知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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書籍紹介その37 ファッションロー

当初の予定より出版が遅れた書籍ですが、少なくとも私には待った甲斐があった書籍です。

 

 

ファッション・ロー

ファッション・ロー

 

 ファッションローとは、数年前アメリカで広まったと言われる考えです(この書籍をお読みになればわかりますが、けっこう昔から、特にヨーロッパで、現在に通じる考えや法が存在していました。)。ファッション商品や、そのブランド、企業等の、所謂ファッション業界及びそれらに関連するものについての法的権利保護をいろいろな法で考えていく、というようなものと言っていいと思います。

 

ファッションローには、ファッション業界特有の考慮すべき事情(例えば、ファッションは流行に左右されるため商品ライフスパンが短い、など。)があります。ですが、ファッションローの考えの射程距離はファッション業界にとどまらないだろうと、私は個人的に思っていました。ファッションローの考えは、ファッション業界のみならずファッション業界の関連分野、そしてさらには全くファッションとは関係のない分野にも必ず応用でき役に立つ、と個人的に考えていました。私が働く業界においても。

 

そんな私ですから、この書籍を読んで、とても喜びました。私にとっては、かなり期待通りの書籍だったからです。

 

ファッションローですから、ファッション商品やブランド、企業について中心に書かれた書籍となるのは当然のことです。さらにこれらに加えて、関連領域(ファッションショーや、ファッションモデル、なんとコスプレも)についても書かれているのも素晴らしいです。

この書籍の構成としては、最初の章で全体的な総説を書き、以降、各章で、それぞれの分野領域について書いています。その各章においては、最初にその章における総説をまず書いて、その上でいろいろな論点を判例をもとに解説しています。

必ずしも「これがthe結論」というような書き方はしていません。それは、私が考えるにおそらく、この書籍を読んでもっといろいろ検討、議論を深めて欲しいから、この書籍を検討、議論のきっかけに使って欲しいから、だと思いました。

 

その意味では、おそらくファッション業界で直接実務をされている方々(結論をズバッと知りたい方々)にはいささか物足りないかもしれないと思います。でも、示唆に富む書籍だと私は思います。