知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

書籍紹介その25 クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました

私は、以前から、いわゆるクリエイターの方々は、自らが、ちゃんと著作権の概念、理念、法制度を理解し、これらに対してちゃんと考えた上で言動をしていなければダメだ、と考えていました。
そして、インターネットやSNS等が存在する現在、いわば一億総クリエイター、誰もがクリエイターである現在、みんなが著作権の概念、理念、法制度を理解してその上で考えた言動をしなければダメだ、と考えています。

著作権の概念、理念、法制度を「難しくてわからない」ものとして避けた結果、知らぬ間に著作権の違法行為、侵害行為をしてしまう人は少なくないでしょう。
さらにこれに加え、開きなおって平気で「著作権法制度がわからないのだから、著作権の違反侵害行為をして何がいけないんだ」「違反侵害行為をした方が社会にとってみんなにとっていいので、むしろすべきだ」などと逆に堂々としている人もいます。
しかし違反侵害行為は違反侵害行為、よほどの正当性がなければ、到底許されるものではありません。
これは、「刑法を知らないから、モノを盗んでいいんだ、人を殺していいんだ」「社会や人のためになるなら、モノを盗んでいいんだ、人を殺していいんだ」と言っているのと全く同じ理屈です。こんなことが認められていいわけがありません。


さて、クリエイターに向けて、このような書籍が出版されました。


当たり前ですが、この書籍で著作権の全てがわかるわけではありません。ただ、この書籍には、著作権の(概念、理念そして)法制度について、最低限のことが書かれています。
まずは、この書籍に書いている内容を理解していただき、その後必要に応じて、もっと詳しい内容の書籍等にあたっていただきたいと思います。

この書籍は、比較平易な文章で著作権の(概念、理念そして)法制度について簡潔に書かれていますので、かなり理解はしやすいと思います。といいますか、著作権がいくら難しくても、この書籍に書かれていることくらいは理解してもらいたいものです。
また、いろいろ多岐にわたる問題点について書かれていますので、現在の著作権にまつわる主要トピックを知ることができます。今年2015年から施行された改正著作権法での、インターネットにも対応した内容での「出版権」についても触れていたりと、最新のテーマも扱っています。

会話形式になっているのもわかりやすい一因だと思います。さりげなく書かれているギャグはお約束ということで(笑)。


とにかく、誰もがクリエイターになる現在、「著作権違法行為をせず、他人の著作権を侵害せず、また自分の著作権を侵害されない」ために、理解すべきことは理解して、するべきことはしなければなりません。
この書籍は、その助けになるのではないでしょうか。

書籍紹介その24 ライセンスビジネスの戦略と実務

なかなか興味深い書籍です。

ライセンス契約における、契約書面上の実際の条項文の例やその解説の書籍、特に特許ライセンスに関する条項文例や解説の書籍はわりとありますが、コンテンツやブランドに注目した、業界内の実情解説等を含めたライセンス契約の戦略や実務についての説明をしている書籍は本当に少ないと思います。

ライセンスビジネスの戦略と実務

ライセンスビジネスの戦略と実務


著者の草間文彦氏は、LIMAジャパンの創立メンバーだった方であり、その後代表にもおなりになった方です。そして、日本におけるライセンスビジネスの重鎮のお一人だそうです。


ただ、この書籍を読んでいて、私には、「ん?」「えっ?」と思ってしまった部分が少なからずありました。特に著作権や商標の法制度の説明では、知らない人には致命的な誤解を招きかねない部分が幾つかあるように見受けられました。おそらく、わかりやすく書こうとしてあえて深くは説明しないようにしたり、また文章が変にくどかったり長くなったりしないようにしたからではないか、と思います。ですが、誤解をされては元も子もないのではないかと思います。


