知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 27問目

第23回知的財産管理技能検定 第3回1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は27問目です。

27問目は、「商標の使用でないため商標権の侵害が否定される場面の、関連裁判例を考慮しての発言」で「不適切」なものを答える問題です。


選択肢アは正しいです。標章がシャツの中央部に大きくあしらわれているようなケースは、標章が出所の識別記載としては働いていないと考えられ、商標の使用とはいえないと判断された裁判例があります。ポパイ事件のようです。
選択肢イは正しいです。自他商品の識別機能を果たしていない使用の様態は、商標の使用とはいえないと判断された裁判例があります。通行手形事件のようです。
選択肢ウは間違いです。標章が、パチスロ機の主要部品(CPU)に付されていて、流通過程では(中間の販売業者やパチンコ店関係者により)それを視認することができるようになっている場合には、パチンコ店に搬入され完成品(パチスロ機)に(そのCPUが取り付けられた基盤が)組み込まれた後には視認することができなくても、なおCPUについての商品識別機能を保持しているとされ、商標としての機能を果たし得る、との裁判例があります。シャープパチスロ機CPU事件のようです。
選択肢エは正しいです。商品自体でなく、包装用箱に印刷された標章が、包装用容器を指定商品とする登録商標と類似していたてしても、その標章は内容物の商品名表示であり、包装用の箱の出所を表示する機能を果たしてはいないと判断された裁判例があります。巨峰事件のようです。


よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。


この27問目でも、25問目でもそうですが、どちらも1つの選択肢に1つの裁判例が説明され、それが4選択肢分出題されるというパターンです。1問につき、都合4つの裁判例が説明される形です。
今回の試験では、これまでの試験にあった有名裁判例の判決文を空欄穴埋め問題として出題することはなかったかわりに、1つの選択肢に1つの裁判例が説明されそれが4選択肢分出題される出題パターンの形の問題が2問出題されたわけです。
今後、これまでの試験のような有名裁判例の判決文を空欄穴埋め問題として出題するかどうかはわかりませんが、その可能性はあります。
ですので、今後の勉強としては、これまでどおりに有名な主要裁判例を判決文まで読んで知っておきその詳細を理解しておくと同時に、いろいろな判例を概略レベルでもいいのでできる限り多く知っておくことが求められている、と私は考えます。
単に事件名とその簡単な概要を知りたいならば、以前に紹介した「新商標教室」のような書籍をお読みになるとよいと思います。ですが、まだ不十分だとは思います。
また、商標のみならず、意匠や不正競争防止法(関連する範囲で著作権も)、これらの主要裁判例は知っておくべきでしょう。今後、出題されることが予想できるからです。さすがに、商標や意匠の審決例までは出題してこないとは思いますが、その審決の基本的判断基準となる考えは出題してくる可能性はあるかもしれません。
商標意匠不正競争判例百選をはじめ、いろいろな関連書物や資料を、見て読んでおいた方がいいかもしれませんね。


なお、「商標の使用(商標的使用)」の概念ですが、「使用」の定義は商標法上されてますが、その定義の解釈について、さらに商標権侵害事件における侵害を否定する判例理論として、考え出されたものだそうです。ここでは詳しく書きませんが、御興味のおありの方は、インターネットや書籍等でお調べください。けっこう奥深いのです。はまらないようお気をつけください(笑)。



ところで、20問目から27問目まで、8問連続で「ウ」が正解であることに、気がつきましたでしょうか。