知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

書籍紹介その33 商標判例読解

判例を学ぼう。

判例から学ぼう。

 

 

私は、会社で商標管理の担当者になって以来、青木弁理士を商標における心の師として勝手に仰いでまして、このブログでも以前にそう書いたと思います。
その青木弁理士がいらっしゃるユアサハラ法律特許事務所が、以下の書籍を出版しました。

 

 

商標判例読解 (現代産業選書―知的財産実務シリーズ)

商標判例読解 (現代産業選書―知的財産実務シリーズ)

 



ユアサハラ法律特許事務所では、商標判例の勉強会を月1でしているそうです。その勉強会の成果がまさにあらわれている書籍だと思います。執筆、編集 に名を連ねていらっしゃる方々は、この勉強会の方々なのでしょう。いわばユアサハラオールスターズ(略してUAS)でしょうか(笑)。前述の青木弁理士の名もあります。


昔からの重要判例は基本として当然知っていないといけませんが、同時に最新の判例動向情報も知っていないといけないと思います。
この書籍は、ここ数年内の判例事例を扱っています。この書籍で扱われている、もっとも古い事例で平成24年5月判決、もっとも新しい事例で今年平成28年2月判決です。新しい裁判事例を知ることができるのはとても有難いです。

裁判は、当然ですが本来裁判当事者及び裁判関係者しか関わらないものです。また、例え同様の事例であっても、それぞれ異なる事件である以上、それらの裁判は当然別のものです。だから、同様な事例であっても、それぞれの裁判でそれぞれの判断がなされる、あるいはなされてきたわけです。
あくまで、過去の裁判判例は、将来の裁判において判断の「参考」にされる「だけ」の話、です。日本は判例法の国ではないのですから、その過去の判例を必ず踏襲しなければいけないわけではありません。とはいえ、過去の判例を援用できるので、それはつまり、かつての裁判の判例を踏まえ判断がなされる、ということを意味します。それが日本の裁判というものです。
ゆえに、判例を知ることは大事なことではないでしょうか。
裁判の結果だけでなく、なぜ裁判でそのように判事されたのかまでをしっかり身につけることが大事だと思います。


判例を知ることは、裁判での判断のためだけでなく、なにより日常の実務上においての判断の助けにもなります新しい裁判事例を知ることは、新しい判断材料を身につけること、です。普段の仕事において特に判断に迷う時の判断基準になります。裁判官、弁護士、弁理士、大学教授等の専門家だけでなく、企業の、例えば法務部や知財部等の人の仕事にも必ず役立ちます。

私に関して書けば、現在会社で出願している商標について、いずれこの書籍が、特に第1章のいくつかの事例が、判断材料として役立つかもしれない、そんな気がしています。既に権利を取得した商標についても、他から権利侵害されるようなことがおき、役に立つことがあるかもしれません。願わくば、そのようなことはおきて欲しくはありませんが。


この書籍は、①目次に、各判例の簡単な説明をのせ、その裁判の事件名を知らなくても、目次のその説明を読んで、求める判例が見つけられるようになっている点や、②各判例には、まず最初に「キーポイント」が書かれていて、その判例の読解ポイントがわかるようになっている点等、わかりやすくするための工夫がされているのがいいです。巻末に、裁判例索引だけでなく、キーワード索引もあれば、さらに素晴らしい書籍になったと思います。

取り上げられている裁判事例も興味深いものばかりです、個人的には、 「チュッパチャップス事件(平成24年2月地裁判決)」も取り上げて欲しかったです。あと、もう数ヶ月先の裁判判決であった「フランク三浦事件(平成28年4月12日高裁判決、現在最高裁上告中)」も取り上げて欲しかった。


ちなみに、この書籍は、実務だけではなく、知的財産管理技能士1級ブランド専門業務試験等の勉強にも役立つと思います。



さらに付け加えて。
私の希望としては、数年後に、ぜひ続編を出して欲しいです。その中で、「生活と科学社事件」(関連して、いささか古いですが「クルマの110番事件」や、「IKEA事件」の商標権侵害部分、などの事例にも触れてほしい)や、前の方で個人的要望を書いた「チュッパチャップス事件」や、(もし続編が出版されるならば、その頃にはすでに最高裁がひらかれ判決も確定しているでしょうから)「フランク三浦事件(高裁及び最高裁)」、などを取り上げて頂きたいと願っています。


あと、海外編もだしていただければもういうことありません。いやこれはさすがに負担が大きくてダメですよね(笑)。