知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 33問目 34問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は33問目、34問目です。



33問目は、中国の模造品対策についての会話で、「不適切」なものの選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは正しいです。選択肢の文のとおりです。
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。
選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。
選択肢エは間違いです。中国の商標法制度には、懲罰的損害賠償が導入されています。
よって、選択肢エが間違いで「不適切」なので、エが正解です。

 

 

34問目からは、米国の商標法制度の問題です。

34問目は、米国での商標権の移転譲渡手続についての、英文の空欄穴埋め問題です。

先に正解を書きますと、

選択肢ウの「the good will」になります。まあ、選択肢の中で、いかにも商標らしい語句はこの「the good will」だけですから、なんとなくこれを選んだ方もいらっしゃるかと、思います。

ちなみに、各選択肢の語句は、

選択肢ア「the profitability」は「収益性」と訳せばいいでしょうか。

選択肢イ「the good standing」は「優良な状態」と訳せばいいでしょうか。

選択肢ウ「the good will」は御存知、「グッドウィル、暖簾」ですね。

選択肢エ「the stability」は「安定性」と訳せばいいでしょうか。

ちなみに、問題文にある英文を訳しますと、「合衆国法典第15編第1060条(a) 登録商標又は登録出願申請中の標章は、その商標(標章)が用いられる商取引における[空欄]、あるいは、その使用に関係し、商標(標章)が象徴する、その商取引における[空欄]の一端と共に、譲渡されなければならない。」という感じでしょうか。まあこのくらいまで英文が理解できれば、空欄に「グッドウィル、暖簾」が入るとわかりそうなものですよね。

よって、選択肢ウが正解で「適切」なので、ウが正解です。

 

 

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 30問目 31問目 32問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は30問目、31問目、32問目です。

 

30 問目からは、日本国外の問題になります。

 

30問目は、中国の杭州税関で商標権侵害疑義物品輸出貨物が見つかった場合の、その対応に関するX社社員の会話について、「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは正しいです。中国の話ですから、当然中国での「営業日」で計算します。
選択肢イは正しいです。現在では基本OEM製品「輸出」は、中国国内で流通しないので、よって商標権侵害ではないとされています。今回の場合、輸出者から商標権侵害ではないのになぜ差し止めたのかと訴えられる可能性があります。
選択肢ウは間違いです。輸出者が税関を相手どって行政訴訟がおこされた、つまり甲の発言3にあるとおり「税関と輸出者の間の訴訟」です。裁判当事者は、輸出者(原告)と税関(被告)になります。関係するからといってX社も裁判に参加する必要はありません

よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

 

 

31問目は、中国の商標法制度について説明された文で、「適切」なものの選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは間違いです。「音楽」標識は商標登録できますが、「『単一』の色彩」については商標登録ができません
選択肢イは間違いです。中国では、商標権侵害訴訟は増え続けていて日本より多く、よって事前の権利調査や出願の必要性はむしろますます高まっています
選択肢ウは正しいです。選択肢の分のとおりです。
選択肢エは間違いです。馳名商標の認定は、該当する事件毎1回のみ有効です。認定された事件後の別の侵害案件には有効ではなく、馳名商標の認定を再び受ける必要があります。
よって、選択肢ウが正しく「適切」なので、ウが正解です。

 

 

32問目は、中国での意匠権についての説明の文で、「適切」なものの選択肢を選ぶ問題です。

なお、中国では、意匠は、特許、実用新案と一緒に「専利法」という法律にまとまって規定されています。
選択肢アは間違いです。中国では、意匠については、新規性は出願登録要件ではありますが、無審査主義のため、新規性の判断、審査はされません。ただし、権利付与、登録の後で、他者からの無効審判があった場合等で新規性が判断されます。
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。
選択肢ウは間違いです。現在中国では「世界公知公用主義」を採用しています。
選択肢エは間違いです。中国での意匠権の存続期間は、「出願日から10年」です
よって、選択肢イが正しく「適切」なので、イが正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 28問目 29問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は28問目、29問目です。

 


28問目は、日本における知的財産権侵害品の輸入差止めに関しての会話文で、「不適切」な発言の選択肢を選ぶ問題です。

 

選択肢アは間違いです。輸入者は、認定手続きの間だけではなく、その認定が、確定し税関が該当物品を没収するまでの間、疑義貨物の廃棄、滅却、任意放棄又は積戻しをすることができます。これを、輸入者による「自発的処理」といいます。

