知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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続先行著作権と商標権 (続商標法第4条1項7号と29条)

(前回の続きです)

しかし、そう簡単に裁判等で認めさせることはできるでしょうか。著作権の証明はなかなか困難なものがあるからです。
商標や、特許、意匠は、登録されてはじめて権利が発生するとされる「登録主義」です。登録されていること=権利がある、ということです。
著作権は著作物ができた段階で権利が自然に発生する「無登録主義」です。著作権にも登録制度はありますが、これは権利の発生要件ではなく、権利の証明のためのものでしかありませんので、別に登録しなくても権利があることには変わりありません。そして、登録していれば著作権の証明がしやすいですが、登録していなければその証明は難しいといえるでしょう。
また、登録していても、裁判において著作物性が否定されたら、登録していても著作権の証明には当然なりません。もっとも裁判で登録された著作物の著作物性が否定されたケースが日本にあるのか、私は知りません(笑)。

まとめると、自分の著作物の著作権を証明しようとしても、それは実は非常に困難なことなのです。
それなりに知られている著作物ならともかく、無名なもの、あるいは公表していないものは、証拠を集めるのもままならず、証明はかなり難しいと思います。

ならば、著作物ができた段階からすぐに、証明になる証拠を準備することをはじめるべきだと思います。
そうしなければ、商標法第29条において、先行する著作権に抵触する商標のその使用をやめさせることはできないからです。その証拠をどう集めるかについては、いずれ別途書きたいと思います(公証制度や著作権登録制度についていずれ詳しく書きたいと考えています)。


なお、先行する他の知的財産権との抵触に関する商標法第29条は、商標の無効取消事由にはなりません。この商標法第29条はあくまで使用をやめさせるだけにすぎません。
そこで、なんとか無効取消にできないかということで、商標法第4条1項7号についてあらそう裁判が増えたのではないかと考えられるわけです。これは、特許庁の審査や審判においても同様のようです。つまり商標法第4条1項7号の解釈が、現在はより広く解釈されているようになってきたということです。
これについても、いずれまたの機会に詳しく書きたいと思います。



結局、実務としては、不用なトラブルをさけるために、できる限り他の知的財産権と抵触しないよう、普段から気をつけなければいけません、 ということだと私は考えます。

あら、あまりに当たり前の結論に落ち着いてしまいましたね(笑)。