知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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【説明を改めます】第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 29問目について その1

前回の第23回知財管技検定1級ブランド学科試験の見直しをしてみました。

それで、以前にブログに書いた第23回知財管技検定1級ブランド学科試験の29問目の自分学習用解説の私の説明 (特に選択肢イの説明)を読み直しましたら、はっきりいって変でした。なんじゃこりゃ?

 

私の理解力不足のせいです。すみません。

 

というわけで、第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 29問目(特に選択肢イ)について、改めて、解説を書き直します。

なお、公式解答のとおり、選択肢イが正解(つまり甲の発言2が不適切)であることは変わりません。

 

あれから、多少なりとも勉強してきましたが、今現在が当時よりも私の理解力があがったのかどうか、私にはわかりません。今回の書き直した解説において、いまだなおまだおかしな点がございましたら、御指摘くださると私としても助かります。

また、以下の説明について、全てを説明しているわけではなく、はしょった部分があることを御了承ください。

 

 

 

では説明に入ります。

 

29問目は、日本の税関における知的財産権侵害物品の水際取締りにおける輸入差止申立てについての問題です。

 

各選択肢の説明をする前に、いくつか事前に説明をします。各選択肢の説明は次回に書きます。

 

 

税関は、輸入物品について、知的財産権侵害の疑義貨物を発見しますと、その疑義貨物が知的財産権侵害物品であるかどうかの「認定手続」を行い、そしてその結果に基づき、輸入の認可不認可や廃棄等の処分をしたりします。

 

この「認定手続」ですが、おおきく、「職権による」疑義貨物の発見からの「認定手続」の流れと、「輸入差止申立てによる」疑義貨物の発見からの「認定手続」の流れとにわかれます。

 

この問題で、甲が「通常の認定手続は輸入差止申立てをしていない商標についても行われます。」と言っている記載がありますが、これはおそらく「職権による」疑義貨物の発見からの「認定手続」について言っているのではないかと思います。

 

さて、では「輸入差止申立てによる」疑義貨物の発見からの「認定手続」はどのようなもののでしょうか。

 

まずは、知的財産権の権利者により、前もって輸入差止申立てがなされていないといけません

知的財産権侵害物品が輸入されたあるいは輸入される可能性がある場合、税関での知的財産権侵害物品の差止を求めたい権利者は、輸入差止を申立てます。そして税関がそれを受理すると、前述の「輸入差止申立てによる」疑義貨物の発見、そしてそれからの「認定手続」、へと進みます。なお、申立てが不受理となる場合もあります。そうなると、当然ですが申立てによって税関が動くことはございません。

 

なお、この申立ての有効期間は、かつては「2年間(更新あり)」でしたが、27年の法の改正及びその施行により「4年間(更新あり)」とのび、権利者の負担が軽減されました

なぜ、このような実務上重要な改正点を出題しなかったのか、今更ながら私は不思議に思っています。

 

話をもどします。受理された申立てに従い、税関は「輸入差止申立てによる」疑義貨物を発見します。疑義貨物を発見すると、税関は次に「認定手続」に入ります。

税関は、権利者、輸入者、双方に「認定手続開始通知書」を送ります。

そして、輸入者に争う意思があれば、輸入者はその旨を税関に伝え、意見や証拠を税関に提出します。権利者も同様に意見や証拠を税関に提出します。税関は、輸入者、権利者から提出された意見や証拠をふまえて侵害があるかないかの認定をします。これが「通常の認定手続」です。

輸入者に争う意思がない場合、税関は前述の通知をしますが、輸入者は税関に意見や証拠を提出することなく、また権利者も意見や証拠を提出することなく、税関は権利者の輸入差止申立てに従ってすみやかに認定を行います。これが「簡素化手続(認定手続の簡素化)」です。

 

この「簡素化」は、権利者の負担の軽減をはかるために導入されたものです。

「通常の認定手続」では、税関は、権利者、輸入者ともに対して、意見や証拠の提出を求めます。輸入を差止めたい権利者は積極的に意見や証拠を提出する(意見や証拠を提出しないことは輸入が認められることにつながります)のに対して、輸入者は必ずしも意見や証拠を提出しないことが多かったのです。これでは権利者の負担はあまりに大きいです。そこで、輸入者に争う意思がないならば権利者が意見や証拠を提出しなくてもすむようにすることで、権利者の負担の軽減をはかりました

 

なお、「認定手続の簡素化」は、特許権実用新案権意匠権、これら『以外』の知的財産権」の場合に適用され(つまり商標権には適用されます)、「特許権実用新案権意匠権」の場合には適用されません。ここも出題ポイントになりそうな気がしませんか?

 

 

(その2に続きます。)