選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。

選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。
選択肢エは正しいです。選択肢の文のとおりです。
よって、選択肢アが間違いで「不適切」なので、アが正解です。

 

 

29問目は、日本の税関での商標権侵害疑義物品について、開始された認定手続に対して提出された輸入者からの意見書についての会話文で、「不適切」な発言の選択肢を選ぶ問題です。

 

選択肢アは正しいです。選択肢の文のとおりです。なお、この選択肢の文で書かれていることが、フレッドペリー事件」裁判における「真性商品の並行輸入認定の三要件」と呼ばれるものです。
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。
選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。
選択肢エは間違いです。認定結果に対する不服申立手続はあります行政不服審査法の改正により、平成28年4月から税関手続に対する不服申立手続がかわりました。これについては、インターネット等で御確認ください。もしかしたら、その内容が次回の知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験に出題される、かもしれません。

よって、選択肢エが間違いで「不適切」なので、エが正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 27問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は27問目です。



27問目は、不正競争防止法第2条1項1号の混同惹起行為における不正競争防止法第19条第1項の適用除外についての会話で「不適切」な発言の選択肢を選ぶ問題です。

 

 

選択肢アは正しいです。選択肢の文のとおりです。不正競争防止法第19条1項1号に該当します。なお、この選択肢の文でふれられている裁判例くろず事件」裁判だと思われます。

選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。通名称でも、それが普通に用いられる方法で表示されないのであれば、適用除外は認められないとされています。この選択肢の文には「裁判例」という言葉はありませんが、例えば「赤木屋プレイガイド事件」裁判や「つゆの素事件」裁判など(どちらも普通に用いられる方法であるとして適用除外を肯定、普通名称と認めている。)を参考にしていると思います。

選択肢ウは間違いです。自己の氏名を不正の目的なく使用する場合は、適用除外が認められます(不正競争防止法第19条1項2号)。選択肢の文のとおり、自己の氏名に、個人の本名だけではなく、芸名や雅号についても、適用除外が認められた裁判例(花柳流舞踊事件)があります。しかし、法人名についてこの適用除外は認められないとした裁判例があります(山葉楽器事件)
選択肢エは正しいです。選択肢の文のとおりです。不正競争防止法第19条1項3号に該当します。この選択肢の文には「裁判例」という言葉はありませんが、「フジマンバルブ事件」裁判(先使用権を肯定している。)を参考にしていると思います。この選択肢に書かれているとおり、この裁判では、使用様態の途中変更によりこの先使用権が認められなくなることもあるとも、判示されています。ちなみに、不正競争防止法第19条1項4号では、不正競争防止法第2条1項2号の著名表示冒用行為についての先使用権が規定されています。
よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

 

この27問目で、選択肢の文の中で「裁判例」と書かれているのは、発言1と発言3のみですが、調べてみると全ての発言(全ての選択肢)の文に、そのベースとなる判例があることがわかります。よってこの27問目も判例問題といっていいと思います。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 26問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は26問目です。

 

 

26問目は、商標権の侵害者に対する損害賠償請求についての会話で「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。

 

各選択肢の文には、「裁判例」「最高裁」との記載があり、正誤の判断のための判例が存在することがわかります。


選択肢アは正しいです。発言1(選択肢ア)のとおりです。選択肢アは「メープルシロップ事件」裁判をふまえての文だと思います。

選択肢イは正しいです。発言2(選択肢イ)のとおりです。選択肢イもメープルシロップ事件」裁判をふまえての文だと思います。

選択肢ウは正しいです。発言2(選択肢イ)のとおりです。選択肢ウは「小僧寿し事件」裁判をふまえての文だと思います。いわゆる「損害不発生の抗弁」についての文です。

選択肢エは間違いです。後半の文のうちの、「独占的通常使用権者にも…(途中略)…判示しています。」の部分は間違いです。専用使用権も、独占的通常使用権も、使用権の専有という意味では同じですが、前者は物権的なものであり、後者は債権的なものと考えられています。第38条の規定は、物権的な専用使用権については類推適用されても、債権的な独占的通常使用権には類推適用されない、と判示されています。選択肢エは、「花粉のどあめ事件」裁判をふまえて、間違った内容にした文だと思います。

よって、選択肢エが間違いで「不適切」なので、エが正解です。

 

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 25問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は25問目です。

 


25問目は、「IKEA商標事件」の下級審裁判例について「不適切」なコメントの選択肢を選ぶ問題です。

 

 

 

