象となります。」の部分が間違いです。前回説明したとおり、疑義貨物の発見に対して「輸入者が争う場合」は、「通常の認定手続」となり「簡素化手続」にはなりません。「簡素化手続」には「輸入者が争わない場合」のみなります。ですので、全て簡素化手続きの対象となるというのは間違いなのです。なお、はるか以前の説明でいろいろ書きましたが、それは正しくありません。

 

選択肢ウは正しいです。

根拠となる文献等は見つけられませんでしたが、「簡素化手続」では、前回説明したとおり、「権利者の輸入差止申立てに基づく認定手続」となり、意見や証拠の提出は求められませんので、そのために疑義貨物の侵害物品の画像情報、つまり写真をメールで送ってもらう必要がそもそもありません。ですから、「簡素化手続」においては、写真をメールで送ってもらうことはありません。

なお、「通常の認定手続」においては、意見や証拠の提出等のため必要ならば、疑義貨物の侵害物品の写真(画像情報)は、希望を申し出れば、1回だけメールにて送信してもらうことができます。ただし、大量の画像情報の送信はしない等、いくつかの場合には税関はその送信を行いません。

 

選択肢エは正しいです。選択肢エの文のとおりです。

根拠となる文献等は見つけられませんでしたが、「通常の認定手続」に入る前税関からの鑑定依頼として、疑義貨物の画像情報がメールにて送付されてくることがあるようです。

これとは別に、前述のとおり、「通常の認定手続」においては、意見や証拠の提出等において必要がある場合には、申し出ることにより税関からの疑義貨物の写真(画像情報)をメールで受け取ることができます


よって、選択肢イが間違いで「不適切」なので、イが正解です。

【説明を改めます】第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 29問目について その1

前回の第23回知財管技検定1級ブランド学科試験の見直しをしてみました。

それで、以前にブログに書いた第23回知財管技検定1級ブランド学科試験の29問目の自分学習用解説の私の説明 (特に選択肢イの説明)を読み直しましたら、はっきりいって変でした。なんじゃこりゃ?

 

私の理解力不足のせいです。すみません。

 

というわけで、第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 29問目(特に選択肢イ)について、改めて、解説を書き直します。

なお、公式解答のとおり、選択肢イが正解(つまり甲の発言2が不適切)であることは変わりません。

 

あれから、多少なりとも勉強してきましたが、今現在が当時よりも私の理解力があがったのかどうか、私にはわかりません。今回の書き直した解説において、いまだなおまだおかしな点がございましたら、御指摘くださると私としても助かります。

また、以下の説明について、全てを説明しているわけではなく、はしょった部分があることを御了承ください。

 

 

 

では説明に入ります。

 

29問目は、日本の税関における知的財産権侵害物品の水際取締りにおける輸入差止申立てについての問題です。

 

各選択肢の説明をする前に、いくつか事前に説明をします。各選択肢の説明は次回に書きます。

 

 

税関は、輸入物品について、知的財産権侵害の疑義貨物を発見しますと、その疑義貨物が知的財産権侵害物品であるかどうかの「認定手続」を行い、そしてその結果に基づき、輸入の認可不認可や廃棄等の処分をしたりします。

 

この「認定手続」ですが、おおきく、「職権による」疑義貨物の発見からの「認定手続」の流れと、「輸入差止申立てによる」疑義貨物の発見からの「認定手続」の流れとにわかれます。

 

この問題で、甲が「通常の認定手続は輸入差止申立てをしていない商標についても行われます。」と言っている記載がありますが、これはおそらく「職権による」疑義貨物の発見からの「認定手続」について言っているのではないかと思います。

 

さて、では「輸入差止申立てによる」疑義貨物の発見からの「認定手続」はどのようなもののでしょうか。

 