しかし、この点以外は、この書籍は、ライセンスについてとても役に立つ書籍であり、とても示唆に富みます。
特にライセンス契約についての具体的な説明は勉強になります。

また、この書籍の本来の目的ではないですが、私の中で、キャラクターについての考えをまとめる(といいますか、考えが変わりさえしました)のに、この書籍がとても役にたちました。私のキャラクターに対する考え方が、180°とまではいきませんが、90°くらいは変わったかも(笑)、という感じです。

それから、ライセンス契約の具体例があれば、もっとわかりやすいのに、と思いました。
草間氏は、この書籍において、わざと契約書の雛形例をお書きにならなかったのですが、個人的には、むしろ雛形例があった方がより理解がすすむのではないか、と思いました。
確かに、契約の雛形があると、ろくに雛形に書かれた契約の内容を理解せずに、ただコピペだけしてそれを契約書として堂々とだしてくる、そんな企業や個人の方が少なくありません。著者の草間氏はこの書籍において、「契約の具体的内容は契約毎に異なるものである」というような理由で、あえて契約の雛形を例示していません。ごもっともです。おっしゃりたいことはわかりますし共感します。私もそう思いますし、雛形をのせたくないという草間氏のお気持ちはとても理解できます。
とはいえ、それでも理解のためには、契約の雛形、具体例があった方が良かったのではないかと思います。その点が惜しいと思えてなりません。

引用(原文引用、意訳、要約)について (追記有)

著作権法に関することを、ネットで検索していたら、興味深いサイトを見つけました。そのサイトは、アクセルレイトという会社のサイトで、引用(原文引用、意訳、要約)について書かれていたページがありました。
そのページには、「日本の著作権法制度とアメリカの著作権法制度とではアベコベ」と書かれています。どういうことなのでしょうか?


このサイトページに書かれていたことによると。

学生がレポートを作成するというシチュエーションで、以下の3つのうち、アメリカの著作権法制度上認められていて、日本の著作権法制度上認められていない引用はどれでしょうか?

①原文そのままの引用
②意訳
③要約

正解は、②の意訳と③の要約です。
日本では、引用は認められていますが、それは①のとおり「原文そのままの引用だけ」です。そうでない引用は許諾なき改変行為となり、翻案権の侵害になります。ですから、日本では、②意訳や③要約の要素が入る引用は認められません。もちろん、著作(権)者の許諾を得て意訳や要約をするならば、話は別で、問題はございません(著作者人格権の同一性保持権は不行使ですね)。


ですから、日本では、例えば一旦原文をその原文のまま引用した上で、後から「これは、わかりやすく書くとすると、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ということではないでしょうか。」などと書かないと、著作権法違反になってしまう、ということなのでしょう。

逆に、アメリカでは、「A氏は、その著作書籍Bの中で、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯と書いているが」というような感じで、「意訳、要約した形でレポートに引用ができる」ということのようです。
これは、アメリカ著作権法制度の「フェアユース」の考えによるものだそうです。


先に書いたサイトによると、これは日米の教育や学問に対する考え方の違いによるもの、だそうです。

アメリカでは、学生がレポートを書く際、参考にする論文等の原文をそのまま引用することは、教育上、学問上、ダメとされる行為だそうです。原文のまま引用すると、お前は参考にし引用した論文を本当にちゃんと理解したのか、と批判されたりするそうです。要約でも厳しく評価され批判されるらしいです。ですから、意訳するのはアメリカでは当然のことのようです。そして、これを「フェアユース」として著作権法違反にはならない行為としているわけです、アメリカでは。

翻って日本。日本では、著作権法制度を厳しくとらえられていて、原著作物の改変となるやり方での引用は許されていません。ですから、原文のまま引用しなければならないのです。
ですが、日本人学生が、日本のやり方の原文引用部分があるレポートをアメリカの大学でだしてしまったなら、前述の理由で批判されてしまい、その論文は低く評価されてしまうようです。


今回の、意訳、要約については、私は、日本の著作権法制度の考えは、型にはまっていてダメだと思います。少なくともレポートの引用では、意訳、要約の引用も許されていいのではないでしょうか。アメリカ著作権法制度の「フェアユース」の考えを私は断然支持します。




