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知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 10問目 11問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は10問目、11問目です。

商標の独占的使用のライセンス契約ということで、今回は、10問目、11回目をまとめて書きます。

両問題に共通する前提として、
①X社は下着の製造販売業者で、「HAPPY」なる登録商標保有
②小売業者のY社は、X社に、この商標を日本国内で独占的に使用したい旨の申し入れをした
③そこでライセンス契約書(案)を作成
となっています。
これは問題文に書いてあります。

では、これをふまえて、各問、各選択肢を詳しく見ていきます。


まず10問目。ライセンス契約書についての会話で、「適切」なものを選ぶ問題です。

選択肢アは間違いです。詳しく読みますと、この契約書(案)には「専用使用権」と書かれています。将来商標の使用予定があるX社(Y社は指定商品コートでのこの商標の使用権を求め、X社はこの商標をレインコートに使用することを考えています。なお、題文には書かれていませんが、コートとレインコートは類似と考えられ、どちらも類似群コードは「17A01」です。)としては、自社の商標の使用ができなくなる「専用使用権」のライセンス契約をY社に認めることができません。X社としては、X社が絶対に商標の使用をしない極めて狭い指定商品の範囲でY社に商標の専用使用権(あるいはその範囲での商標権譲渡)を認めるか、それとも自社でも商標の使用ができる通常使用権として認めるか、このどちらかしかX社は認めることができません。そして、コートとレインコートが類似関係となると、結局「通常使用権」にするしかありません。よって選択肢アは間違いです。
選択肢イは間違いです。X社の許諾なく、Y社が第三者に当該商標を付した商品の製造を委託してはならないことはは、X社の商品管理義務の観点から重要なことです。ですから、契約書にその旨を規定することは当然のことで、実際に第3条2項にて規定されています。ですが、第三者の販売についての通常使用権の許諾にまで、X社の承諾がないとできないとするのはやりすぎです。なお、通常、第三者の小売業者は、仕入先と売買契約を結んだ段階で、その契約に明記されていなくても、その小売に限る範囲でその商品の商標をそのままに販売する限り(つまり商標の改変等の行為は認められていない)において、商標の通常使用権が暗黙で許諾されているものと解されています。
選択肢ウは正しいです。「使用権」の設定登録においては商標権の存続期間を超える期間を設定することはできませんが、この契約書の契約期間がこの商標権の存続期間を超える形で本契約を締結することはできます。ただ、ここでの会話は「Y社の使用権の登録期間」についてです。第7条に「平成36年5月10日」とあるのは、あくまで本契約の有効期間についてです。ですから、この会話の文のとおりで、例えば第2条で「Y社の使用権の登録期間」として「平成35年5月10日」と明記しておくことは、大事なことです。なお私なら、X社が商標権の更新を必ずするように、その義務を契約書に明記するようにします。
選択肢エは間違いです。確かにX社はY社に対して商標のライセンスはしますが、メーカーとして商品の供給をするわけではありません。商品自体はY社あるいはY社が外注する他社メーカーが製造することになると考えられます。そうなりますと、製造物責任の原則から、X社は製造物責任を負うことはないと考えられます。しかし標のライセンサーたるX社には、ライセンシーたるY社及びその商標使用商品(X社製ではない)についての管理義務があり、Y社(あるいは他社)が製造し販売するライセンス商品について、X社も製造責任を負うことになるとされています(製造物責任法第2条3項各号の解釈上)。確か製造物責任を認めた判例があったと思います。
よって選択肢ウが「適切」で正解です。


次に11問目。ライセンス契約書(案)の第5条(商品の検査及び商品見本の提供)について、担当者の考えとして「適切」なものを選ぶ問題です。

選択肢アは間違いです。使用商標に併記する自社ブランドが、例え使用商標とは非類似だとしても、併記することは、その内容により使用商標に対する混同誤認を招きかねないので、第5条の検査においてこれは特に注意すべきことです(念のために書きますと、併記すること自体は別にいけないことではありません。注意をして、必要ならば禁止しなければならない、ということです。)。
選択肢イは間違いです。Y社が混同の可能性の認識をしていようがいまいが、実際に第三者に対して混同が生じた場合には、X社の登録商標は取り消される可能性があります。ですから、第5条の検査でY社に認識の有無の確認をしても全く意味がありません。商標法第53条の使用権者(今回の問題におけるY社)の不正使用は、使用権者の故意過失の有無に関係なく適用されます。
選択肢ウは間違いです。Y社の商標使用により品質の誤認が生じることを理由として、X社の商標が無効とされる取り消されることはあります(商標法第53条1項)ので、この部分は正しいのですが、その後の「品質誤認が生じないよう注意する」の部分が具体的ではありません。今回の問題のケースにおいては、「そのX社が相当の注意を払っていた場合」で、かつ「使用権者たるY社の不正使用を商標権者たるX社が知らない場合」に限り、商標法第53条1項の適用をX社は免れることができますが、そうではありません。つまり、仮にX社が相当の注意をY社に対して払っていたとしても、もしX社がY社の不正使用を見落としていた、あるいは見過ごしていた、知っていながらそれを見て見ぬふりをしていた、等だとしたら、それは商標法第53条1項の適用となり登録商標は取り消されます標権者が相当の注意を払っているならば、使用権者が不正使用をしていた場合、直ちにそれを知りえてやめさせることができますし、実際にそうするはずです。そのために、ライセンス契約書第5条にある検査を実施するわけです。ですから、もしこれを実施してもなお第三者との混同や品質誤認が生じたならば、それは間違いなく商標権者の落度であり、商標権が取り消されてもそれは仕方がありません。また、条文には「『相当の』注意」とあります。単なる注意ではなく、これは「商標権者としての義務と責任をはたせる程度の注意」をはらえ、ということです。その意味で選択肢の文の「品質誤認が生じないよう注意する」だけでは曖昧すぎます。
選択肢エは正しいです。商標法第53条1項において、商標権者の使用権者に対する監督義務が課されていると解釈されています。今回の試験の場合、商標権者たるX社は、その商標の使用権者たるY社に対して監督義務があり、それを怠ることは監督義務違反、ということになります。つまり、Y社が第2条に従い正しく商標を使用しているとしても、X社が第5条の検査を実施しなければ、監督義務違反に問われる可能性がある、ということです。

よって選択肢エが「適切」で正解です。