知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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ブランド戦略とブランドのローカライズ その2

(その1の続きです)


では、「ブランド戦略とブランドのローカライズ」の問題、これを考えていきたいと思います。

ブランドをワールドワイドに展開する場合、ブランドのイメージ等は共通化、均質化する、別な言い方をすれば「グローバルブランド」になる必要があります。
しかし、ブランドに対して顧客がもつイメージ等は、国、地域により、いろいろな要因で、多少なりとも違いやズレがおきると思います。それは、我々と企業側との間では、グローバルブランドのイメージ等は異なって存在する、ということだと思います。
そのズレを「補正」するのが「ブランドのローカライズ」である、のではないかと私は考えます。

そのズレには、いろいろなものがあると考えられます。単なるイメージのズレに始まり、商品の質や量のズレ、機能性能やデザインのズレ、などが考えられるでしょう。他にもあるかもしれませんね。

先程「ズレを補正」と書きましたが、けっして修正ではありません。修正だと、完全にそのズレを払拭することになります。しかし、実際には「企業がズレをわざとおこす」こともあるわけです。その方が、商品を販売する国、地域に、ブランドが受け入れられ、定着すると企業が考えるからです。
ですから、「補正」でもなく「調整」と書いた方がいいかもしれません。そしてこれこそが「ブランドのローカライズ」と私は考えます。



これを踏まえて、バーバリー三陽商会を考えます。


バーバリーとしては、世界共通のブランドイメージを、世界中の顧客に持ってほしい、そしてできることなら、共通のブランド商品を提供したい、と考えているでしょう。
しかし、日本においては、これまで三陽商会バーバリーブランド商品を製造、販売してきました。つまり、これまでは、日本においては、バーバリー社と三陽商会があわせてバーバリーブランドを築き上げてきたのです。それは、バーバリー社が提供しようとするバーバリーというブランドとは、ズレがあると思います。まだ、日本でバーバリーというブランドが広まっていなければ、三陽商会とのライセンス契約をやめて直接日本にて販売するのは問題ないでしょう。しかし、(三陽商会が広めた)バーバリーブランドが既に定着している現在、その三陽商会とのライセンス契約をやめて直接販売を行うのは、いささかリスクがあると思います。


バーバリー社が、これまで三陽商会が行なっていたブランドのローカライズを、ちゃんとやれるかどうか、が今後のポイントになる、と私は考えます。
もちろんある程度のブランドの共通性は必要だと思いますが、同時にある程度のブランドの違い、ズレは、ブランドのローカル性として必要でしょう。そして、これまではそれを主として三陽商会がコントロールしてきましたが、今後はバーバリー社自らがしなければなりません。これには、広告宣伝行為も含まれます(といいますか、非常に重要な要素です)。これは思ったより大変だと思います。日本、日本人の特性を理解した上で行わなければ意味がないからです。


バーバリー社は、果たしてブランドのローカライズがうまくできますでしょうか。注目です。
ちなみに、これまで三陽商会が築き上げてきたものを、バーバリー社がただそのまま利用するのも、もちろん当然ありなのですが、それはバーバリー社の負け、弱さを意味することになるではないでしょうか。そしてそれは失敗を意味するのではないでしょうか。




ちなみに、このようなことを、他のいろいろな企業で考えたりするのは、良い思考訓練になるのではないか、と思います。ディズニーランドとか、マクドナルドとか、(ギターの)ギブソンフェンダーとか、いろいろ考えるネタはありますね。