知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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知的財産管理技能検定1級ブランド学科試験サンプル問題自分学習用解説その19

知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験サンプル問題自分用解説、今回はその19として、問39、問40、問41について書きます。
問39、問40、問41ともに、中国商標法制度についての問題です。



問39は、中国に進出予定の企業の中国商標制度に関する会話についての問題で、適切な選択肢を選びます。
アは間違いです。そのブランドが日本ではひらがな表記されているとしても、海外に進出する際には、そのままひらがな表記でいいわけはありません。中国に進出するなら英語表記や中国語表記を考える必要があります。なお、日本のひらがな表記は、中国では図形商標として扱われ文字商標とみなされません。
イは間違いです。中国では、県レベル以上の地名は商標登録できません。なお、中国では、市は県より上の概念です。
ウは(このサンプル問題が発表された時点では)間違いです。中国では、拒絶理由通知がきて拒絶された部分については、かつては補正はできず意見書の提出もできませんでした。拒絶理由が通知されたら、それを受け入れるか、商標審判委員会に不服審判を請求して事実上の再審査を求めるか、どちらかしかできませんでした。これらから考えると、拒絶理由通知が届いてから対応を考える、というのはおかしいです。現在、第三次改正中国商標法施行後は、意見書を提出することができ反論する機会が設けられました。
エは正しいです。拒絶理由の通知を受けたら、受領日から15日以内に商標審判委員会に不服審判を請求しなければなりません。これは、外国人だから期限の延長をするということがなく、早急な対応をする必要があります。なお、現在は、ウで書いたとおり、意見書を提出する反論の機会も与えられています。
よって選択肢エが適切で、正解です。


問40は、中国商標法に規定される異議申立についての問題で、適切な選択肢を選びます。
アは間違いです。説明文の下線①は正しく、異議申立期間は、公告の日から3ヶ月間です。
イは間違いです。(このサンプル問題が発表された時点では)説明文の下線②は正しく、何人も異議申立ができます。現在の、第三次改正中国商標法施行後は、異議申立の内容により申立人が利害関係者に限られる場合があります。
ウは間違いです。中国では、登録商標の存続期間の起算日は商標登録日です。この説明文の③の「公告の日から3ヶ月が満了した日」は妥当です。
エは正しいです。選択肢ア、イ、ウは間違いで、よって説明文の①②③は全て適切といえます。
よって選択肢エが適切で、正解です。


問41は、中国商標制度に関する説明についての問題で、適切な選択肢を選びます。
アは正しいです。中国で商標登録出願して、指定商品の一部について拒絶理由通知を受けた場合、出願人が拒絶された指定商品の権利化を望まないならば、応答しなくても、拒絶されていない残りの指定商品については登録され、拒絶された部分だけが登録されません。
イは間違いです。中国では、登録商標が3年間継続して不使用であれば、第三者でも不使用取消審判をおこして、認められれば取り消されます。しかし、その不使用取消審判(の請求)が認められる理由が「登録商標が継続して5年使用されていること」というのはおかしく間違いです。よって、この選択肢の文の場合には、不使用取消審判を請求することはできます。
ウは間違いです。(ちなみに、このサンプル問題が発表された時点と現在とでは、第三次改正中国商標法の施行前、施行後ということで、馳名商標についての法条文は現在は変わっています。ここでは現在の法制度条文に基づいて説明を書きます。)中国での馳名商標制度では、強い保護を受けるため係争時に認定を求めることができます。商標局、商標評審委員会、最高人民法院指定の人民法院の3つのルートで馳名商標の認定がされます。また、商標局に馳名商標の認定を求めることは、「出願」ではなく、「申請」です。商標登録出願時に馳名商標の認定を求めることはできません。勘違いなさらないよう気をつけてください。なお、馳名商標は非登録の商標でも認定された場合は法的保護が受けられます(馳名商標認定の原則)。また、馳名商標の認定申請は、係争毎にすることができます。といいますか、馳名商標認定の効力は、原則として、係争案件ごとです。
エは間違いです。中国では、商標弁理士は2003年に廃止され、現在はその資格はなく存続しておりません。なお、中国では、例えば外国人は中国国内の中国政府から指定された代理機関を通して中国での商標登録をしますが、この指定代理機関は弁理士である必要はありません。
よって選択肢アが適切で、正解です。


個人的には、次の第2回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験でも、「第三次改正中国商標法での異議申立制度の問題」が出題されるような気がします。サンプル問題でも、第1回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験でも、出題されました。そして、異議申立制度について改正されました。よって出題しやすいと(笑)。また、二度あることは三度ある、ということで(笑)。少なくとも、改正点である「異議申立人の『適格』」については、なんらかの形で出題してくるような気がしてなりません。「何人も異議申立ができる」から、「異議申立の内容によって利害関係者に限られることがある」に改正されたことは覚えておくべきだと思います。
もちろん他にも改正点はいろいろたくさんあります。何が出題されるかわかりませんので、これらはしっかりおさえておくべきでしょう。