類似群コードと専用権と禁止権 その1
この前とあるコーヒーショップにいたら、となりの席の会話が耳に入ってきて、ちょっとビックリしました。
どこかの企業の知財部の方でしょうか、その方が「類似群コードは商標の(商品・サービスの)権利範囲を定めるもので、類似群コードに対応する商品・サービスの範囲で商標を使用しなければならない。」とおっしゃったの耳にしてしまいました。
おいおい違うだろ、とおもわず突っ込みたくなりました。
確かに、前半部分は、商標の「禁止権」の範囲までについてなら正しいと言ってよいでしょう(厳密には違う部分もあります)。
でも、後半部分は違います。
商標が使用できるのは、登録された商品・サービスの範囲(いわゆる「専用権」の範囲)だけで、同一の類似群コードが該当する全ての商品・サービスの範囲ではありません。たとえ類似群コードが同じでも実際の登録範囲を超えた商品・サービスについて商標を使用することは、「専用権」の範囲を超えた使用になります。
そして、もし「専用権」の範囲を超えた部分でしか商標を使用していないのであれば、それは登録商標の不使用であり、誰かしらの申し立てにより審判がおき、「登録商標の不使用」と特許庁に判断されれば、結果取り消されます。「禁止権」での範囲だけで 商標を使用することまでは認められてはいない、ということです。
次回で具体例をあげて説明したいと思います。
この方、まだお若いとお見受けしましたので、おそらく誤解されていらっしゃるのだと思います。しかし、この誤解はまずいでしょう。せっかく得た商標権が取り消されることになりかねないのですから。
ですから、実際、出願時には類似群コードの記入を願書にはしませんし、また裁判で類否判断をする際、類否群コードを参照することはないと言われています。
(その2へ続きます。)