知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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Do AIs dream of Copyright? - 人工知能は著作権の夢を見るか? その1

今回のブログタイトルは、「Do AIs dream of Copyright? - 人工知能著作権の夢を見るか? 」です。

おわかりの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回のブログタイトルは、映画化もされたとある有名SF小説のタイトルをもじったものです。


「Do the government of Japan dream of Copyright of AI?   -   日本政府は人工知能著作権の夢を見るか?」の方が、むしろ私の言いたいこととしてはあっているかもしれません。ただ、これだと、元ネタからかなり遠ざかってしまうようなのでやめました(笑)。

ブログタイトルはさておき、なんか、日本政府は、人工知能が作った音楽作品とか小説とかに、著作権を認める方向で検討しているらしいですね。

詳しい内容を知りません。これどういうことなんでしょう?

音楽や小説等の作品を、人工知能が作るのではなく、あくまで人が作るのであり、人工知能はあくまでそのための手段、利用するもの、というならば、そしてその人に対して、その作品の著作権を与える、というのであれば、私はまだ理解できます。
でも、これってこれまでの著作権法制度を何1つ変える必要はないですよね。
ということは、「『人工知能それ自体が自ら作る(少なくともそうみることができる)』作品に対しての著作権を、人工知能に与える」ということなのでしょうか?なんだかな、という感じです。


人工知能の行為(と言ってよいのかわかりませんが)は著作権を与えるに値する行為?なのか人工知能が作りだした作品?的なものは著作物と言えるのか、という疑問があります。

何より、人工知能著作権の権利者になることはできるか(権利主体になれるのか)、という疑問があります。
人工知能は権利主体になれるのか、なれないのか?もし、人工知能が権利主体になれないとすれば、では誰が権利主体になるのか?人工知能を開発した人か、それとも人工知能を操作した人か?プログラマーか、はたまたデータ入力者(このデータも、材料データと、判断条件データのら2つに分けられると思いますが、私が考えるのは主として判断条件データの方です。)か?これらは、開発した人と操作した人、どちらにあたるのか?



そもそも人工知能思想や感情を持っているのか、という疑問があります。

著作権法第2条第1項1号には、「著作物」が次のように定義されています。

「一 著作物    思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」

AIは思想や感情などもっていないでしょう。ですから、AIが作りだしたものは、著作物たりえない、ということです、少なくとも現行著作権法においては。

もし、法改正でこの定義を変えるなら、AIが作りだしたものは著作物となるかもしれませんし、そうである以上、著作者にもなり得るかもしれません。

著作者。そう、続いて2号では、「著作者」が次のように定義されています。

「二   著作者   著作物を創作するものをいう」

創作「創作」ってなんでしょうか?1号でも「創作的に表現」なんて書かれてますが、AIの創作AIの創作的表現、なんかピンときません。これについては、次回に書きたいと思います。

この「創作」という点をとりあえずおいておいて、法律上形式的には作品を作りさえすれば著作者になるわけで、形式的にはAIも著作者になりうると言っていいことにはなるでしょう。
でも、著作者になることと、権利主体となることとは、別の話と考えるべきです。
確かに、原始の著作権者は著作者です。ですから、原始には著作者たるAIが著作権者ということもできるかもしれません。しかし、AIは自発的に権利行使をすることができますか?そうでないなら、AIは著作権者にはならない(なれない)と考えるべきです。
そうなると、AIが作った作品?(著作物?)の権利を誰に与えるか、そもそも与えていいのか、が問題になると考えます。前の方に書いた権利主体の問題に戻ります。
いっそのこと、パプリックドメインにしちゃいましょうか?



なお、ここまでお読みになられた方は、薄々気づかれたのではないかと思いますが、私は、AIの著作権には否定的な立場です。AIの著作権に対する私の考えは「No」です。

人工知能の作品(?)に対して、著作権を与えることにしようと議論をすること自体が、これまでの著作権法制度の歴史や社会的背景を無視しているとしかいえないと、個人的には思います。一部の業界からの圧力か何かがあるのではないか、と疑ってさえいます。もっとも証拠はありませんが。

しかし、日本政府は一体何を考えているのでしょうか。

いずれ、一部の方々が、反対の動きを見せてくれることを期待しています。その時は、私も微力ながらなんらかの形で協力するつもりです。