知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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カバのキャラクター 明治 対 ムンディファーマ&シオノギ (追記あり)

ムンディファーマ社が、うがい薬のイソジンについて、明治との販売についての契約をやめて、今度はシオノギと販売についての契約を結んだそうです。

日本において、イソジンの名称を明治は使えなくなり、今度はシオノギイソジンの名称を使い販売していくというわけです。明治は単に明治の「うがい薬」として、販売していくようです。

実は、イソジン」という名称の商標は、明治が商標権を持っているのではなく、ムンディファーマ社が持っています。明治は、「イソジン」という名称のうがい薬の販売にあたって、ムンディファーマ社から技術提携とイソジン商標の使用のライセンスを得て、これまでこのイソジンの名称で販売してきたわけです。
それが、明治とは契約終了、ムンディファーマ社は今度はシオノギと契約を結び、日本ではシオノギイソジン名称でうがい薬を販売することになったわけです。今度は、シオノギが、技術提携とイソジン商標の使用ライセンスを得たわけです。


と、ここまではビジネス提携先が変わるだけの話なのですが、カバのキャラクターの件で問題が発生しました。

これまで、明治は、イソジンを販売するにあたり、カバのキャラクターを使用してきました。このキャラクターはうがい薬「イソジン」とともに有名ですね。イソジンときけば、すぐあのカバのキャラクターを思いうかべる方もいらっしゃると思います。このキャラクターは、明治独自のものらしく、明治はこのキャラクターの絵自体を商標登録しているそうです。このカバのキャラクターの絵の商標権者は明治そうです。
(【後日追記】すみません、カバのキャラクターはまだ商標登録されていないようです。J-Platpatが現在メンテナンス中で、終わり次第確認をして、あらためて訂正追記いたします。)
(【さらに追記】「訂正『追記』」と書きましたが、あらためて1回分のブログとして、書くことにしました。しばらくお待ちください。)

さて、ムンディファーマ社とシオノギは、イソジンを販売していくにあたって、独自にカバのキャラクターを作り利用することにしました。これまでのことから、イソジンとカバのキャラクターはもうきってもきれない、と考えたのでしょう。しかし、これは明治のカバのキャラクターと類似だと言われても、仕方がないと思います。

実際、明治は、これにまったをかけました。カバのキャラクターを使わないよう申し入れたらしいですが、結局聞き入れてもらえなかったそうです。それで、不正競争行為の差止の仮処分を裁判所に訴えたそうです。


さあ、どうなるでしょうか?

不正競争行為差止仮処分ということから、不正競争防止法違反で裁判所に訴えたのですね。
今回の件については、著作権で考えることもできなくもないでしょうが、私は否定的な考えです。
ただ、カバのキャラクターの商標権を明治が持っているからといって、ムンディファーマ&シオノギ側の行為が直ちに明治側の商標権の侵害になると必ずしもは言えないと思います(もちろん、商標権侵害の可能性はあり、むしろ極めて高いと私は思います。ただ、使用様態を細かく検証しない限りは私はなんとも言えません。)ので、もしかしたら商標で争うのはリスクを伴うかもしれない可能性があると判断したのではないか、なんて私は思いました。

まあ何にせよ、明治がおそらく勝つのではないでしょうか。

これまで、イソジンという商品ブランドを日本に定着させ販売してきた実績は、やはり明治にあると思います。そして、これに一役買っていたのは、明治が自分達でつくり育ててきたらしい、このカバのキャラクターではないでしょうか。
それを、契約が終了し、イソジンの販売が他に移るからといって、自分達のカバのキャラクターも一緒に持っていかれては、それは明治としてはたまらないものがあるでしょう。なので、訴えをおこした、と。

もし明治の訴えが認められたなら、今後は、ムンディファーマ社とシオノギは、イソジンを販売していくにあたり、明治のカバのキャラクターに負けないような独自のキャラクターをつくりこれを利用していかねばならなくなるでしょう。でも実際どうでしょうね。あのカバのキャラクターに勝てる独自キャラクターをつくることがはたしてできるでしょうか。

なお、明治はこれから販売していく「うがい薬」にカバのキャラクターを使い続けていくみたいです。

キャラクターにインパクトがあるだけ、明治が強く、ムンディファーマ社とシオノギは、新しいイソジンを販売していくのにかなり苦労するのではないか、と私は思います。


そう、あくまで私の想像ですが、今回の契約終了は、ムンディファーマ社ではなく、明治側からも話を持ちかけたような気がします
おそらく、昔はムンディファーマ社には特許権もあったでしょうが、現在はとうに特許権は終わっているでしょうから、特許権料ではなく、しいて言えば技術提携料として、これまで明治はムンディファーマに支払ってきたのではないかと思います。そして、イソジンという商標の使用料も支払ってきた、と思います。ムンディファーマ社側からしてみれば、特許権は切れていても、その技術の権利を、商標権によりごくごく間接的にですが守ることができていたのではないか、と思います。
ですが、今の明治は独自でうがい薬を開発製造できるだけの技術力があり、もう明治には技術提携料をムンディファーマ社に支払う必要も意味もなく、また「イソジン」という商標に頼らずに「うがい薬」を販売していく販売力もあると思いますので、ライセンス料を支払ってまで、「イソジン」として販売していく必要はもはやない、と判断したのではないか、と私は考えました。
おそらく、ムンディファーマ社との契約をやめて、「イソジン」の名称ではなく、独自の「うがい薬」を、これまで使用してきたカバのキャラクターを使って、販売していくことの方が、明治にとってはメリットがあると判断した、のではないでしょうか。
あくまで私の想像ですけどね。


こう考えると、今回の件、なかなか奥深いものがある、と思いませんか。思わないですか(笑)。


ムンディファーマ、シオノギとしては、日本でイソジンのイメージ≒カバのキャラクターがそれなりに定着している以上、なんとかしてカバのキャラクターを使いたいでしょうね。カバのキャラクター争奪戦。いっそのこと、高い金払って明治からカバのキャラクターの権利を買ってしまうとか。でも、幾らぐらいになるのかな?検討がつきません。



そうそう、私、今左耳が炎症を起こしていて、薬治療をしているのですが、耳の消毒にイソジンを点耳しています。耳の消毒にもイソジンは使えるのですね。ってそんなことどうでもいいですね(笑)。