なんと、日本の学会では、同一性を損なわない程度の要約は認められいるらしく、翻案権の侵害にもならないらしく、よって要約の引用が認められているらしいです。

また、日本では、私的複製のための使用や、教科書掲載、学校での複製等、一定の場合に限り、翻訳をはじめ変形、編曲、翻案の行為が自由にできるそうです(詳しくは著作権法第43条を御参照ください。)(以外に追記有)

それなりに考えられてはいるようです。


◯追記

著作権法第43条を正しく読んでいなかったため、説明が足りませんでした。この条文では、「引用」については「翻訳」しか認められていないことになります(第43条第1項2号)。

あと裁判例では、地裁レベルですが、意訳要約の引用を認めたもの(「血液型と性格の社会史」事件裁判)があります。

あまり期待はしていません、が

先月くらいの話でしょうか、avexが、JASRACを撤退(一部の権利の管理については今後もJASRACにお願いするらしいです)し、今後は、avexが出資している著作権管理団体のイーライセンスに著作権管理をお願いしたようです。
その著作権管理の曲数、約10万曲ぐらいだそうです。約10万曲と聞くと多いですが、JASRACは数百万曲ほどの著作権管理をしているらしいですから、単純に比べればまあ大した数ではないとは思います。

かつてJASRAC以外に音楽著作権管理団体ができることを知った時に、いずれ今回のようなことはおきるだろうと私は想像していたので、今回のニュースについては「ふーん」という感じです。まあ、いろいろ大変にはなるだろうけどそれでも面白くなってくるかな、などとも思いました。著作権管理団体業界の再編のきっかけになればいいかな、とは思っています。


ただ、個人的に一つだけ思うことは、JASRACにせよ、イーライセンスにせよ、「著作物の『(利用者含む)使用者』のことは何も考えていない、別の言葉で言えば、著作権法に書かれている表現を借りれば、「『文化の発展に寄与』しようとはこれっぽっちも考えていない」、ということです。わかりやすく言えば、「権利者(しかも一部の)のことしか考えていない」、ということです。


JASRACは、自分達が正しく自分達が(音楽著作権における)秩序だと言わんばかりの言動をしているとしか思えません。
そして、イーライセンスも、本質的にはJASRACと変わらないように思えます。いやむしろ、露骨に、JASRAC以上に、権利者のことしか考えていない、としか私には思えませんし、そのためならどのような言動もじさない、そんな組織だとも、思っています。ある側面では、JASRACより問題になりそうな胸騒ぎがします。


個人的には、まあJRCが一番バランスがとれていていいかななんて思っていますが、ただ圧倒的に管理曲数が少ないです。
JRCといえば、こちらもavexが出資しているらしく、その関係もあるのでしょう、JRCとイーライセンスが一つになる、という動きもあるそうです。これが本当だとしたら、バランスが良いというJRCの良い面がなくならなければいいのですが…。


と、好き勝手に、徒然なるままに書いてみました(笑)。



原了郭の「黒七味」とロッテリアの「京都黒七味『風』」問題(番外編)

(3の続きです)

番外編として、「◯◯風」「◯◯『タイプ』」(以下、「◯◯『風』」と表現します。)という表現についての「個人的な意見」を書きたいと思います。


以前にも書きましたとおり、これは非常にグレーです。

以前に書いた、「シャネルNo.5と『同じ香りのタイプ』」事件、「シャネルNo.5『タイプ』」事件。
商標にせよ不正競争防止法にせよ、「◯◯『風』」という、「周知・著名のブランド名+風」「登録商標名+風」の形が、周知著名のブランド名や登録商標名への侵害、具体的にはフリーライドによる侵害かどうか、が問題なのだと、私は考えます。

