知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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書籍紹介その24 ライセンスビジネスの戦略と実務

なかなか興味深い書籍です。

ライセンス契約における、契約書面上の実際の条項文の例やその解説の書籍、特に特許ライセンスに関する条項文例や解説の書籍はわりとありますが、コンテンツやブランドに注目した、業界内の実情解説等を含めたライセンス契約の戦略や実務についての説明をしている書籍は本当に少ないと思います。

ライセンスビジネスの戦略と実務

ライセンスビジネスの戦略と実務


著者の草間文彦氏は、LIMAジャパンの創立メンバーだった方であり、その後代表にもおなりになった方です。そして、日本におけるライセンスビジネスの重鎮のお一人だそうです。


ただ、この書籍を読んでいて、私には、「ん?」「えっ?」と思ってしまった部分が少なからずありました。特に著作権や商標の法制度の説明では、知らない人には致命的な誤解を招きかねない部分が幾つかあるように見受けられました。おそらく、わかりやすく書こうとしてあえて深くは説明しないようにしたり、また文章が変にくどかったり長くなったりしないようにしたからではないか、と思います。ですが、誤解をされては元も子もないのではないかと思います。


しかし、この点以外は、この書籍は、ライセンスについてとても役に立つ書籍であり、とても示唆に富みます。
特にライセンス契約についての具体的な説明は勉強になります。

また、この書籍の本来の目的ではないですが、私の中で、キャラクターについての考えをまとめる(といいますか、考えが変わりさえしました)のに、この書籍がとても役にたちました。私のキャラクターに対する考え方が、180°とまではいきませんが、90°くらいは変わったかも(笑)、という感じです。

それから、ライセンス契約の具体例があれば、もっとわかりやすいのに、と思いました。
草間氏は、この書籍において、わざと契約書の雛形例をお書きにならなかったのですが、個人的には、むしろ雛形例があった方がより理解がすすむのではないか、と思いました。
確かに、契約の雛形があると、ろくに雛形に書かれた契約の内容を理解せずに、ただコピペだけしてそれを契約書として堂々とだしてくる、そんな企業や個人の方が少なくありません。著者の草間氏はこの書籍において、「契約の具体的内容は契約毎に異なるものである」というような理由で、あえて契約の雛形を例示していません。ごもっともです。おっしゃりたいことはわかりますし共感します。私もそう思いますし、雛形をのせたくないという草間氏のお気持ちはとても理解できます。
とはいえ、それでも理解のためには、契約の雛形、具体例があった方が良かったのではないかと思います。その点が惜しいと思えてなりません。