知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 43問目 44問目 45問目 (前編)

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は43問目、44問目、45問目の前編、43問目の説明です。

 

 

なお、43問目、44問目、45問目は、欧州連合(EU)商標についての問題です。

問題の前提として、 

①リー・コーネ(Lee Kone)氏(以下、「リー氏」という。)は、フィンランドヘルシンキおいて、Leeko Caps and Hatsという名称で、自らの製作する帽子を製造販売する工房兼販売店を開いた(筆者注   おそらく、会社として登録していない個人営業、という認識でいいと思います)

②「Leeko」とは彼女の姓名の短縮形で、彼女の帽子の雰囲気にあうものを考えてつけた(筆者注   これは造語であり、由来がどうであれ彼女の姓名そのものではありません)
③スペインの大企業である帽子メーカーReeco社は、南欧で自社名を付した帽子を製造販売している

④Reeco社は帽子について使用される登録済みのEU商標「Reeco」を有している
となっています。

 


43問目は、リー氏が商標「Leeko」の権利化をする際の注意事項について「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。
選択肢アは間違いです。EU商標の制度が改正され、商標出願においてクラスヘディングをそのまま記載した場合は、その言葉どおりにしか認められなくなりました。ですから、「Class 25 : Clothing, footwear, headgear」と指定商品を記載して出願した場合は、「衣服、靴、かぶりもの」とだけしか認められず、リー氏が製作する「帽子」や、リー氏が販売する「帽子用ひさし」、「帽子用骨組み」は、指定されていないとされてしまいます。
選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。Surveillance Letterについては後述します。
選択肢ウは正しいです。選択肢の文のとおりです。EU商標の制度が改正され、EU search Report は出願時にあらかじめ要求していないともらえなくなりましたEU search Reportについては後述します。
選択肢エは正しいです。選択肢の文のとおりです。「Reeco」と「Leeko」とは、確かに綴りは異なるので同一とはいえませんが、類似と判断される可能性があり、法的な問題が生じ得ると考えられます
よって、選択肢アが間違いで「不適切」なので、アが正解です。

 

 

Surveillance LetterEU search Report

先に「EU search Report」を説明し、その後で「Surveillance Letter」の説明をします。

「EU search Report」とは、EU において商標が出願されると、の出願者が出願時に請求した場合に限りますが、EUIPO(欧州特許庁)が、その出願商標に出願日を付与した後で、先行するEU 商標の登録、出願について調査を行うのですが、出願者へのその調査結果の報告のこと、をいいます。これにより、出願者は商標出願についての検討ができ、そのまま出願を続行するあるいは放棄する、その判断の助けとなります。

「Surveillance Letter」とは、前述の調査報告の「EU search Report」にて引用された先行登録または先行出願のEU 商標の所有者に対する、その調査報告に引用された旨の通知のことをいいます。これは請求しなくても通知されるものですが、受けとらないことを求めることも可能です。これにより、先行登録または先行出願のEU 商標の所有者は異議申立ての機会が与えられることになります。

 

 


(後編に続く。)