その意味では、今回の「京都 黒七味『風』」という表現は、商標「黒七味」にフリーライドしている、商標権侵害であるのではないか、と考ることができます。「京都 黒七味」という言葉を用いて顧客を吸引しようとしていたと考えることができるわけです。その味が本物の「黒七味」の味とは程遠いので、だからロッテリアは「京都 黒七味『風』」という表現をしたのだと考えることができます。

ただ、「◯◯『風』」との表現を、「顧客吸引力にフリーライドしようとする」考えとは別に、単に「その商品の味、匂い、テイスト、タイプ等を『ただ』例示して説明しているにすぎない」ことを表現するため「だけ」にした、とも考えることができます。この場合、いわゆる商標的使用にはならないと思います。この場合まで商標権侵害や不正競争防止法違反といえるのかどうかはいささか疑問です。例え、味は本物の「黒七味」とは異なるものであっても、「黒七味『風』」と表現することで、単に目指そうとしている味のタイプを示した、と言えるかもしれません。

まあ、実際は、微妙なバランスを保ちながら両方の要素が入り混じっているのではないか、と思います。

そもそも「黒七味」がどれだけ周知されているのでしょうか。それによって、そのバランスは大きく変わってくると思います。


その上で。
不正競争防止法ならば、この「周知・著名」は間違いなく重要な要件です。「周知・著名」な商品等表示でないならば、そもそも不正競争防止法違反にはなりませんから。
では、商標はどうでしょうか。商標の場合、登録されていれば、「周知・著名」かどうか自体は関係ありません。ですから、形式的には商標権侵害です。
但し、前述のことを考えれば、本当に侵害かどうかをしっかり見極める必要はあると思います。直ちに形式的なことから商標権侵害と判断してしまうのは、明らかおかしいと思います。登録商標とはいえ、さして周知がされていない商標における「◯◯『風』」という表現は、「◯◯が持つ顧客吸引力へのフリーライド」というよりは、むしろ「商品等の性質の説明としての例示」の要素がはるかに大きいのではないか、と私は考えます。
とはいえ、両方の要素がある場合は、そのバランス具合により、この判断は非常に難しいと思います。

まあ、そもそも登録商標ですからね。こんな考えは法を混乱させるだけで、まず認められないでしょうけど。



もっとも、こんなこと書いておきながら、私が商標権者の立場なら、商標が登録されている以上、その内容が実質的にどうであれ、その権利行使が認められるならば、権利行使しますけどね(笑)。

商標の一般名称化、普通名称化を避けるためにも、どういう形であれ他者に安易に使ってもらいたくないので、それが商標的使用ではない場合でも、権利を元に何らかの主張するかもしれません。使用をやめてもらうか、せめて®マークをつけてもらうよう要求します。
「商標の一般名称化、普通名称化を避ける」ことも、商標登録後の商標管理としては非常に重要です。

その上で、権利行使された相手が、逆に私に意義あるのならば、どうぞ私にクレームを申しつけていただきたいです。私が間違っているならば、訂正して謝罪します。私が自分を間違っていると考えられなければ、よって問題が解決しなければ、最悪、裁判をやって白黒決着つけましょう、ということです。

このあたりになると、権利をいかに守っていくかの攻防なんですよね。商標登録しても、このようなことをちゃんとしておかないと、商標権が希釈化されてしまうかもしれませんから。


まあ、立場によって見解も行動も異なります、ということです(笑)。


原了郭の「黒七味」とロッテリアの「京都黒七味『風』」問題(3)

(2の続きです)

商標の「専用権」と「禁止権」とは何でしょうか。

「専用権」とは、商標登録した商標権者自身が、その登録内容と同一(同一の商標、同一の商品・役務)の範囲で、自らの商標を「独占的に使用できる」というものです。「同一」、「独占的に使用できる」がポイントです。

