【緊急】ハイスコアガール事件再び （追記あり）
以前に、ハイスコアガール事件について書きましたが、なんと日本の著作権の重鎮始め二十数名の方々が、この件が刑事手続きで進んでいることに対して、反対の声明を上げていらっしゃるとのことです。
東大教授→明大特任教授の中山先生、北大教授の田村先生等大学教授の方々、私が勝手に心の師と仰いでいる福井先生、そして野口先生等弁護士の方々、いろいろな方々が賛同し参加され、今回の声明を上げたようです。
「著作権侵害の成否が明らかではない事案について、刑事手続が進められることに反対する。」ということが、この声明における一番大きな主張だと考えています。
なるほど、確かにこれはごもっともです。
私は、以前、ニュースにより、以下のことを聞きました。
①SNKプレイモア側は、当初は、直接スクエニ側に対し「これはどういうことか？」と話をしようとしていたが、スクエニ側がまともに取り合ってくれなかったため、刑事手続きに踏み切った（ここで、SNKプレイモア側はなぜ民事裁判をおこさなかったのか今思えば謎である。)。
②スクエニ側は、ハイスコアガールに関して、SNKプレイモア以外の企業（ただしSNKプレイモア以外の全ての企業ではないらしい。らしいというのは伝聞だから、こう書くしかない。）のいくつかには各社のゲームについての著作権の許諾をとっていたらしいが、SNKプレイモアには許諾をとっていなかった。
③いわゆる©マークと「SNKプレイモア」の表示が、あるようである。
また、仮に侵害があったとして、ではその侵害がどの程度のものかを考えず、ノーケアでブログを書いてしまったことも間違いありません。
思いこみで書いてしまったことについては、素直に反省します。
そして実際に、スクエニ側は、著作権侵害の不存在を確認する訴訟を起こしました。これが刑事にどう影響するのかまでは私には勉強不足でわかりません（おそらく刑事には影響はないと思います。）が、この裁判の成り行き、結果は、いろいろな意味で今後に大きな影響を与えると思います。
ここで、SNKプレイモア側が、ちょっとおかしな状況になっています。この裁判において主張をかえ、これまでの「１６６箇所の著作権侵害がある」という主張から「１０００件近くの不法行為があった」という主張へとかわり、また侵害の証拠提出も「証拠提出に時間がかかるから、待ってほしい。」と裁判で主張したようです。つまり、本当に著作権侵害されたのかは現時点ではまだ明確でないと言っていい、ということなのではないかと思います。もし本当に著作権侵害されたのであるならば、それなりの確信があるからこそ刑事手続きに踏み切ったわけであり、刑事手続きをした段階でそれだけの根拠はもっていたのではないか、と思います。だから、今回の民事でも、それを提出して「著作権侵害はあった」と主張すればいいと思うのですが、どうやらそれはしない（できない？）ようです。刑事に影響がでるからですかね？よくわかりません。
ということなので、私は、ことの決着がつくまでニュートラルな立場で、この事件の成り行きを見守ることにしました。
なお、以前の私のブログは、とりあえずこのままにしておきます。あの当時私が（いかに認識不足があったとはいえ）あのように考えたのは事実であり、そして現在はこのように考えが変わったのであり、その変化を明らかにする目的で、以前のブログはそのままにすることにしました。
追記
見守る前に一言。この事件におけるSNKプレイモアは、極めて「日本的」だと思います。本来なら、直接スクエニを相手どって「民事裁判」をおこすべきで、刑事事件として公権力を介入させるべきものではないと思います。安易に刑事事件として公権力を介入させるのは、自己解決能力の欠如のあらわれであり、お上への依頼心のあらわれ以外のなにものでもないと思います。そしてそれはゆくゆくは公権力による権利制限につながっていく可能性があります。だから、安易に著作権侵害に対して刑事的に動くことは、ゆくゆくは公権力の過剰介入をまねく可能性があるのではないでしょうか。だから前述の方々は、この件に対して緊急声明をだしたのだと思います。
