知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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「商標の普通名称化」を避けるための権利行使

(前回から続きます。)

 

前回に書いた「普通名称化」。これを避けるためのもう一つの手段が「権利行使」です。

具体的には、他の人が登録商標を勝手に使用する(あるいは、最悪にも勝手に出願し登録する)のを、すぐにやめさせることです。直接的に商標権を行使をしてすぐにやめさせることです。これをやり過ごすことは、「普通名称化」につながります。

 

ただし、その権利行使は、原則権利範囲内、指定商品・指定役務の範囲内(類似範囲含む)においてでしかできません。

例えば、前回書いた商標「ウォークマン」。ソニーのこの商標の指定範囲としては、ざっと調べた限りですが、いわゆる「お菓子類」については、指定範囲ではありません。また、防護標章としての登録もありません。ですから、もし私が、「ウォークマン」を「お菓子類」の商標として出願したら、もしかしたら登録されるかもしれません。

 

もっとも、現在では商標法第4条第1項19号があるので、「ウォークマン」ほどの著名な商標をこのように出願しても、「不正な出願」として拒絶されるのがオチです。また、出願しなくとも、第三者が、例えば前述の「お菓子類」で「ウォークマン」という言葉を使用しても、それはやはりアウトです。商標法第4条第1項19号により、その使用が登録商標の指定商品・指定役務の範囲外、権利範囲外であっても、「ウォークマン」ほどの著名商標ならソニーは現在では権利行使ができます。これを見過ごすと、前述の「普通名称化」にもつながりかねませんので、御注意を。

 

ただし、これは、あくまで登録商標が「周知著名」の場合です。第三者の商標の出願登録時(又は使用時)に、先に登録されている商標が「周知著名」でなければ、商標法第4条第1項19号は適用されません。ましてや、先に登録されていない、いや出願すらしていなかったとなると、状況は非常に厳しくなります。その言葉を例え先に使用していた(先使用)としても、先使用権が全くないあるいはかなり狭く限定されてしまい、よってその先使用権の行使は非常に厳しいものがあります。

 

 

ですから、これぞという商品名称、サービス名称があれば、

①まず、商標出願して登録し、権利化をはかり、

②権利化後も、その登録商標を世に広め、周知著名化をはかっていき、

③同時に、第三者に勝手に使用されないようにする、

努力が必要ということです。

 

 

 

商標ではない、商標としての使用を想定していない言葉を、第三者によって商標として勝手に出願登録されてしまうのは、ある意味非常に困ったものです。困りはしなくても嫌なものです。商標「チバニアン」はまさにこれです。