「禁止権」は、商標の権利者が登録した商標と同一類似の商標を、その権利者の許諾なく勝手に他者(他社)が、商標登録した内容と同一類似の商品・役務に使用した場合、商標権侵害として、その権利者は商標を勝手に使用した他者(他社)に対して、警告のクレームをだしたり、その使用を差止たり、損害賠償ができたりできる、つまり「侵害行為を禁止する何らかの権利行使をおこすことができる」というものです。「同一類似」、「侵害行為を禁止する何らかの権利行使をおこすことができる」がポイントです。

今回のケースは、原了郭がロッテリアに対して、この「禁止権」を行使したわけです。


ここで、原了郭の商標内容と、ロッテリアの商標の使用の様態とを比較します。

原了郭の商標登録内容は前述のとおりです。

ロッテリアの商標の使用の様態ですが、ロッテリアは「『京都 黒七味』『風』」と表現しています。

まず、ロッテリアの商標の使用の様態は、原了郭の2つの商標と比較すると、原了郭の1つ目の商標とは「同一類似ということはできない」と思います。なぜかというと、「黒七味」を知っている人は、「京都 黒七味」とあれば原了郭の商品のことを意味しているだろうとわかりますが、知らない人は、単に「京都産の黒い七味」と言葉どおりに受けとめると考えるからです。この点で、果たして両者は類似であると言えるでしょうか。
また、このことから、「京都 黒七味」だけでは原了郭の1つ目の商標の機能は発揮されないのではないか、と私は考えます。
他に「◯◯風」表示の問題がありますが、これは前述のとおりで、非常にグレーです。判断が難しいので、とりあえずここでは書きません。番外編で書きたいと思います。

そして、2つ目の商標については、「類似といっていい」と思います。「黒七味」と「京都 黒七味」は、原了郭または「黒七味」について、知らない人が見ても類似と判断することができる、と考えるからです。


次に、商標の指定商品についてですが、ロッテリア側の、フライドポテトに味を加えるための粉末フレーバーが、原了郭のそれぞれの商標の指定商品と同一類似かどうか、を判断することになります。

1つ目の商標の指定商品とは「同一類似」と判断していいと思います。この粉末フレーバーは一種の香辛料と言っていいと思います。
では、2つ目の商標の指定商品とはいかがでしょうか。「同一ではありません」が、「類似している」とはいえると思います。同一ではないのは、原了郭側自身が、黒七味とは全く違う味であり別物であると言っていることからしても、そう言って良いでしょう。しかし、知らない人が、「京都 黒七味風」と銘打ったこの粉末フレーバーをフライドポテトにつけて食べて、後で黒七味の情報を得たら、黒七味はこのようなものなのかと思って、もしかしたら混同をする可能性はあると思います。その意味で、類似しているといっていいのではないか、と思います。


ロッテリアの商品における商標の使用の態様と、原了郭の各商標との比較をまとめますと、

1つ目の商標とは、
商標の同一類似については非該当
指定商品の同一類似については該当

2つ目の商標とは、
商標の同一類似については該当
指定商品の同一については非該当だが類似については該当

と、私は考えます。

よってロッテリアの商標の使用の様態は、原了郭の商標権を、禁止権の範囲で侵害している、と考えていいと私は思います。

ですので、今回、原了郭がロッテリアに対して行ったことは当然の権利行使であるといえると考えます。。
又、これに対してロッテリアが素直に販売を停止し原了郭側に謝罪したことは、当たり前のことかもしれませんが、一企業として立派であり、清々しいものを私は感じました。


(番外編に続きます)




原了郭の「黒七味」とロッテリアの「京都黒七味『風』」問題(2)

(1の続きです)

