知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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【緊急】 しっかり権利は守らないと 〜 イチゴの話 その3

(その2の続きです。)

 

前回、「 ただ、そのアジア各国や韓国からの日本への輸出(日本からみたら輸入)を差し止めることはできるかもしれません。」と書きました。

つまり、日本の新品種についての育成者権を侵害する物品(アジア各国や韓国からの韓国産イチゴ新品種)ならば、税関での差し止めができる、ということです。輸入される前に、税関で差し止められることで、少なくとも日本には出回ることはない、ということです。

 

 

しかし、ここでもう一つ疑問があります。

③韓国で作られているイチゴ新品種は、日本の新品種の改良品種(つまり別の品種)なのか、それともやはり日本のイチゴの新品種なのか?

という点です。

韓国産イチゴ新品種が、日本のイチゴ新品種とは異なる別品種といえる程度に改良されたものならば、差し止めはできないでしょう。(※)

また、もし改良品種ならば、韓国でその改良品種を生産すること、そしてその生産したイチゴをアジア各国で販売すること、これらは全く問題ありません。

さらに、それ以前に、契約の内容によっては、契約に違反してすらいないことになります。つまり、品種改良をせず、またした場合その改良品種を広めてつくり販売しないことを、契約に盛り込んで規定されていない限り、これらの行為は契約違反にはならないとされるでしょう。おそらくUPOV条約も役には立ちません。(※※)

 

 

そうである以上、韓国産品種イチゴに対してはもはやどうにもできないと思います。これからは、まず韓国産イチゴよりさらに高品質のイチゴ品種をつくりあげることに力を入れるべきです。そして、今回の件を教訓に、国外への新品種の流出に注意しつつ、その日本産新品種イチゴの生産及びアジア各国でそれを販売展開することに、注力をするべきでしょう。韓国産イチゴをアジア各国の市場から追い出すほどに。

 

 

(※)

韓国の新品種は、「雪香」、「苺香」、「錦香」というそうです。「雪香」という品種は、日本の「章姫」と「レッドパール」という品種をかけあわしてできた改良品種、「苺香」という品種は、日本の「章姫」と「栃の峰」という品種をかけあわしてできた改良品種、「錦香」という品種は、「章姫」と「とちおとめ」という品種をかけあわしてできた改良品種、だそうです。

 

(※※)

日本のイチゴ品種と同じものをつくれば、間違いなく契約違反です。しかし、もし契約に品種改良についての規定がないならば、品種改良の行為は契約違反ではありません。

 また、UPOV条約に、品種改良についての規定があるかどうかは、私にはわかりませんでした(なお、日本の種苗法では、確か、許諾なく品種改良した場合、それについても育成権者の権利が及ぶはずです。もちろん日本国内での話です。)。しかし、どちらにせよ、韓国ではイチゴがこの条約での保護対象品目ではありません。そうである以上、今回の韓国での品種改良行為は残念ながら、条約上問題にはならない、としかいえません。