知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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著作物の利用の許諾

今更書くのもなんですが、あまりに著作権法制度の基本的なことを理解していないと思える人が多いので。

 

 

現在の著作権法制度においては、「『則として』著作物の利用には権利者(著作者、著作権者)の許諾が必要」です。

ただし、(1)著作権法での例外規定条項内容にあてはまる場合(2)著作者、著作権者が前もって明確に許諾をしている場合(3)著作者、著作権者から「黙示の」許諾が認められていると見做せると考えられる場合、などは許諾は不要です。(3)は、曖昧で、ケースごとに「黙示の」許諾の有無の確認、判断をしなければなりませんから、けっこうわかりにくく大変で厄介です。

 

例として。

(1)のケースとして。例えば、図書館の書籍のとあるページを資料として(あくまで自分で用いるためだけに)自分で持っておきたいので、そのページを権利者の許諾なくコピーしたとします。これは、形式的には「著作権侵害行為」になりますが、著作権法制度上例外として認められている行為」ですので、よって著作権侵害にはなりません(ただし、このコピーについて、例えば会社での会議等のために会議参加人数分たくさんコピーして全員に配布した場合は、もはやそれは著作権侵害行為となります。)。著作権法ではこのような例外規定条項をたくさん設けています。特に近年では、インターネットがらみでの例外規定条項が増えましたし、今後も増えていくのではないかと考えます。実は、この例外がありすぎて著作権法制度が複雑になり、その理解を妨げる要因になっているのではないかと私は考えています。仕方がないことではありますが、どうにかなりませんでしょうかねぇ。

次に、(2)で前もって明確に許諾があるとされるケースとして。インターネットのとあるサイトで、「このコンテンツはフリーなので、無償で自由に御利用いただけます。」というように、はっきりと許諾の記載がある場合は、この(2)の場合と言えるでしょう。なお、その書き方によっては条件付での使用、利用(ある一定の条件での範囲でしか、フリーでの使用、利用を認めていないし、そうできない。)の場合がありますので、御注意ください。ちなみに、インターネットのサイト自体やサイト内コンテンツは著作物です。

最後に(3)のケース。(2)と似て非なるもので、わかりずらいです。例えば、インターネットのとあるサイトで、「このコンテンツはフリーなので、無償で自由に御利用いただけます。」というような許諾の記載が「ない」場合を考えます。この場合、許諾されていない以上、使用又は利用をすれば、それは基本的、形式的には、著作権侵害となってしまいます。しかし、そのサイト、そのコンテンツに誰もが自由にアクセスでき、誰もがタダで自由にそれを使用、利用できるのがもはや明確であるならば、それは黙示の許諾があるものと考えることができます(あくまで「黙示の許諾」です。また実際は許諾していないこともありえます)。別の書き方をすれば、著作者、著作権者が著作物のそのようなフリーでの使用、利用を「『あらかじめ想定している』と考えられる場合」は黙示の許諾がある、と言えると思います。例えば、コミックマーケットでの同人誌即売行為に対する、漫画アニメ等の業界のスタンスはそうですよね。あと、「買った書籍を『あくまで個人的に』読むこと、買ったCDを『あくまで個人的に』聴くこと」は、これらは著作物の私的使用であるので著作権法上侵害にはなりませんが、別の考え方をすれば「著作物の私的使用行為には、著作権者による『黙示の許諾』がある。」とも考えられます。

ただし、「黙示」ですから、必ずしも許諾がされている保証はないので、リスクを避けたいならば著作者、著作権者にはっきり確認をするのが間違いないのですが、それをしてしまって寝た子を起こしたと非難された例もあります…。

 

でもやはり。

 

「著作者、著作権者の『許諾を得ずに』勝手に著作物を利用してはいけません。」、これは大事なことであり、また著作権法制度の大事な原則です。
その法的な根拠は著作権法第63条です。「著作物の利用の許諾」について定められていますが、長いので割愛します。

そして、著作権法第1条には、著作権法の理念、目的として、
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
とあります。

以上のことから、「著作物の利用許諾を得ること」は、「著作者(著作権者)の権利を守りつつ、著作物を公正に利用していくため」に「著作権法で定められた手続手段」であり、また「これは私達の文化の発展に貢献する大事なこと」である、といっていいと思います。
極端なことをいえば、「許諾を得ずに著作物を正しく利用しないこと」は、「文化を破壊する行為」であるとさえいっていいと思います。

 

 

最後に。

「法を知らなかった。」は言い訳にはなりません。