知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

あらためて《音楽教育を守る会 vs JASRAC》 第4回 音楽教室と学校と教育について

簡単に言えば、音楽教室が学校であろうがなかろうが、また教育であろうがなかろうが、そのこととは関係なく「演奏権」の適用は考えられるものである、ということです。

大事なことは、「非営利、無料、無報酬」であるかどうか、ということです。

 

 

 

 

前々回のブログで、以下のようなことを私は書きました。

 

Yahooのネットニュース記事に、「音楽教育を守る会」側の弁護士の方の発言がありました。その発言とは、「現行著作権法の立法(1970年あたり)の際、『学校における音楽教育』と『社会における音楽教育』についての議論が行われた」という内容でした。また、その記事には、「幼少期の音楽教育経験が演奏家や教師としての将来につながるとみた当時の議論では、学校だけでなく社会教育も含めて『演奏権』から外すことを決めた」とも書いてありました。

 

 

 

この弁護士が、これらのことをわざわざ主張したということは、「音楽教育を守る会」側は「音楽教室は『学校』ではない。」と、自ら認めて言っている、ということではないでしょうか?(ちなみに、以前にも書きましたとおり、著作権法上の「学校」には、音楽教室はあてはまらないと私は考えています。これについては、後述します。)

  

また、「演奏権」は学校だから外されるということもありません

学校でも、「非営利、無料、無報酬」の条件に当てはまらなければ、「演奏権」についても著作(権)者の許諾が必要であり、著作権料を求められ支払うこともあります。例えば、学校の吹奏楽部が、例え数百円程度でも有料の演奏会を開催する場合は、曲により演奏利用許諾は必要で、著作権料も支払わなければなりません。また、文化祭(学園祭)で有料のライブをしたり、ライブ自体は無料でもミュージシャンにギャラが発生する場合には、曲により演奏利用許諾は必要で、著作権料も支払わなければなりません。

このことは著作権法を読めば明らかなことです。「学校だけでなく社会教育も含めて」と記事には書いてありましたが、学校でも社会教育でも「演奏権」は適用されます。

 

 

 

さて、またまた書きます。明らかに、学校教育法上、「音楽教室」は「学校」ではありません。ですから、当然著作権法上における「学校」でもないといっていいと思います。そこで、再び、著作権法上における「学校」「教育」とは何かを考えてみます。

 

著作権法には、「学校教育」、「学校」と書かれている条文はあっても、「教育」と書かれている条文はありません。確かに著作権法第35条第1項には「学校その他の『教育』機関(営利を目的として設置されているものを除く)」(注、引用した条文の「教育」に、このように鉤括弧をつけたのは私によります。以下、同様です。)とあります。しかし、これは「教育」そのものに関して書かれているわけではありません。この場合の「『教育』機関」とはあくまで「学校」に準じるものであると考えるべきです。いわゆる「音楽教室」はこれに当てはまらないと私は考えます。
そう考えると、著作権法では、単に「教育目的」であるかどうかではなく、「『学校』における『教育目的』」であるかどうかが問題になるのではないでしょうか?

 

さて、著作権法でいう「学校」とはなんでしょうか?
少なくとも、おそらく 「学校教育法」で規定されている「学校」であることに間違いはないと私は考えます(なお、私が以下に書く文における「学校」は、特別に説明や注釈等をつけない限りは、「学校教育法」で定義する「学校」のことです。)。
そして、いわゆる「音楽教室」は、この「学校教育法」に規定する「学校」ではないことは学校教育法上明白です。世の中にいろいろある「ダンス教室」、「英会話教室」、「料理教室」等の「〇〇教室」の類も、どれも「学校」ではありません。


その違いはなんでしょうか?「学校としての『認可』があるかないか」です。
つまり、私は、「学校」として「認可」されていない以上、「音楽教室」は「学校」ではなく、著作権法に書かれている「学校」乃至は「学校教育」とはまったくの関係のないもの、と考えます。


しつこいですが、繰り返します。
著作権法では「学校教育」と書かれていても、「教育」と書かれている条項はないと記憶しております。「学校教育」に関する条項はあっても、「学校」だけに限らない広い概念の「教育」に関する条項は存在しないはずです。
前述のとおり、著作権法第35条第1項には、「学校その他の『教育』機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において(以下略)」と記載されています。でもこの「『教育』機関」とはあくまで「学校」に類するものであり、「音楽教室」がこれに当てはまるとは私にはとうてい考えられません。なにしろ、営利を目的としている以上、音楽教室は『学校その他の教育機関』ではない、と考えるべきです。
音楽教室」は、「学校」として認められていない、つまり「学校」として認可されていない以上は、そして例え教育目的はあるとしても授業料を得ている以上は、あくまで「営利目的」の団体組織にすぎません。


もっとも、この第35条第1項は「『複製権』についての例外規定の条項」です。第2項で「演奏権」についてふれられてはいますが、第2項はずばり「演奏権」そのものについての規定ではありません。また、その「演奏」行為は「教育機関(前述のとおり音楽教室ではありません。)」での行為であることの他、第38条第1項の規定による場合である旨が書かれています。
(なお。著作権法第38条第1項でも、第2項でも、著作権者の利益を不当に害する場合には、第35条の規定は適用されない旨、書かれています。音楽教室著作権者の利益を不当に害するかどうかは人により判断が分かれると思いますが、私は、現状のままでは不当に害すると考えます。それは、著作権者の権利にフリーライドしていると考えるからです。)

 


以上のことから、音楽教室」は、明らかに「学校」として認可されているわけではなく、そして、教育目的かもしれませんがあきらかに営利目的とされるでしょう。ですから、音楽教室」は、著作権法で規定されている著作権法の例外規定の適用対象には当てはまらないのではないか、と私は考えます。