知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

【再々々考】第20回1級ブランド専門業務学科試験問題 自分学習用解説 45問目

第20回1級ブランド専門業務学科試験問題 自分学習用解説 45問目について、再々々考します。

 

 

私の中では、この45問目だけは、うまく説明ができていなかったことがずっとひっかかっていました。43問目、44問目とはなんか勝手が違うといいますか。

 

で、何度目かの再考と説明を試みようと思います。

 

 

再考及び説明の前に、まず、現在英国はEUから脱退しようとしていますが、少なくともこの問題に書かれた裁判がおきた時、及びこの第20回1級ブランド専門業務学科試験の時は、まだ英国はEU加盟国の1つだったことは確実なことです。

そのことから、この時の英国商標法は、欧州共同体商標(当時、現在は欧州連合商標)つまりCTM(現在はEUTM)のハーモナイズを受けていたと考えられ、よってCTMでの考えをそのまま英国商標法制度に当てはめて考えることができる、のではないでしょうか。

 

これをふまえて、再考及び説明にはいります。

 

選択肢アは正しい文であることが判断できます。

その根拠として、私が以前紹介した書籍に、「共同体商標と共同体意匠の実務」(社団法人発明協会、松井宏記著)というのがありますが、これの75Pを読むと、この選択肢アの文が正しいことがわかります。

また、知的財産研究所の論文にも、この選択肢アの文と同じようなことが書かれていたのを読んだことがあります。

まあ、別に欧州や英国の商標法制度を知らなくても、日本の商標法制度をちゃんと理解できていれば、なんとなく感覚的に選択肢アは正しいと判断できると思います。

 

つぎに選択肢イも正しいと判断できます。

この選択肢イの文の大事なところは、後半部分、「調査によると…示す証拠を提出した。」の部分です。つまりNestleは使用による識別性獲得の証拠を提出した。」と書いてあるわけです。このことが事実がどうかはわかりません。しかし、選択肢イでわざわざ事実かどうかを問うて出題したとは思えませんし、45問目自体の出題意図から考えれば、選択肢イは45問目においては適切な記述と考えることができるのではないでしょうか。

 

選択肢ウをとばして、先にエについて。これも正しいと判断できます。

「不透明な包装で販売」されていることは、顧客の購入時に製品の形状を顧客は視認することができない、つまりこの製品の形状が出所表示機能や自他商品識別機能を発揮していないということであり、よってその製品の形状がその「使用によって識別性を獲得している」ことなどありえないわけで、ゆえにこの文は正しいことになります。

 

そして選択肢ウです。選択肢ア、イ、エが正しいので、消去法で選択肢ウの文が間違い、よって選択肢ウが不適切な文で正確、と解答を導きだすのは、試験時には当然アリですが、このブログではそういうわけにはいかないので、まあ説明してみます。

日本及びEUの商標法制度の場合は、立体形状に識別力がなくても、識別力のある平面商標が不可分的にこの立体形状に使われていれば、全体的に識別力のある立体商標として、商標使用による識別性は認められ、登録されます。(例えば、前述の書籍「共同体商標と共同体意匠の実務」60Pを御参照ください。)

そして、前述のCTMと英国商標法制度とのハーモナイズを考えると、おそらく英国でも同様なのではないか、と考えます。

そうなりますと、選択肢ウの文の場合は、「使用による識別性」が「認められる」ものであり、「認められない」と書かれている選択肢ウの文は間違いといえます。よって選択肢ウが不適切な文で正解、ということになります。

 

 

 

私的にはこれでだいぶスカッとしております(笑)。