選択肢アは正しいです。選択肢の文に「商標法第2条第3項第8号」とあります。その文は「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」です。この内容は、この25問目の問題文にある裁判例の一部の文に記載されています。まあ、「商標法第2条第3項第8号」ときかれて、すぐにその内容を思い浮かべることはできないと思いますけどね。弁理士や弁護士じゃあるまいし。

選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。問題文にある裁判例の文に「被告各商標は(途中略)メタタグ(途中略)として記載された結果(途中略)被告サイトの内容の説明文ないし概要や(途中略)タイトルとして表示され、これらが被告サイトにおける家具等の小売業務の出所を表示し」と書かれています。つまり、選択肢の文にある書かれているとおり、「出所表示機能を果たす態様での使用であり、商標的使用にあたる」ことになります。

選択肢ウは間違いです。選択肢の文に「これ(注、検索エンジンの検索結果として表示されないメタタグ)を含めたメタタグへの類似標章の記載全般」とありますが、問題文にある裁判例の文(簡単に書くと、「メタタグが『表示されている』からこそ商標権侵害になる。」)を読めば、この部分は間違いだということがわかります

選択肢エは正しいです。真性商品を販売していても、その販売行為が商標の出所表示機能や品質保証機能を害する態様であるならば、商標権者に対する商標権侵害になります24問目の並行輸入についての考えもそうです。
よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 24問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は24問目です。


24問目は、並行輸入による商標権侵害を起こさないようにするために、商標権者たるY社とW国の製造会社Z社とが結ぶ使用許諾契約をX社がチェックする際の注意点について、「不適切」な選択肢の文を選ぶ問題です。

 

前提として、

①日本国法人のX社は、商品PをW国からわが国に並行輸入することを検討

②商品Pには商標Qが付されていて、Y社がW国とわが国でその商標Qの商標権を有している

③Y社は、商標Qに係る商品Pの製造販売についてZ社との間で商標の使用許諾契約を締結、X社が商品PをW国から並行輸入をする場合は、その商品PはZ社又はZ社の下請けが製造したものとなる

ということです。

 

 

この24問目は、問題文に説明はありませんが、フレッドペリー事件」裁判(なお、選択肢イについてはバイアグラ錠剤事件」裁判も(※))が参考にされていると考えられます。つまり、おもてだって書かれてはいませんが、この24問目は判例問題と考えていいと思います。

なお、このフレッドペリー事件」裁判の前、後にも、並行輸入についての裁判はいろいろあり、それらも参考にしてください。

 

フレッドペリー事件」裁判では、「真性商品の並行輸入認定の三要件」が示されていて、それらは、

❶商品に付された商標が表示する出所と、商標権者が使用する商標が表示する出所とが、実質的に同一であり

❷その商標の外国での使用許諾をえた者等により適法に付されたものであり

❸外国での使用許諾をえた者等によりその商標が付された商品の品質が、商標権者が商標を使用することで生じる商品の品質についての信用を損なわない

の3つとなります。

 

 

その上で、各選択肢をみてみます。

選択肢アは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❷に該当するものと考えられると思います。

選択肢イは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❸に該当するものと考えられると思います。

選択肢ウは間違いです。選択肢の文に、「商品Pについて、使用許諾契約にて、Z社がY社との間で商品Pの販売先ないしは商標の使用地域からわが国日本を除外する規定が含まれているかどうかをチェックする。」旨が書かれていますが、別にX社はZ社から商品Pを直接購入しているとは限らないので(この24問目にはそのような説明はありません。書いてあるのは、X社は商品PをW国から並行輸入することと、そのW国から並行輸入する商品PはZ社又はZ社の下請けが製造していることだけ、です。)、仮にV社(W国の会社)としますが、例えば、そこにZ社が商品Pを販売し、そのV社からX社が購入しているとしたら、この選択肢の文の行為は全く意味のない不要の行為です。選択肢アの文に似ていますが、全く意味が違います。

選択肢エは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❶に該当するものと考えられると思います。

よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

 

 

ちなみに、この「真性商品の並行輸入認定の三要件」については、29問目に書かれています。つまり、29問目が24問目を解くためのよいヒントとなっています。フレッドペリー事件」裁判での「真性商品の並行輸入認定の三要件」を思い出せなくても、24問目を解くことができた人もいたでしょう。

 

 

 

(※)選択肢イが「Z社はY社の書面による事前の同意なく、商品Pの製造、仕上げ又は梱包の下請けについての取り決めをすることを禁止されている規定が含まれているかどうかをチェックする。」とあるのは、バイアグラ錠剤事件」裁判をふまえたものと思われます。