さらに補足説明 類区分と類似群コードについて
前々回に類似群コードに関して専用権と禁止権とからめた補足説明をしましたが、念のため、類区分についても説明しておきます。
類区分と、類似群コードは、別物です。
類似群コードは、日本特許庁が類似判断を行うために独自につけたコードで、類似判断のため以外に存在目的はありません。
それに対して、類区分は、指定商品・指定役務を区分することで、商標の出願や登録の便宜をはかるためにある、とされています。
ぶっちゃけて書けば、この類区分の数によって登録料は決まります。
例えば、指定商品・指定役務を5つ書いて出願して登録査定を受けることができた、とします。指定商品・指定役務は5つですが、これらが全て同じ類区分であるならば、登録料は1類区分の分だけになりますから、1類区分の登録料を支払えばいいのです。
別のケースでは、指定商品・指定役務を3つ書いて出願して登録査定を受けることができた、とします。指定商品・指定役務は3つですが、これらがそれぞれ異なる類区分であるならば、登録料は3類区分の分必要となり、3類区分の登録料を支払うことになります。
このように、類区分の数が、登録料を決定します。
ちなみに、出願の際、願書には、指定商品・指定役務の名称とあわせて、その指定商品・指定役務が該当する類区分を記載します。当然、審査の段階で正しい類区分が書かれているかチェックはするでしょうし、間違っていたら訂正させられる、はずです(「はずです」と書いているのは、私はこのような訂正はしたことがないからです。)。
ここまでお読みになられた方はすでにおわかりかと思いますが、類区分は、類似群コードとは異なり、実際の商標審査での指定商品・指定役務の類似判断には使われません。その点で類似群コードとの存在目的が異なります。類区分が同じでも、類似しない商品・役務もあります。また、類区分がちがっていても、類似となる商品・役務もあります(いわゆる異類間類似、他類間類似)。後者の場合、それら商品・役務は類似群コードが当然同じになります。そうでなければ、類似群コードが存在する意味がありません。
なお、現在日本では、この類区分は、国際的な決まりごとであるニース協定に従いこれに準拠するかたちで決められています。
ただ、それぞれの加盟国には、その国独特の商標法制度部分があります。マドリッド・プロトコルに加盟しているから、ニース協定に加盟しているから、といっても、それなりの注意は必要です。
ニース協定に加盟している国々は、類区分はほとんど同じものになりますが、前述のとおり、その国独特の制度上の違いがあり、多少なりとも異なる部分がありますので、その点をしっかり確認された上で、その国での商標の出願、登録をしてください。