知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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確かに日本の著作権法制度的にはコミケは形式的には違法なのですが… 「単なる余計なお説教」

たまたま見つけた記事ですが。

 

「シェアしたくなる法律相談所」というサイトの、「冬のコミケ開幕へ…ところで『二次創作』って著作権侵害にはならないの?」というタイトルの、弁護士の方への取材を元にした記事のようです。

 

https://lmedia.jp/2016/12/28/74242/

 

 

私には、「何をいまさら」感でいっぱいな記事なのですが。

 

この記事においても説明されているとおりで、確かに著作権法制度的には「コミケは形式的には違法です」。「権利者に黙認されている」にすぎません。そうだからこそこれまでおとがめなく開催できているだけの話です。

 

個人的には今更な内容なのですが、そのことを知らないコミケ参加者がまた増えてきた、というところなのでしょう。だから、啓蒙のためにあらためてこのような記事を書いたのだと思います。

 

どうせ書くならば、「なぜこれまで黙認されてきたかその経緯や背景まで」ちゃんと記事を書いて欲しかった、と個人的に思っています。

そうでなければ、「コミケは違法で、黙認されているからできるんだぞ。わかってんの、お前ら?」的な感じで、わざと上から目線で書いている偉そう感だけの記事、ととらえられてしまうでしょう。

 

 

現在では、外国人がはるばる海外からいらして来場し、企業や有名芸能人までもが参加して、複雑かつ独特の世界を構築するまでにいたったコミケですが、おそらく始まった当初は、あくまで純粋なファン達による、マンガやアニメが好きな人達の、同人誌という形での、ファン活動の一つにすぎなかったと思います。

その後、流石にただで同人誌をだせないので金銭のやり取りをしていたらそれなりに儲けられたり、エロ系同人誌がでてきたり、ロリコンやおい系の同人誌がでてきたり、プロのマンガ家やアニメーターがアマチュア時代に参加していたりプロになっても参加したり、企業や有名芸能人も参加するようになったり…、といろいろ変化してきたわけです。

その中では、確かに著作権侵害もあります。でも、著作権者側(マンガ家やアニメーター等個人はもとより、出版社やアニメ制作会社、その他関係する企業、ステークホルダーまで含め)は、コミケは、あくまでファンによる活動であり、またビジネス的な話をすれば作品が盛り上がりある種の宣伝になったりする等のメリットが企業側にもあるので、目くじらを立てず黙認してきたわけです。この点、ディズニーに代表されるアメリカとは事情が異なります。

でも、権利者側もファン側も、双方WinWinの関係となる、日本独特の素晴らしいあり方だと、私は思いますが、いかがでしょうか。権利を主張するだけのアメリカでは、到底できない(おそらく理解できない)ことだと思います。

ですから、私は今のままでいいと思います。

 

 

と、いうようなことまで、しっかり書かないと、この記事は「単なる余計なお説教」になるだけだと、私は思います。

 

 

 

最後に。

記事の最後の方で、「JASRACのようにマンガやアニメにおける著作権管理団体を作るべき。」というような話をされてます。あくまでこれはプロのレベルでの話にとどめるべきではないか、と私は考えます(確かに、現在マンガやアニメの著作権管理団体はないようです。企業や関係団体組織が、それぞれ個別に管理していますので、その一元化をはかる、という主張のようです。)。

コミケのようなアマチュアレベル(コミケにはプロや企業も参加しています。プロや企業はまた話を別にして考える必要があると思います。)ならば、クリエィティブコモンズのようなやり方がベストだと思います。

もちろん、プロレベルでもクリエィティブコモンズを適用すべきところはすべきだと思います。著作権管理団体を否定するつもりは私は毛頭ありません。ただ、なんでもかんでも著作権管理団体で著作権管理をすべきだとも私は思いません。権利許諾や著作権料支払などが必要ないことにはいちいち管理の必要性はないと思いますが、とはいえすき勝手に著作物が利用できてしまうのはまずいですから、クリエィティブコモンズをもっと活用すべきだと個人的には思います。

なお、これはマンガやアニメに限った話ではないと思います。他の分野を含め、著作権管理について根本的に見直し考える時がきたのではないか、と個人的には思います。 

※ここでいうプロは、コンテンツ産業とは直接関わりのない個人や一般企業、組織、公共団体も含めます。もちろんコンテンツ産業企業はいうまでもありません。これらによるコンテンツ利用行為(しいて言えば、私的使用にあてはまらない行為)はプロの行為、と私は考えます。