知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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表明保証条項と知的財産権

先日、契約についてのレクチャーを受けてきました。実は私、これまで書籍やインターネットを使って、独学で実戦的にしか勉強していません。ちゃんと講義の形で契約の説明を受けるのは初めてでした。独学で身につけた知識や考え方が間違っていないようで安心しました。


レクチャーの最後の方で、米国英文契約書由来の条項を2つ教えいただきました。1つはこのブログでもかつて触れて書いたことがある、完全合意条項です。もう1つが、今回のブログテーマである「表明保証条項」です。聞いたことはありますが、詳しいことは初めて知りました。

要は、「契約をするにあたっての事実を表明してその事実内容を保証します。」という条項です。
例えば、会社が今まで支払が滞ったことは一度もなく、税金もちゃんと納めています、というようなものから、売買契約では該当物件に瑕疵がありません(例えば、土地の売買でこの土地は汚染されていないことを表明保証する等。)、ということまで表明保証できるそうです。講師の先生いわく、表明保証できるものなら、おおよそなんでも表明保証条項とすることができるそうで、どういう内容を表明保証条項にもりこむかは、弁護士や契約担当者等専門家の腕の見せどころだそうです。もちろん、契約当事者が合意できる内容でないとダメですが。ただ、表明保証するだけでなく、万が一この表明保証に違反した場合に対して、ちゃんとペナルティも用意します。そこまでしないと意味がありませんからね。


で、レクチャーの帰り、「この表明保証条項、知的財産権関係の契約にも使えるんじゃないか?」と考えました。
知的財産権譲渡契約や、M&Aや投資の契約で、譲渡する(あるいは保有する)知的財産権に瑕疵がないことを、この条項で表明保証するわけです。
もちろん、譲渡してもらう(あるいは契約相手方が保有している)知的財産権の瑕疵の有無は別途ちゃんと調査しなければいけませんが、契約で表明保証条項があることは大きな意味があります。その契約の効果が期待できるからです。この条項がなく、調査の結果当該知的財産権に瑕疵があれば契約をしなければいいだけですが、調査の結果当該知的財産権に瑕疵がないと判断して契約した後になって実は瑕疵があることがわかったとしたら。こういう時にこの表明保証条項が生きてきます。契約を解除できるだけでなく、損害が発生したら賠償を求めることができる等のことが、この表明保証条項から直接明確に契約として導きだせるわけです。


というようなことを考えていたところ、既にそういう契約は存在しているようです。日本ではまだまだはるかに少数ですが。


どうでもいい追記です。
「表明保証条項」は特定時点での事実の保証ですが、契約締結時点以降の将来における「何かをするあるいは何かをしない」ことを約束する「誓約条項」というものが欧米での契約には見られるそうです。でも、これって普通の契約事項ですよね。そもそもそれを取り決めるのが契約というものでしょう。