知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 24問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は24問目です。


24問目は、並行輸入による商標権侵害を起こさないようにするために、商標権者たるY社とW国の製造会社Z社とが結ぶ使用許諾契約をX社がチェックする際の注意点について、「不適切」な選択肢の文を選ぶ問題です。

 

前提として、

①日本国法人のX社は、商品PをW国からわが国に並行輸入することを検討

②商品Pには商標Qが付されていて、Y社がW国とわが国でその商標Qの商標権を有している

③Y社は、商標Qに係る商品Pの製造販売についてZ社との間で商標の使用許諾契約を締結、X社が商品PをW国から並行輸入をする場合は、その商品PはZ社又はZ社の下請けが製造したものとなる

ということです。

 

 

この24問目は、問題文に説明はありませんが、フレッドペリー事件」裁判(なお、選択肢イについてはバイアグラ錠剤事件」裁判も(※))が参考にされていると考えられます。つまり、おもてだって書かれてはいませんが、この24問目は判例問題と考えていいと思います。

なお、このフレッドペリー事件」裁判の前、後にも、並行輸入についての裁判はいろいろあり、それらも参考にしてください。

 

フレッドペリー事件」裁判では、「真性商品の並行輸入認定の三要件」が示されていて、それらは、

❶商品に付された商標が表示する出所と、商標権者が使用する商標が表示する出所とが、実質的に同一であり

❷その商標の外国での使用許諾をえた者等により適法に付されたものであり

❸外国での使用許諾をえた者等によりその商標が付された商品の品質が、商標権者が商標を使用することで生じる商品の品質についての信用を損なわない

の3つとなります。

 

 

その上で、各選択肢をみてみます。

選択肢アは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❷に該当するものと考えられると思います。

選択肢イは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❸に該当するものと考えられると思います。

選択肢ウは間違いです。選択肢の文に、「商品Pについて、使用許諾契約にて、Z社がY社との間で商品Pの販売先ないしは商標の使用地域からわが国日本を除外する規定が含まれているかどうかをチェックする。」旨が書かれていますが、別にX社はZ社から商品Pを直接購入しているとは限らないので(この24問目にはそのような説明はありません。書いてあるのは、X社は商品PをW国から並行輸入することと、そのW国から並行輸入する商品PはZ社又はZ社の下請けが製造していることだけ、です。)、仮にV社(W国の会社)としますが、例えば、そこにZ社が商品Pを販売し、そのV社からX社が購入しているとしたら、この選択肢の文の行為は全く意味のない不要の行為です。選択肢アの文に似ていますが、全く意味が違います。

選択肢エは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❶に該当するものと考えられると思います。

よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

 

 

ちなみに、この「真性商品の並行輸入認定の三要件」については、29問目に書かれています。つまり、29問目が24問目を解くためのよいヒントとなっています。フレッドペリー事件」裁判での「真性商品の並行輸入認定の三要件」を思い出せなくても、24問目を解くことができた人もいたでしょう。

 

 

 

(※)選択肢イが「Z社はY社の書面による事前の同意なく、商品Pの製造、仕上げ又は梱包の下請けについての取り決めをすることを禁止されている規定が含まれているかどうかをチェックする。」とあるのは、バイアグラ錠剤事件」裁判をふまえたものと思われます。