知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 20問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は20問目です。

 

 

20問目は、商標の更新手続における収入印紙費用の減額改定についての会話文の空欄穴埋問題です。

 

2016年4月から、商標登録及びその更新に必要な収入印紙費用が減額改定されました。これは分割納付でも同じです。

その引き下げは、従来の費用からの「20」%減額です。

 

また、分割納付は、前期「5」年間分「5」年間の分割で、後期にその商標が不用なら、その後期分を支払わなければその登録は自動的に消滅されます。

 

以上から、選択肢ウの、「20」「5」の組み合わせが正解です。

 

まあ、実務をしている人ならば、知っていて当然の問題ですが、まさかこんなシンプルな形で出題してくるとは。

とはいえ、こういう問題は、出題者側からの有難いプレゼントとして、必ず正解をゲットしないといけませんね。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 19問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は19問目です。

 

 

19問目は、商標無効の審判請求についての文で、適切なものを選ぶ問題です。 


選択肢アは間違いです。この選択肢の文の場合は、商標法第4条1項5号にあてはまるかどうかが問題になると思われます。社名が著名ではなく、またこの選択肢の文には混同については書かれていないので、それらのことから商標法第4条1項15号にあてはまらず、よって間違いと思われます。
選択肢イですが、選択肢イについてはよくわかりません。発表された解答では、この選択肢イが正解となっていますが、周知性がない、混同性もないのに、未登録商標登録商標を無効にすることができるのでしょうか?

選択肢イをとばして、選択肢ウは間違いです。この選択肢の文の場合は、商標法第4条1項11号により、無効にすることができると思われます。

選択肢エは間違いです。この選択肢の文の内容自体は間違いではないと思いますが、その条項は、商標法第4条1項15号ではなく商標法第4条1項19号だと思われます。

 

まあ、選択肢ア、ウ、エが間違いということで、結果選択肢イが正しく適切で正解、ということにはなります。

 

 

でも選択肢イについては未だに私にはわかりません。

 

 

もしかしたら、選択肢イの場合は、商標法第4条1項7号違反にあてはまり、よって無効にできるのかもしれません。実際そのような審決例や裁判例はあるようです。この選択肢イの場合では、周知性がなくても、商標法第4条1項7号違反として無効が認められる可能性があります

ただ、この7号違反に対しては、あまり乱用しすぎるのはどうか、本来の7号違反の考え方とはだいぶ異なるものなのでその適用はいかがなものか、という意見もあります。実際そう判断され、7号違反にはならなかった審決例もあるそうです。

あくまで個人的な意見ですが、もしこの選択肢イが7号違反にかかわる出題だとして、例え「可能性がある」という書き方だとしても、このような選択肢の文を出題していいのかは疑問です。もし出題するならば、17問目のように具体的裁判例を明示するとか、他にうまいやり方があったと思いますもっとも裁判例を明示した段階で、この選択肢の文は正誤の判断が簡単になるおそれがありますが。)。出題者側としてもう少し考えるべきであったと個人的には思います。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 18問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は18問目です。

 

 

18問目は、拒絶査定不服審判に関する文で、適切なものを選ぶ問題です。

 

前提として、

①X社は商標「ABC」を登録出願

②その指定商品・指定役務は、第21類「食器類」と第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」である

③Y社の登録商標「ABC'」を引用商標として、商標法第4条1項11号を理由とした拒絶査定を、X社は受けた

④そこで、X社は拒絶査定不服審判の請求を検討している

ということです。
これは問題文に書いてあります。


これをふまえて、各選択肢を見ていきます。

選択肢アは間違いです。この選択肢の文に書かれているような減縮補正は、要旨変更とはならず、認められます

選択肢イは間違いです。拒絶査定不服審判の請求と減縮補正(2区分から1区分となる)を同時に行った場合、この拒絶査定不服審判に係る印紙代は1区分に応じたのみです。

選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。

選択肢エは間違いです。X社は、すでに拒絶「査定」を受けています。拒絶「通知」ではありません。なのに、X社は、Y社の商標に対して「食器類(弁当箱を除く)」での不使用取消審判をおこしたとあります。なんか違和感を感じます。不使用取消審判をおこすのは、通常、①出願前の調査時、登録の障害となる可能性のある先行商標を発見し、かつ実際にその先行商標は使用されていない場合に、不使用取消審判をおこすことでその先行商標の登録を取り消しその障害の可能性をなくすため、あるいは②出願後審査時、その審査の結果、拒絶「通知」(拒絶「査定」ではありません)を受けた際、拒絶理由である先行商標が実際に使用されていない場合に、不使用取消審判をおこしてその拒絶理由の先行商標を取り消し拒絶理由を解消するため、です。また、③商標を使用していたら、他者から商標権を侵害していると警告を受けた場合に、その他者が実際にはその商標を使用していない(商標を使用していても指定商品・指定役務が異なっている)のであれば、その警告に対し、その他者の商標の不使用取消審判をおこして取り消すことで商標権侵害に対抗するため、というケースもあるでしょう(無効審判をおこすという手段もありますが、それはまた別の話です。)。ですから、拒絶「査定」を受けた後で不使用取消審判をおこすことなどまずありえません(全くないわけではないようです。平成4年のダイエー事件最高裁判決など御参照ください。)。よって、この選択肢は間違いと判断していいと思います。

