知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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CTMの説明 第三回 共同体商標の裁判制度

第三回です。今回は「欧州共同体商標の裁判制度」について書きます。


裁判にて争うのは、権利侵害の場合です。
CTMでは、登録申請の審査では、絶対的拒絶理由のみ審査します。審査段階で相対的拒絶理由は審査しません。
相対的拒絶理由(先後願関係等の審査、つまり、例えば他社の商標との間で同一類似はないか等)については、異議申し立てをするか、登録になった後で権利侵害として裁判で争う、という形で対処することになります。ちなみに、相対的拒絶理由は、前にも書きましたが、審査はしませんが、調査はします。そしてその調査結果を教えてくれるところまでは、してくれます。


裁判の場合、各国にある欧州共同体商標裁判所が、第一審及び第二審を担当します。
その際に、反訴として、相手の商標の無効あるいは取消を訴えることができます。
注意すべきはその効果です。
日本では、似たような感じで、抗弁として商標の有効性を裁判で訴えることができますが、その効果は裁判においてのみで、登録の無効取消にはなりません。
しかし、CTMの場合、裁判で無効取消と判決がでたら、登録自体が無効取消となります。つまりOHIMが無効取消をするのと同じ効果があります。これは日本と異なりますから、注意してください。

そして、欧州共同体商標裁判所でけりがつかなければ、欧州連合司法裁判所の一般裁判所に進むことになります。

流れを書いてみます。

商標権侵害→欧州共同体商標裁判所に訴える→反訴で無効取消を訴える→(欧州共同体商標裁判所にて第一審、第二審)→さらに控訴欧州連合司法裁判所の一般裁判所に訴える

というところでしょうか。


あっ、大事なことを書き忘れました。
欧州共同体商標裁判所では、欧州司法裁判所に、CTMの規則の解釈に疑問がある場合、その解釈について意見(予備判決)を求めることができます。そして、それに基づき、欧州共同体商標裁判所は自身の判決をだすことになります。


(第四回へと続きます)