知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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キングコング西野氏の「金の奴隷解放宣言」発言に思う (追記あり)

お笑い芸人であるキングコング西野氏が、自身がだした絵本をWebで「無料」公開した件にふれ、「金の奴隷解放宣言」たる発言をしたそうです。

 

 

安易に「無料」化するのはどうかと思いますが、いろいろなことに気を配りながらちゃんと考えた上でするならば、そしてそれに対して自分自身のみが負担になる限りでは、「無料(あるいは採算割れするほどの廉価)」については、私は「有り」だとは思います、コンテンツに限らず、なんにしてもちろんそれは、そうするだけのメリットの存在、あるいはそうしても別な形で利益が生まれる、あるいはそうしなければならない特別な必要性がある、などの理由があれば、の話です。

 

ただ、どんなことでも基本原則は「有料」です。

なぜなら、みなそれなりにコストがかかっているからです。人件費等労働力に関わる費用、原材料費、設備投資費、宣伝公告費、事業のために銀行などから借りた金銭の返済金、出資者にはらう配当、などなど。そして、価格にはこれに自分の儲け分も加えます。コストがないものなどあり得ません。ですので、コストを回収して元をとり、かつさらに利益をださなければなりません。当然のことです。

さらに加えて、当たり前ですが、知的財産権それ自体には相応の価値があります。これも考慮され価格に反映されなければなりません。その価値をも簡単に無視してしまい無料にしてしまうのは、いくら(おそらく)権利者(の1人)だとしてもいかがなものかと私は思います。

 

ですから、本来は「無料」なんてあり得ないことです。でも、前述の理由があるならば、「無料」という選択もある、ということなのです。

今回のケースもおそらくそういうことだと思います。ですから「無料」はありだとは思います。ただ、それはあくまで自分自身の負担の範囲に限定した上で無料にすべき、と私は考えます。

 

 

そして、今回の件における西野氏の言動について、全くいただけない点や疑問点が、私にはあります

まず、西野氏はこの絵本をだすにあたり、クラウドファインディングによる資金調達をしたらしいですが、そうだとすると、出資者に何も説明もなく今回のWebでの「無料」公開をしたならば、それはクラウドファインディングの出資者を裏切るあるいはだました行為なのではないかと思います。加えて、クラウドファインディングにおける契約内容にもよりますが、場合によっては故意に損害を与えた行為にもなりかねません。その場合、裁判をおこされたら、おそらく西野氏は負けるのではないか、と個人的には思います。

また、この絵本をだすにあたり、いろいろな方々の力を借りたのではないかと思います。その中の一部の方々には、なんらかの権利が発生しているのではないか、と考えます(前の方で「(おそらく)権利者(の1人)」と書いたのは、この意味もあります。)。その権利関係をちゃんとクリアしてからWebでの「無料」公開をしたのでしょうか?特にWebでは、そうとう意識しないと、知的財産権をはじめとするあらゆる権利関係が、わかりにくくうやむやになりがちですそして知的財産権(特に著作権)は比較的タダ同然と認識されがちです。もっとも、権利関係はないとしても、関係者に対して一言あるべきが礼儀というものだと思います。まあ、そのあたりは、流石に礼儀を欠くようなことはしていないと思いますが。

そして、前述の「金の奴隷解放宣言」という発言です。これは他全てのクリエイターを(そして自分自身の存在をも)否定しバカにした発言と解釈されても仕方ないと思います。また資本主義のシステムそのものを否定する発言でもあると思います。ならば、キングコングのお笑いも、高いといえば、今後は無料にしてもらえるのでしょうか?少なくとも、子供はタダで見ることができるようにするのでしょうか。しないでしょうに。また、いっそのこと社会主義の国に亡命でもなさったらいかがでしょうか(笑)。

それから、西野氏は、子供達の要望に応えるような形で、今回のWebでの「無料」化を考え実行したそうですが、これは西野氏自身のみの考えなのでしょうか、それとも関係者全員の総意なのでしょうか。前者ならば、全ての負担を一身で背負ったのでしょうか。もちろん後者ならば何の問題はございません。まあ、子供をもちだしてきて美談にしたのは、話をはぐらかそうとしているとしか思えず、私は西野氏にあざとさを感ぜずにはいられません

 

 

☆後日加筆☆

その後わかったのですが、西野氏の思惑は深く、西野氏なりの思慮があった上で、今回のようなことをしたとのことです。それは、どうやらある種のフリーミアムの実践のようです。けっしてクリエイターをバカした行為ではありませんでした。これならば納得できます。

でも、西野氏は、なんていうか不器用といいますか。もっと誤解されないスマートなやり方や言い方があったと思うのですが。