知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 30問目

第23回知的財産管理技能検定 第3回1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は30問目です。

30問目は、「疑義貨物の認定手続に対する意見書についての会話での発言」の選択肢で「適切」なものを答える問題です。


前提として、
①疑義貨物には、家電メーカーX社の商標「ABC」が付されている
②輸入者から、「本件貨物は中国においてX社の販売代理店から正規に購入したもの」「少なくとも商標権侵害品とは知らずに購入したもの」「また個人使用目的で購入したもの」との意見書が提出されている
とあります。


選択肢アは間違いです。これは、ある種の「販売権のない物品の横流し」の問題です。中国でのX社の販売代理店が、X社との販売代理店契約を超えて製造販売をした製品にX社の商標を付して製造販売をすれば、それは契約違反となります。つまり、中国でのX社の販売代理店は、その部分(契約を超えた部分)に関しては商標を付した製品の製造販売権はない、ということです。これは、商標権者の商標の出所表示機能を害すると考えられるようです。また、日本では並行輸入自体は現在では認められている行為なので、直ちに違法とはなりませんが、この場合では、商標権の侵害になると考えられていますこの場合の並行輸入は、前述の出所表示機能が害されると考えられるとともに、商標権者の品質管理の範囲外になるので商標のもつ品質保証機能が害されるとも考えられる、とされています。この選択肢アを考えるにあたり、フレッドペリー並行輸入事件判決が参考になるでしょう。
選択肢イは間違いです。侵害品とは知らないで侵害品を輸入した場合、商標法上、商標権の侵害にはなりません。ですが、関税法上、その場合でも、侵害品の輸出入は認められず禁じられています。ですので、たとえ侵害品と知らなかったとしても、それを輸入すれば関税法違反になります。
選択肢ウは間違いです。個人使用目的と主張しても、それが「業として」に該当すると考えられる場合は、差し止めることはできます。また、商標法上、「業として」を直接明確に定義した条項はないですが、「業として」と書かれている条項はあります(商標法第2条第1項1号2号)。
選択肢エは正しいです。選択肢エの文のとおりです。「業として」に該当するかどうか、が重要です。「義務輸入貨物数量が1個しかないから直ちに『業として』の該当性が否定されるわけではない」というのは正しく、その他のいろいろな情報によっては「業として」にあてはまる場合もあるので、「その他の事情の情報収集に努める」というのも正しいです。例えば、選択肢エの文に例示されているとおり、「販売」の事実が発見できたならば、それは「業として」の有力な証拠になるといえます。


よって、選択肢エが正しく「適切」なので、エが正解です。