知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 43問目 44問目 45問目 (後編)

(前編の続きです。)


第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は43問目、44問目、45問目の後編、44問目、45問目の説明です。

なお、問題の前提となる事項については、前回を御参照ください。

 

 

44問目は、自社のEU商標に類似する商標に関する「Leeko」がEU出願されていることを知ったReeco社のとった行為について「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは間違いです。EUへの直接出願の場合、異議申立ての期間は「公告の日から3ヶ月の間」までなので、選択肢の文にあるように「公告の日から3ヶ月が経過するのを待って、異議を申し立て」た場合は、異議申立ての期間がすぎているので、その申立てが受け入れられることはありません。なお、マドリッドプロトコル経由での出願の場合では、今回のEU商標制度の改正により、選択肢の文のとおり公告の日から1ヶ月後に異議申立てができ、その期間は3ヶ月間に短縮されています
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。EUの商標制度にはクーリングオフ制度があり、異議申立ての後、両当事者は自ら交渉により解決を図ることができます。EUの商標制度には、その根底には「まず当事者による解決をはかる」という考えがあると思います。クーリングオフ制度は、その1つの表れではないかと。
選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。直接交渉しようと代理人を通して交渉しようと、適切な手段で交渉するならなんの問題はありません。
選択肢エは正しいです。選択肢の文のとおりです。Reeco社とリー氏が商標の共存の可能性について協議することになんの問題もありません。EUの商標制度には同意書(コンセント)制度があり、よってEUでは類似商標の共存が可能です。この制度がある、国・地域は少なくありません。
よって、選択肢アが間違いで「不適切」なので、アが正解です。 

 


45問目は、事業の名称の変更をリー氏が検討していることについて「適切」な選択肢を選ぶ問題です。

なお、名称変更の背景には、同一の商品に使用される類似する先行EU商標の存在があるとのことです。
選択肢アは間違いです。クーリングオフ期間中は出願商標の審査手続きはとまっていて進行することはなく、よってクーリングオフ期間中に出願商標が登録されることはありません。
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。この選択肢の文に「帽子を除いたいかなる製品の生産も認めず」とありますが、先行商標の権利内容がわからないので、「いかなる製品の生産を認めず」とあるのはおかしいといえます。また、帽子に添えて使用するピンバッチは、それが帽子とは別に単独で流通する商品ではない以上、そのピンバッチに商標を使用しても問題はないと考えられますし、そもそもまだリー氏のアイデアでしかありません。ですから、リー氏が先行商標の所有者の要求を拒否しても問題ありません。
選択肢ウは間違いです。これまではEU登録商標を第三者が会社名または商号として使用しても商標権侵害にはなりませんでしたが、今回のEU商標制度の改正でそのレギュレーションから「商号」という言葉はなくなり、よって第三者による会社名または商号としてのEU登録商標の使用は商標権侵害となりました
選択肢エは間違いです。EU出願商標をその登録が公告される前にその出願商標を使用して事業を開始した場合には、もし登録されなかったらその使用をやめなければならなくなるリスクが存在するので、問題です。
よって、選択肢イが正しく「適切」なので、イが正解です。