まずは、知的財産権の権利者により、前もって輸入差止申立てがなされていないといけません

知的財産権侵害物品が輸入されたあるいは輸入される可能性がある場合、税関での知的財産権侵害物品の差止を求めたい権利者は、輸入差止を申立てます。そして税関がそれを受理すると、前述の「輸入差止申立てによる」疑義貨物の発見、そしてそれからの「認定手続」、へと進みます。なお、申立てが不受理となる場合もあります。そうなると、当然ですが申立てによって税関が動くことはございません。

 

なお、この申立ての有効期間は、かつては「2年間(更新あり)」でしたが、27年の法の改正及びその施行により「4年間(更新あり)」とのび、権利者の負担が軽減されました

なぜ、このような実務上重要な改正点を出題しなかったのか、今更ながら私は不思議に思っています。

 

話をもどします。受理された申立てに従い、税関は「輸入差止申立てによる」疑義貨物を発見します。疑義貨物を発見すると、税関は次に「認定手続」に入ります。

税関は、権利者、輸入者、双方に「認定手続開始通知書」を送ります。

そして、輸入者に争う意思があれば、輸入者はその旨を税関に伝え、意見や証拠を税関に提出します。権利者も同様に意見や証拠を税関に提出します。税関は、輸入者、権利者から提出された意見や証拠をふまえて侵害があるかないかの認定をします。これが「通常の認定手続」です。

輸入者に争う意思がない場合、税関は前述の通知をしますが、輸入者は税関に意見や証拠を提出することなく、また権利者も意見や証拠を提出することなく、税関は権利者の輸入差止申立てに従ってすみやかに認定を行います。これが「簡素化手続(認定手続の簡素化)」です。

 

この「簡素化」は、権利者の負担の軽減をはかるために導入されたものです。

「通常の認定手続」では、税関は、権利者、輸入者ともに対して、意見や証拠の提出を求めます。輸入を差止めたい権利者は積極的に意見や証拠を提出する(意見や証拠を提出しないことは輸入が認められることにつながります)のに対して、輸入者は必ずしも意見や証拠を提出しないことが多かったのです。これでは権利者の負担はあまりに大きいです。そこで、輸入者に争う意思がないならば権利者が意見や証拠を提出しなくてもすむようにすることで、権利者の負担の軽減をはかりました

 

なお、「認定手続の簡素化」は、特許権実用新案権意匠権、これら『以外』の知的財産権」の場合に適用され(つまり商標権には適用されます)、「特許権実用新案権意匠権」の場合には適用されません。ここも出題ポイントになりそうな気がしませんか?

 

 

(その2に続きます。)

UPLORD vs TCPL 直前対策講座バトル勃発(笑)?

これから紹介いたします、UPLORDTCPL(そしてCB-LABもの、知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験の直前対策の講座ですが知的財産管理技能検定試験のHP(「学習方法」のページの中の「学習のための講座」欄からUPLORDのHPにはアクセスできます。)や、知的財産管理技能士会からのメールでも紹介がありましたので、すでに御存知の方もいらっしゃるかもしれませんし、直接UPLORDTCPLのHPにアクセスされた方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

 

 

知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験まで、2ヶ月を切りました。

そんな中、UPLORDTCPLとが、直前対策講座にてバトル勃発(笑)?状態です。

来月2月は、試験直前の対策講座がある月です。がっぷりよつにおもいっきり両者のバトルが勃発しています(笑)。

 

前回(去年の2月)及びそれ以前は、テクノアソシエーツとTCPLが、それぞれ直前対策講座を開いていました。前回までは確か12月の段階でどちらも受講者の募集の開始をしていたのですが、今回は12月の段階でTCPLしか募集していません。おそらくテクノアソシエーツはもうやめたのだろう、なんて思っていたら、なんとUPLORDテクノアソシエーツの講座を引き継いだみたいでして、UPLORDが直前対策講座を開きます。そのUPLORDの募集は年が明けた1月6日から始まりました。そりゃ気づきません。募集の開始が遅かったのは、おそらくTCPLの動向を見ていたからではないでしょうか。

 