念のため、さらに考えてみます。仮に、拒絶「査定」後に不使用取消審判を請求した、とします。不使用取消審判の結果がでるまでには、その請求から約半年かかります。結果がでた後で、先行商標が取り消されたからと、その段階で拒絶査定不服審判を請求するとしても、もはやその請求の時期、時期的制限はとっくに過ぎてます。拒絶査定不服審判を請求できるのは、「拒絶『査定』が届いてから3ヶ月の間」です。では、仮にこの3ヶ月の間に拒絶査定不服審判を請求したとします。ですが、不使用取消審判の結果はまだでていないのですから、結局何も変わっていないので、最初の審査結果がそのまま維持されるだけでしょう(なお、拒絶査定不服審判係属中は、補正は認められるようです。しかし、今回の問題の場合、不使用取消審判の結果がまだでていないのであれば、拒絶査定不服審判をおこして補正をしたところで意味がありません。)。よって拒絶「査定」は維持され、X社が出願した商標「ABC」は登録されることはない、と考えられます。これが、不使用取消審判で障害となる先行商標が取り消された後に、あらためて商標出願をし直すというのであれば、正しいと言えるかもしれません(前述の①のパターンと同じになります。)。

よって、選択肢ウが正しく適切で正解です。

 

 

ううっ、選択肢エの説明長すぎ(笑)。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 17問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は17問目です。

 

 

17問目は、意匠法と著作権法における応用美術の保護についての説明で、不適切なものを選ぶ問題です。

 

選択肢アは正しいです。選択肢の文のとおりです。

選択肢イは間違いです。その商品が製品化、大量販売され、実用品のデザインが産業上利用された場合でも、意匠法のみならず、著作権法におけるその実用品のデザイン(応用美術)の保護を認めた判例があります。選択肢エにて説明されているTRIPP TRAPP(vsカトージ)事件です。あと不正競争防止法違反も認められる可能性があります。

選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。

選択肢エは正しいです。選択肢の文のとおりです。なお、TRIPP TRAPPの裁判は、この選択肢の裁判(vsカトージ)事件とは別に、アップリカとの裁判もありますが、こちらでは、TRIPP TRAPPの著作権性は否定アップリカ不正競争防止法違反しか認めませんでした。

よって、選択肢イが間違いで「不適切」なので、イが正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 16問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は16問目です。

 

 

16問目は、画像デザインを含む全体意匠と画像デザインについての部分意匠についての問題です。

 

前提としては、

①時計メーカーX社は置き時計を開発②その置き時計は、時刻表示部に、独特な画像aをデザインされた

③この画像aを含む全体意匠と、この画像aについての部分意匠を、それぞれ意匠登録出願A、意匠登録出願Bとして、出願を検討

ということです。
これは問題文に書いてあります。

 

 

これをふまえて、各選択肢を見ていきます。

 

選択肢アは間違いです。願書の意匠に係る物品の欄には、「置き時計用画像」ではなく「置き時計」と記載しないと、意匠登録を受けることはできません。画像は、意匠そのものであり、意匠に係る物品ではありません。

選択肢イは正しいです。この選択肢の文のとおりです。大事なことは、「置き時計の機能を果たすために必要な表示を行う画像」であり「置き時計に記録される画像」という点です。もちろんその画像は物品にあらかじめ記録されていないといけません。

選択肢ウは間違いです。全体意匠を本意匠とし、部分意匠をその関連意匠とすることはできません。全体意匠と全体意匠、部分意匠と部分意匠でないと、関連意匠の関係にはなりません。

選択肢エは間違いです。この選択肢の文の「意匠登録出願Bについて…(途中略)…必要であり、」までは正しいのですが、「特定する方法としては…(途中略)…認められない。」の部分が間違いです。特定する方法は、「(図面にて)意匠登録を受けようとする部分を実線で書き、その他の部分を破線で描く方法」以外にもあり、認められます

よって、選択肢イが正しく適切なので正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 15問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は15問目です。

 

 

15問目は、靴の意匠登録について、適切なものを選ぶ問題です。

 

前提条件としては、

①靴メーカーX社は、商品企画部にて、創立100周年記念の新商品の靴の製造販売を検討

②そのデザインは外部のY社に依頼

③Y社では、従業員のデザイナーの甲と乙がデザインを担当、デザインAを創作

④X社は、知的財産部の丙が、デザインAの意匠登録出願を担当

⑤X社及びY社には、職務創作の取扱に関する規程は設けてなく、また、意匠登録を受ける権利の承継について別段の定めはないものとする

ということです。
これは問題文に書いてあります。

 