さて。
原了郭の、1つ目の商標ですが、もし「黒七味」の部分だけで商標出願していたらどうだったでしょうか。おそらく特許庁に拒絶されていたと私は考えます。それは、「黒七味」は、少なくとも「七味」の部分は普通名称であるといえるでしょうし、「黒七味」全体は記述的商標であるといえる、と考えられるからです。別な言い方をすれば、前者は商標法第3条第1項1号、後者は3号に抵触すると考えられるからです(これは、2つ目の商標でも同じ様に考えられます。)。では、1つ目の商標はなぜ登録されたか?それは、「黒七味」以外に、「京都 祇園名物」「本家 原了郭製」という文字が左右に配置されていて、全体として、「京都 祇園名物 黒七味 本家 原了郭製」の商標である、と考えられるからです。ですので、「黒七味」だけでしたら登録は認められなかったのではないか、と考えます。しかし、これでは、「京都 祇園名物 黒七味 本家 原了郭製」でないとこの商標を使用したことになりません。少なくとも「黒七味」又は「京都 黒七味」だけでは、この商標を使用していることにはならないと思います。

では次。2つ目の商標は、「黒七味」の文字だけの商標なのに、なぜ登録されるに至ったのか?それは、2つ目の商標の指定商品が非常に限定的な内容だから、だと私は考えました。1つ目の商標の指定商品は「香辛料」です。2つ目の商標の指定商品は「白胡麻・黒胡麻・一味・山椒・けしの実・麻の実・青のりを主原料とし前煎りした後さらに手もみで練り合わせて製造した七味唐辛子」と、非常に限定された内容で登録されています。
以下は私の推測ですが、おそらく、最初の出願の際の指定商品は単に「香辛料」あるいは「七味唐辛子」だけであったと、私は思っています。これだと、指定商品の範囲が漠然としていて広く、そして1つ目の商標のところで書いた理由と合わせて考えれば、やはり拒絶されてしまうのではないでしょうか。実際、拒絶された記録があります(なお、その拒絶の理由までは私にはわかりませんでした。)。そこで、特許庁に拒絶不服を申し立てつつ、指定商品を「香辛料」あるいは「七味唐辛子」ではなく、「白胡麻・黒胡麻・一味・山椒・けしの実・麻の実・青のりを主原料とし前煎りした後さらに手もみで練り合わせて製造した七味唐辛子」という、実際に「原了郭が製造販売している商品」に限定した形にその指定商品の補正をして、結果最終的にクリアして登録できたのではないか、と私は考えております。あくまで、自ら製造販売している商品に限定して「黒七味」という商標名を使用する形にすることで、初めて登録が認められた、ということです。
ですから、この場合、他のレシピによる七味唐辛子又は香辛料全般に対して「黒七味」という商標名を原了郭だけが使用するということは認められません(ただし、1つ目の商標の形での使用ならば、問題はありません。指定商品は「香辛料」なのですから。)。
つまり、2つ目の商標については、原了郭は、登録内容である自社の「黒七味」レシピ以外の形で製造販売する商品に対しては、原了郭自身にもこの商標を独占的に使用する権利(専用権。次回で説明します。)はない、ということです。

結局、結論として、原了郭が持つ商標権の権利範囲は、以上のようにかなり限定的なもの、なのではないでしょうか。
その帰結として、原了郭が持ち商標権の範囲では、必ずしもロッテリアに対して商標権を行使することはできないのではないか、と私は考えます。


これは、あくまで、私の考えにすぎません。
しかし、何にせよ、登録内容を確認すると、その登録内容は1つ目の商標2つ目の商標どちらにしても「限定的なもの」である、と見受けられます。なんとか商標登録しようとした、原了郭の頑張りが感じられます。
しかし、「限定的なもの」ゆえに、その権利行使も「限定的なもの」になるのではないでしょうか。



と書きながら、さらにひっくり返します(笑)。

上記をふまえて考えると、ロッテリアは、別に原了郭と同一の商品を作って販売しているわけではなく、原了郭の商標権を侵害していないと考えることができるのですから、実際のところ何の問題ないのではないか、と思えます。

ですが、実はそうは問屋が卸しません。

商標には、先に書いたような「専用権」と、それとは別の「禁止権」があります。原了郭はこの「禁止権」をふまえて、ロッテリアに対して「商標権侵害である」とクレームをつきつけた、と考えられるのです。


(3に続きます)