知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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始期はいつ?ー不競法第2条第1項3号の始期ー不競法第19条第1項5号イの解釈 その3

(その2の続きです)

不競法第19条第1項5号イの解釈により、不競法第2条第1項3号の始期に違いが生じ、それにより、保護期間にも違いがでて、3つの考え方ができる、と前回書きました。

⑴①=⑵①
⑴②=⑵②
⑵③

の、3つです。それぞれの内容については、前回のブログを御参照ください。


私は、⑵③が妥当だと思います。といいますか、そうすべきだと思います。

それは、私は、不競法第2条第1項3号ー不競法第19条第1項5号イでの保護期間をガチガチに厳密に3年間にしなければならない必要はない、と考えるからです。
欧州共同体には、非登録意匠の保護制度がありますが、この不正競争防止法第2条第1項3号は日本における、欧州共同体の非登録意匠の保護制度のような制度、だと思います。その欧州共同体の非登録意匠の保護制度においても、保護期間は3年間なのですが、場合によっては3年間をこえた期間で保護できる場合もある、と聞いたことがあります。そうでないてしても、日本でも場合により裁判判断によって3年間をこえて保護されることがあってもいい、と私は思います。そもそも、法上「保護期間は3年間」とは書かれていません。ならば、ケースに応じて柔軟に解釈してもいいのではないかと思います。

たたでさえ商品ライフサイクルが短いのに、最近ではファストファッションの影響でさらに短くなったと言われているファッション業界では、意匠ではなく、不競法第2条第1項3号を比較的積極的に利用しているらしいです。意匠は登録になるまでに時間がかかりますからね、登録になった時に、商品ライフサイクルは終わっていた、ということがあるそうで、意匠はファッション業界においては現実的にあまり役にたたないらしいです。
でも、実はこれはファッション業界に限った話ではありません。他の業界でも昔に比べて商品のライフサイクルは比較的短くなったと聞きます。また最近はファッションとは関係ない分野がファッション業界とコラボレーションすることがあります。
これらの点からしても、他業種でも、不競法第2条第1項3号は今後もっと注目されるかもしれません。

話がそれました。何が言いたいかと言いますと、ファッション業界、いやファッション業界に限らず、取引における特有の実状を考え、不正競争防止法上の形態保護の期間をもっと柔軟に考えてもいいのではないかと、私は考えます。法で、明確に規定されているなら、それに反することは絶対ダメです。しかし、明確に規定がされてなく、解釈の余地があるならば、取引における特有の実状を考慮してもいいのではないか、と私は考える次第です。 



ちなみに、不競法第2条第1項3号は、その論点として、保護請求の主体の問題もあります。これもちょっと興味深いですが、これについて書くのはまたの機会にします。