 

これをふまえて、各選択肢を見ていきます。

 

選択肢アは正しいです。共同のデザインAに係る意匠登録を受ける権利の持分を譲渡するためには、共同デザインの相手の同意が必要です。

選択肢イは間違いです。この選択肢の文のようなことはありません。確かに、原則は、意匠デザインをした者(意匠創作者、この15問目では甲と乙)が、意匠登録出願権を持っていて出願することができ、登録されればその意匠創作者に意匠権が与えられます。しかし、意匠創作者が、意匠登録出願権を企業に譲渡したならば、その企業が意匠創作者の所属企業(この15問目の出題ではY社)でも、外部の企業(この15問目の出題ではX社)でも、意匠登録出願ができ、結果意匠権者になることができます。よって意匠創作者と意匠登録出願人とは、同一でなくてもかまいません。実際、出願書類には、両者の欄がそれぞれあり、別々に記載します。意匠創作者は法人は認められていませんが、意匠登録出願人は法人も認められています。以上から、Y社が出願をしてさらにX社に名義変更の手続きをする必要は必ずしもなく、最初からX社に意匠登録出願権を譲渡すればいいのです。もちろん、譲渡されたX社はその対価をY社(あるいは甲と乙)に支払うことになります。

選択肢ウは間違いです。この選択肢の文のようなことはありません。デザインAに類似するデザインBをX社の従業員丁が独自に創作したとして、X社がその意匠出願をしても、何の問題もありませんし、そのために甲及び乙の同意を得る必要もありません。もっとも、甲及び乙(あるいは出願権をY社が譲渡されたならそのY社)が先にデザインAを出願し、登録されたならば、デザインBを出願したところで、登録されることはないと考えられます。また、意匠権とはまた別に、甲、乙、Y社に対する、X社、丁の取り引きにおける不義理の問題がありますが、それはまた別の話です。通常は、X社とY社の契約において、そのようなことがおきぬように取り決めているはずです。

選択肢エは間違いです。この選択肢の文のようなことはありません。意匠において「国内優先権」はありません


よって、選択肢アが正しく適切で正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 14問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は14問目です。

 


14問目は、出願予定商標について先行商標調査をしたところ、類似の可能性がある他社商標登録が1件見つかったことに対する考えで適切なものを選ぶ問題です。

なお、
①出願予定商標は「PENTAN」、指定商品は「文房具類」、新しいタイプの消しゴムに使用する予定
②「そのX社が相当の注意を払っていた場合」それに対して、見つかった類似可能性のある他社登録商標は「PENTAM」(標準文字)で、その登録内容は、指定商品「鉛筆(16類)」、出願日「平成22年7月7日」、登録日「平成23年1月14日」
ということです。
これは問題文に書いてあります。

これをふまえて、各選択肢を見ていきます。

選択肢アは間違いです。「鉛筆」、「消しゴム」、「文房具類」、これらは全て類似群コードが25B01です。よって出願商標の指定商品を「消しゴム」に限定しても、それでも先行商標が障害となり、やはり問題となります。
選択肢イは間違いです。先行商標と出願商標とは一文字違いで、外観としても称呼としても似ていると考えられ、類似と判断され、よって審査で先行商標が引用され、非類似を主張しても受け入れられず、よって登録の可能性は低く、深刻な障害になると考えられます。
選択肢ウは正しいです。先行商標は、登録から3年以上が経過しているので、使用状況を調査の上、現在まで連続して3年以上使用していないならば、不使用取消審判を請求して先行商標を取り消すことが考えられます。
選択肢エは間違いです。丸みを帯びた太字の白抜きの使用態様程度では、先行商標と類似と判断されます。
よって、選択肢ウが正しく適切で正解です。

 


以前にも同じようなことを書きましたが、あらためて書きます。

選択肢アの私の説明で類似群コードを書きましたが、実は問題文にも選択肢の文にも類似群コードは書かれていません。

類似群コードを書かないのは、やはり「卑怯な出題」だと思います。

感覚的には、鉛筆も消しゴムも同じ「文房具」ですから、類似する商品だろうとは想像できますけど、実務では例え明らかに類似と思える商品でも、念には念をいれて、その確認をします。その際、商品名自体からでの確認と、類似群コードからでの確認と、両方の面から確認をします。
今回の出題で、その片方の類似群コードの記載をしていないことは、実務を理解していない出題ということであり、1級の試験(いや2級でも3級でも)にはふさわしくありません。
類似群コードを記載したら問題が簡単になるだろうという意見があります。でも、類似群コードなんて暗記しなければならないものではけっしてありません。類似群コードを調べなければならない時に正しく調べることができればいいものです。

単に出題者の矮小な自己満足のために、わざと嫌がらせをしているとしか思えません。問題を難しくするならば、もっと工夫して別のやり方でするべきではないでしょうか。