知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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あらためて《音楽教育を守る会 vs JASRAC》 第2回 著作権法制度における、著作者・著作権者等の権利と社会公益性について

今回は、いつもとは異なった観点で書きます。著作権法制度における、著作者・著作権者等の権利と社会公益性について」とでもいいましょうか。

 

なぜ、突然こんなことを書くかと言いますと、「音楽教育を守る会」の主張の中に、著作権法第1条にからめた主張があったからです。そこで私も著作権法第1条について書こうと考えたのです。

 

 

 

さて。

少なくとも、現行の日本の著作権法制度は、「権利者(著作者・著作権者等)の権利を認め尊重し守る」ことが、その目的のはずです。これは、著作権法制度の歴史的経緯からしても明らかです。
しかし、これを徹底すると社会に対して不具合が生じてしまいます。だから、正当かつ合理的な範囲で、社会のために、権利者(著作者や著作権者等)の権利は制限される、ということになっています。



著作権法第1条にはこう書かれています。

著作権法第1条】
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」

つまり、この著作権法第1条には、
著作権法は、権利者(著作隣接権者等含む著作者、著作権者)の権利を定め(権利内容設定)、その権利を守ること(権利保護)が目的である
②しかし、その権利は、著作物の利用(けっして使用ではない、そしてそれは公正な利用でなければならない)における社会的公益性に配慮した上で、守られなければならない(制限つき権利保護)
③これらのことによって文化の発展に貢献する
ということが書かれています。


すなわち、著作権法の目的は、著作隣接権者等含む著作者、著作権者の権利を守ることなのです。それは著作物の利用(けっして使用ではない、そしてそれは公正な利用でなければならない)における社会的公益性に配慮した上でなければならない、ということにすぎません。社会的公益性に配慮するあまり、著作隣接権者等含む著作者、著作権者の権利が必要以上に制限されるわけではけっしてありません。その上で、究極的に「文化の発展にに寄与する」ものなのです。

第1条のみならず、著作権法全体の構造からしても、権利者の権利保護が重視されていることがわかります。著作権法では、先に各権利について規定されています。そして、その後に権利制限がされる場合について規定されています。
つまり、著作権法では、
①権利者の権利、その内容と保護、
が規定され、その後に
②権利制限、
が規定されています。
①がまず優先されるべきものであり、②はあくまで必要があるならばその限定範囲において①を制限するためのものにすぎない、そのことがわかると思います。そしてこれが寄与することで、たどりつく先にあるのが「文化の発展」なのです。

 

 

少なくとも現行の日本の著作権法制度においては、社会公益性が著作権を制限することはあっても、けっして社会公益性が著作権より優先されているわけではない、ということがおわかりになられたのではないか、と思います。
以降、これを前提として、私は話を続けていきます。