講座の日程ですが、なんと、今年はどちらも2月12日(日)、19日(日)の二日間で、もろにぶつかっています。おそらくUPLORDTCPLの日程をみてわざとぶつけてきたのではないか、なんて思っています(笑)。二日間とももろに日程をぶつけてきたところに、UPLORDTCPLに対する強い対抗意識を感ぜずにはいられません(笑)。

 

対抗意識かどうかわかりませんが、講座名にもそれがあらわれているような気がしてなりません。TCPLの講座名が「知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務『学科』対策講座」、UPLORDの講座名が「知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務対策講座」、「学科」があるかないかの違いだけです。わざと似せているのか、たまたまなのか。間違える人、絶対いると思います(笑)。

 

受講についてです。TCPLの講座は原則二日間とも受講しなければなりませんが、UPLORDの講座は、どちらか一日だけの受講ができます。このあたりは、テクノアソシエーツの時と同じです。

テクノアソシエーツの時と同じといえば、講師の方々、私の記憶に間違えがなければ今回のUPLORDの講座でも同じです。

 

講座の時間ですが、TCPLは10:30〜18:00、UPLORDは10:00〜18:00、どちらも途中休憩有りです。若干UPLORDの講座の方が長いようです。

 

講座内容ですが、直前講習ですから、どちらもある程度勉強してきた人向きであることは今さらいうまでもありません。この講座だけで合格できるほど、1級ブランド専門業務学科試験は甘くないと思います。

UPLORDの講座が昨年までのテクノアソシエーツの講座を踏襲し同様だとしたら、UPLORDの講座は法制度等をわりと網羅的に一通り説明するという、どちらかといえば「復習」型な感じでしょうか。それに対して、TCPLの講座は、過去問を中心に解説をするという、どちらかといえば「実践」型な感じでしょうか。

どちらか自分にあった方を選べばいいのではないかと思います。

 

肝心の講座料金ですが、TCPLの講座は38,000円(税込価格か税抜き価格かはわからないので、TCPLに御確認ください。)です。UPLORDの講座は、1日のみが26,000円で、2日間が52,000円(どちらも税込価格)です。テクノアソシエーツの時は、確か1日のみが35,000円で、2日間が70,000円(確か税抜き価格)でしたから、これと比べればUPLORDの講座の料金はかなり安くなっていますが、それでもTCPLよりは若干高いです。

 

どちらの講座がいいかは、皆様方の考え方次第です。

  

大阪(CB-LAB。TCPLの姉妹校的存在?。)でも、直前対策講座があります。関西方面の方はこちらをチェックしてみてください。

コメダ珈琲店の店舗建物外観立体商標について (加筆修正あり)

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
m(_ _)m

 

 

 

さて、今年2017年最初のブログですが、コメダ珈琲店が商標権を取得した店舗建物外観の立体商標について、もう少し書いてみようかと思います。

 

 

まず私が最初に疑問に思ったのは、この立体商標の権利取得がはたして裁判に及ぼす影響があるのかどうか、ということです。

コメダ珈琲店がマサキ珈琲を訴えたのは、2015年5月だそうです。そして、コメダ珈琲店が店舗建物外観の立体商標を出願したのが2016年2月、早期審査制度を利用して早く権利化をはかり2016年5月にはこの商標が登録されました。このことは、今回の仮処分決定において考慮されたのでしょうか?また、今後続く裁判に考慮されるのでしょうか?

そのうちわかるとは思いますが。

 

つぎに、そもそもこの商標権は本当に役に立つのという疑問があります。

登録された店舗建物外観の立体商標ですが、そな建物の看板なのでしょうかアルファベットで「KOMEDA’S Coffee」とあり、また入口や他の場所にも「KOMEDA’S Coffee」と見受けられます。さらに珈琲所コメダ珈琲店の文字も見受けられます(なおこれらの文字は別途商標登録がされています。)。また「男性がコーヒーを飲んでいる絵にKOMEDA’S Coffeeの文字」の図(この図も別途商標登録がされています。)も見受けられます。

