知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第23回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 7問目

第23回知的財産管理技能検定 第3回1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は7問目です。

 
7問目は、意匠登録出願における拒絶理由通知とその対応についての説明で「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。
 
 
まず先に書くと、実は、私は試験の際、とんでもない思い込みとそれによる勘違いをしておりました。選択肢イが露骨に間違っているので、試験の際、私はこの7問目を間違えることはありませんでした。
しかし間違った理解をし続けるところでした。試験後に、このブログにコメントをしてくださった弁理士資格保有者の方に伺ったところ、私は、その思い込みと勘違いに気づくことができました。この方には、本当に感謝しております。
 
 
では、詳しく見ていきます。
 
まず、この問題における前提として、
 
①X社は、独特の形状の靴Aを開発。
②その靴Aの全体を意匠A、靴底を部分意匠Bとして、意匠登録出願するが、拒絶理由通知がくる。
③その拒絶はY社の靴の意匠Dによるもので、意匠Bは意匠法第9条違反として、意匠Cは意匠法第3の2違反として、拒絶理由通知がくる。
④Y社は、意匠Dを、意匠Bや意匠Cより先に出願をし、また意匠Bや意匠Cの出願後に登録になっている。
 
となっています。
これは問題文に書いてあります。
 
 
さて、これをふまえて、各選択肢を見ていきますと、
 
選択肢アは正しいです。「Y社と交渉し、Y社に手続きで協力してもらうことにより、拒絶理由を解消」とありますが、これは、X社がY社から意匠Dの意匠権譲渡」を受け、X社がそれを本意匠として意匠Bの出願を「関連意匠」として補正をすること、あるいは逆に、X社がY社に意匠Bの「意匠の出願等の権利」を譲渡し、その上でY社が意匠Dを本意匠として意匠Bの出願を「関連意匠」として補正をすること、と考えられます。ただし、前者にせよ後者にせよ、一度譲った意匠の権利は簡単にはとり戻せない(関連意匠は本意匠とは分割して譲渡できず一緒でないと譲渡できないため、元の権利者である譲渡した側がその譲渡した意匠権を実施する場合には、例えば、譲渡された側が譲渡した側に対して実施の許諾を与える形になるでしょう。おそらく、これらを全てひっくるめて、「(X社は、)Y社と交渉し、Y社に手続きで協力してもら」ったということになるのでしょう。
選択肢イは間違いです。そもそも、意匠法制度は、創作保護法制度ではありますが、その意匠創作者を保護する法制度ではありませんし、出願は創作者でなくてもできその出願人(出願「代理」人では当然ありません)が意匠権の権利者となります。ですから、創作者が同一だからといっても、それは意匠Cの拒絶理由の解消にはなりません。なお、出願人が同一であるならば、意匠法第3条の2違反にはならず、そもそも拒絶にはなりません。また、意匠B、つまり意匠法第9条違反の場合は、出願人が同一でも拒絶されます。
選択肢ウは正しいです。意匠Bは全体意匠意匠Cは部分意匠ですので、そもそも意匠法第9条第1項違反を理由に拒絶されることはありません。意匠法第9条は、全体意匠同士または部分意匠同士の関係には適用されますが、全体意匠と部分意匠の関係には適用されません。だから、第3条の2が設けられたのです。
選択肢エは正しいです。意匠を商標に出願変更はできませんし、その逆もです。出願変更ができるのは、特許、実用新案、意匠の三者間においてです。
 
よって選択肢イが間違いで「不適切」なので、イが正解です。
 
 
 
この7問目は、正しい法制度知識と、それに基づく思考力が問われる、良問だと私は思います。
それゆえに、変な思い込みや勘違いで危うく間違えそうになったことは、私にとっては大反省です。