第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 31問目
第23回知的財産管理技能検定 第3回1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は31問目です。
31問目は、「中国における税関手続についての留意点」の選択肢で「不適切」なものを答える問題です。
選択肢アは間違いです。中国の税関における登録制度の1つとして、「ホワイトリスト」の制度があります。物品資料(サンプル品や写真)の登録の他、正規業者のリストである「ホワイトリスト」を登録するにより、正規の業者により正しく商標を付した正規品が税関で止められることがないようになっています。侵害品を取り締まるはずの税関が正しく商標を付した正規品を止めてしまうことは本末転倒な話ですが、「ホワイトリスト」はそういうことがないようにするためのもので、そのために通過すべき正規貨物を扱う業者のリストをあらかじめ税関に登録をしておくものだそうです。「ホワイトリスト」があるということは、「ブラックリスト」もあります。取り締まるべき侵害貨物物品を扱う業者のリストで、こちらもあらかじめ登録でき、税関が取り締まりをしてくれるそうです。
選択肢イは正しいです。中国でも、日本と同様に、権利者の申請による差し押さえができ、その際は一定額の担保金を提供しなければなりません。日本にない制度として、中国には「総担保」の制度があり、「総担保」を提供すれば、案件毎に担保金を提供する必要はありません。
選択肢ウは正しいです。選択肢ウの文のとおりです。中国では、通関を止めている間にかかる倉庫料、保管料、処分等の費用の負担は知的財産権者が負担することになるそうです。その費用は、担保金が返還される際にそこから差し引かれるそうです。なお、日本ではそのようなことはなく、侵害疑義貨物が実はそうでなかった場合の輸入者への損失補填を主たる目的として担保金を提供してもらう、そうです。
選択肢エは正しいです。選択肢エの文のとおりです。税関は、税関に登録された商標権の侵害貨物が発見されると、商標権者に対してその通知をします。商標権者は「その通知を受けた日から3営業日以内」にその通知に対する回答をしなければなりません。もちろん中国の話ですから、中国における3営業日以内です。日本における3営業日ではありません。
よって、選択肢アが間違いで「不適切」なので、アが正解です。
しかし、「ホワイトリスト」や「総担保」を出題してきますか。