これらのことから、つまり、この店舗建物外観商標は、立体商標ではありますが、本当に店舗の建物自体に識別力があって登録されたのか?という疑問があります。識別力があるのは、前述の文字部分や図の部分だけではないのか?という疑問を私は持っています。

だから、他社がこの店舗建物外観を真似たコーヒーショップ(コーヒーショップ以外なら、そもそも商標権侵害にはならないでしょう。周知性、著名性があれば不正競争防止法違反にはなるかもしれませんが。(※))を始めたとしても、この文字部分や図の部分まで真似てない限り、ただちに商標権の侵害となるとはいえないのではないか、と私は考えます(それでも、要件次第ですが。不正競争防止法違反に該当する可能性はあります。)。

同じコーヒーショップであることを前提として、建物外観についてアンケート調査をするなどして、その結果、裁判で類似性が証明できそれを認めてもらえない限り、商標権侵害は認められない、と私は考えます。

以上から、この立体商標が裁判において本当に役に立つのか、私には疑問です。また、裁判で役に立たないものなら、他社への権利行使もできないといってよいのではないでしょうか。

もっとも、この立体商標の登録が他社に対するある種の「抑止効果」にはなるとは思います。

 

 

とはいえ、個人的には、店舗建物外観は、結構識別力があるのではないかとも思っています。店舗建物に掲げられたマークやロゴなどとは別に、店舗建物外観からかもしだされている雰囲気を構成する色使いとか建物形状とかで店を区別することができると思います。少なくとも私には、ドトールとヴェローチェとスターバックスは、マークやロゴがなくても区別できます(逆に言えば、色使いとか建物形状とか雰囲気を真似されたら間違える自信があります。)。今回の立体商標における店舗建物外観も実はそうなのかもしれません。

 

ただ、世間一般的にはどうなのでしょうか?私にはわかりません。

 

いずれ日本でも、アメリカのように、商標法制度において、トレードドレス商標が認められるようになると、私は個人的には思います。

 

ですがまだ日本ではトレードドレスは認められていません。商標法においてその定義はありません。政令による定めもありません。そのような日本の現状において、(トレードドレスの一要素部分でもあるといってもよいかもしれない)立体商標で店舗建物外観を登録するとは、弁護士か弁理士かはわかりませんが、おそらくかなり優秀な方がコメダ珈琲店側についたのだと思います。

 

アメリカではトレードドレスは商標法制度上認められていますが、私の知る限り他の国、地域では商標法制度上認められてはいません。しかし、そのアメリカでいうところのトレードドレス商標も、ある程度の範囲は立体商標で登録することができるのではないかという意見があり、立体商標が認められている国であればある程度のトレードドレス商標は登録して守ることができるという考えがあります。建物外観はその一つといっていいかもしれません。

前述のとおり、トレードドレスの定義は日本の商標法制度上ありませんが、日本においても、既に商標法制度で定義されている立体商標で、ある程度の範囲のトレードドレスはカバーされうると考えられるわけです。そのようなものについては、現行商標法制度のもとにおいてトレードドレスの一部は登録される、といえるわけです。今回のコメダ珈琲店の店舗建物外観の立体商標はまさにこの一例ではないかと思われます。

なお、日本では、内装や店舗レイアウトはまだだめみたいです。マドプロ経由で、米国アップルが店舗レイアウトを国際商標登録出願、日本も指定国だったのですが、特許庁が拒絶した事例があるそうです。

 

 

※この立体商標の指定役務から考えれば、他社のその類似のものにあてはまる指定商品・指定役務がコーヒーショップ以外のものならば、仮に他社の店舗建物外観が類似していても、それは商標権侵害にはならないでしょう。簡単にわかりやすく例えれば、おもちゃ商品とか美容の役務とかなど、コーヒーショップと関係がないものについては、商標権侵害にはならない、ということです。

ただその場合でも、周知性、著名性、その他の要件を満たすことができれは、その他社を不正競争防止法違反で訴えることは可能のはずです。