結婚式や葬式で好きな曲をかけられないのは運営会社の怠慢が原因である
これまで、「音楽教育を守る会」とJASRACの争いについて、いくつか本ブログで書いてきました。
このためにいろいろと調べていた際、世間一般では、著作権法制度やJASRACについて、ちゃんと知られず理解されず、誤解ばかりされている、と感じました。
その1つの例が、「結婚式や葬式等の冠婚葬祭での音楽利用」について、です。今回これについて書きます。
結婚式や葬式等で好きな曲をかける場合にも、著作権料の支払いが発生します。
これについて、結婚式や葬式等の場合でもJASRACは金をとるのか?と、批判する方々がいらっしゃいますが、これは至極当然のことです。結婚式や葬式等の運営会社は、あくまで冠婚葬祭のサービス提供という「営利目的」で、式の運営をするのだからです。結婚式や葬式等冠婚葬祭だけ特別扱いして、著作権料を徴収しなくてもよいとすることの方がむしろ間違っていると思います。
また、著作物たる音楽の利用主体は、あくまで式の運営会社です。音楽をかけるのは、新郎新婦(結婚式の場合)や、お亡くなりになられた方や御遺族の方々(葬式の場合)のためにしている行為です。しかし、これらの方々が著作物たる音楽の利用主体なのではけっしてありません。
JASRACが著作権料の支払いを求めているのは、式の運営会社に対してであり、けっして新郎新婦や御遺族の方々に対してではありません。
確かに、その著作権料は、結局は結婚式代や葬式代に転嫁されるでしょう。つまり、最終的には新郎新婦や御遺族の方々が負担することにはなります。
しかし、繰り返しますが、JASRACが直接に著作権料の支払いを求めているのは、式の運営会社に対してです。新郎新婦や御遺族の方々ではありません。
しかも、その著作権料は、おそらく結婚式代や葬式代の1%にもみたないはずです。かける曲の数や回数などで変わるでしょうが、結婚式代や葬式代の総額からしたら微々たる金額です。おそらく、数十円から、どんなにかかるとしても千円もいかないのではないか、と思います。
その程度の負担をすれば好きな曲が式でかけられるに、なぜそうならないのでしょうか。
答えは簡単です。式の運営会社が、面倒なので、JASRACに対して著作権料の支払いの手続きをしないから、です。つまり、式の運営会社の怠慢が理由だからです。結婚式代や葬式代の1%にもみたない金額程度のことに対して労力をかけられるか、バカバカしくてやっていられない、ということなのではないでしょうか?
それを、結婚式や葬式等で新郎新婦や御遺族から著作権料を巻き上げるのか、と意図的な論理のすり替えをして、誤魔化しているにすぎないのです。そして、世間一般は、元々のJASRACの悪印象のせいもあって、誤解をしてしまっているのです。
繰り返します。式の運営会社の怠慢が全ての原因です。著作権料の支払いについて、JASRACに対してちゃんと手続きをして支払ってさえいれば、全く問題ない話なのです。