知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第2回1級ブランド専門業務学科試験問題 自分学習用解説 5問目

今回は5問目です。
 
 
第20回知的財産管理技能検定   第2回1級ブランド分野学科試験の自分勉強用解説、5問目について書きます。
 
 
5問目は、先行商標調査をして抵触する先行商標が見つかった場合の考え方の問題で、「適切」な文章内容の選択肢を選ぶ問題です。
 
選択肢アは間違いです。不使用取消審判は、不使用状態が3年間以上連続してないと、請求できません。先行商標の登録日は「平成24年6月1日」ですから、登録以来不使用だとしても、まだ3年間経っていないので、請求できません。
選択肢イは正しいです。履物と運動用特殊靴は非類似です。先行商標の指定商品「靴類」は「履物」の下位概念(逆に言えば、「履物」は「靴類」の上位包括概念)ですから、靴類と運動用特殊靴は非類似です。
また、この「運動用特殊靴」も上位包括概念です。この下には、「運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」と「乗馬靴」とがあり、それぞれ類似群コードが異なり、それぞれ非類似となります。日本は出願の際、商品・役務の包括概念表記が認められていますから、「運動用特殊靴」と書けば、これは包括概念表記で、「運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」と「乗馬靴」の両方の商品を指定したことになります。
これらから、選択肢イは正しいことになります。でも、ちょっと疑問があります。
選択肢ウは間違いのようです。特徴的なデザインのロゴの場合は、標準文字とは非類似とされています。選択肢ウの文章は、「『ACTIVE』の字体を丸みを帯びた太字にし、さらに白抜きの態様にして」とありますが、この場合は特徴的なデザインのロゴとは言えない、ということなのでしょう。だから類似、ということになのでしょう。でもちょっと疑問があります。
選択肢エは間違いです。この問題のケースの場合、先行商標との類似を回避する方法はいろいろあると考えられます。その検討をせずに、「先行商標は深刻な障害になると考え」「別の商標採択を検討する」のは、いささか短絡的な考えです。
 
よって、選択肢イが「適切」で正解です。
 
 
さて、私はこの問題の出題の仕方には、疑問を感じます。
 
選択肢イについては、前述したことを知っている人は当然わかりますが、知らない人はわかるでしょうか。
実務では、商品・役務の類似については、審査基準を見て確認します。具体的にこの商品・役務とあの商品・役務が類似するかどうかなどは、いちいち知りません。だから、審査基準を見ます。審査基準の見方は当然に知っているべきですが、個々の商品・役務の類否などは知らなくてもいいのです。審査基準で調べればいいわけで、調べればわかります。ですから、試験の問題にするならば、出題する個々の商品・役務の類否がわかる様に、類似群コード等はっきりとわかる形で明記しておくべきです。それをせずして、この問題を答えさせるのは、出題の仕方が悪いとしか言いようがありません。
 
また、選択肢ウは、実際の文字(ロゴ)のデザインを見てみないと、類似となるか非類似となるか判断できないと思います。選択肢の文章だけで、類似か非類似かの判断はできないと思います。だから、具体的なロゴデザインを実際に見せるべきですし、それができないならば、この様な選択肢の文章を出題すべきではありません。もちろん見たからといっても、それでも判断が難しいものもあります。だからといって、言葉だけで判断するよりははるかにましでまともです。
まあ、類似、非類似のどちらの可能性もあるという意味で選択肢ウは間違いなのかもしれませんが、それでもいささか曖昧なのではないでしょうか。
 
以上の理由から、私は5問目は悪問と考えます。